ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

制作 : 水野 恵美子 
  • 自然食通信社
3.98
  • (36)
  • (42)
  • (28)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 633
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784916110466

作品紹介・あらすじ

『ときをためる暮らし』その後、四年あまりの日々を書きとめた。老いたら老いたなりに、楽しくなることを考え、実践してきたしゅういちさんが昨年、他界。造成地に建てた丸太小屋、落ち葉を入れて蘇らせた土。ふたりが積み重ねてきた半世紀の歳月は、いまも英子さんが同じように営み続ける。自分に課し、誰かのために手足を動かす日常とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 死を感じた。作られたものではない誰しもがいつかは目の前で起こる死。親よりもこどもよりも長く一緒にいることになるであろう連れ合いの死。その死の向き合い方と過ごし方が書かれていた。

  • 途中、泣きながら読みました。
    戦争の体験をして、死ぬかもしれないと思ったことが生きるパワーになっている。
    人生に、命をかけて遊ぶ。2人の優しい雰囲気の裏の強さをこの本で知りました。
    風の男、しゅうタンと、土の女、英子さん。
    2人の共通点は弱虫、だからこその素晴らしいチームワーク。結婚ていいものなのかもな。
    英子さんの突然始まった一人暮らしは、2人暮らしでの楽しみを引き継ぎながら、
    地に足をつけていて、最愛の人を無くした後の生き方、コロナ渦中での人生の楽しみ方、として参考になりました。

  • 2017年のクリスマスプレゼントとして夫に買ってもらって、2017年暮れ~2018年新年にかけて実家でずっと読んでいた。
    母と二人、ご飯を食べたり会話をしたり、空き時間にこの本を読んで過ごしていたのだけど、母が話す、年金や世間の常識のような話とこの本で語られることとのギャップがありすぎて…つばたさんの暮らし方や考え方が好きで、こんなふうにわたしもなりたいと気持ちを高めているところで、望まない方向に連れて行かれるというか…。
    よって喧嘩も発生する(それだけが理由ではないけど)。しんどいことですよ、まったく。

    わたしはやっぱり、世間の目を気にして生活したり、貯金の額や預金の利息を眺めて喜ぶ、っていうのは、なんだか違うよなあ…と思うんだよね。

    -----
    ひでこさん、ひとりの生活に慣れないながらも今までやってきたことを続けようとなさっているようでした。寂しいというか、空しいという気持ちだと。これまで「おとうさんのこと」を一生懸命やってきたから、って。あまりにあっけなく亡くなってしまったので実感がないみたいなこともおっしゃっていた。
    昼間はあれこれやることがたくさんあるからいいけど夜は少しもてあますとのことで、テレビを観たり。吉田類さんの「居酒屋放浪記」を見て料理の勉強になる、なんてさすが。おとうさんがいるときは見られなかったけど、一度見てみたかったのよね、って。かわいい!^^

  • 「窓は少しでいいから常時開けておく。それによって換気ができ、換気を通して「ゆらぎ」が生まれます」「朝、昼、夜の温度差を、多少なりとも体で感じてもらうほうがいい」(なぜあなたの疲れはとれないのか?)つばた家には「ゆらぎ」を感じ、疲れをためない理想的な暮らしがあるなと思いました。「家」「自宅」以外はすべてアウェイであって、アウェイの世界では「緊張状態」を強いられる(同書)。自分の家でくつろいで疲れを癒すとはどういう生活なのか、実践を見た気がしました。

  • 映画「人生フルーツ」鑑賞済みです。
    しゅういちさんが亡くなった後の英子さんのインタビュー(ききがたり)を中心に収録されている本。
    もちろん、生前のしゅういちさんの言葉や夫婦の会話のやりとりも収録されています。写真や英子さんのレシピもあって、ファンにはすごく読み応えがあって価値がある一冊です。

    物が溢れて、モノの奴隷になりながらあくせく生きているワタシ達世代には、まさに憧れの老後でありスローライフであるのだけれど。
    夫婦で好きなことをして楽しく生きているように傍からは見えるかもしれないけれど、そこに至るまでにお二人の取捨選択や譲れない人生へのこだわりが見えてきて非常に興味深く読めました。

    ターシャ・テューダーの生き方にも言えるのだけど、苦渋の決断の取捨選択ではなく、好きなものを追求してきた生き様なので、お二人の人生は生き生きと輝いて見えるのだろうなぁと感じました。

    ちょっと意外だったのが、下世話な話で申し訳ありません、お金のこと。
    年金が口座に入ると結構使い切ってしまう、というのがへぇ~、ちょっと意外、と思いました。
    娘さんが「お母さん通帳に一銭もないの?」と心配するほどなのですが、英子さんは、ストックしてある食べ物があるからそれを食べていれば来月まで持つから、とどこ吹く風なのが(笑)
    なんか、いいですね、こういうの。
    もしかしたら、お金を遺産として子供に残すよりも、こういう親の生き様を見せることが遺産になるのかな、と思ってしまいました。

    お料理が大好きで台所に立っているとルンルンなの、という英子さん。どうかいつまでもお元気でいてほしいです。

  • 医学部分館2階書架 : 590/TSU : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170205

  • 英子さんのしゅうタンへの深い愛が滲み出ている。

    今時の「現代的な女性」と比べれば英子さんは「旦那様に食べさせてもらっているのだから、これくらいは当たり前」「男の人はこういうもの」という、古風ともいえる方。それがちっとも不自然でなく無理がなく、満たされた思いで楽しんでおられるのがとてもすてきだなと思った。

    2人の間に流れるゆったりとした空気感、痒いところに手が届くような英子さんの気配りの元に居て、しゅういちさんはどれほど心地よかったことかと思う。

    最愛の人を亡くして嘆き悲しむばかりでなく、その人の記憶と共にさらに丁寧に生きていこうとする英子さんが神々しい。

  • ホッコリできた。
    人生フルーツが好きで、本も読んでみたけど、ホッコリ。
    食事は冷凍保存して、月一でお買い物、お庭で栽培、今有るもので生活。
    これぞわたしの理想。
    お上品なおばあちゃま、好きだわ。
    そしてあの歳になっても、しゅうたん、と旦那さんの事を呼んだりする。
    可愛い。

  • 高校時代の友人が亡くなり、残された方のことを理解できる何かのきっかけになればと読んだが、90歳まで生きられれば、あと30年は一緒にいられたのになぁ、ということを痛感させられてしまった。

  • 「ときをためる暮らし」に続き、こちらを読書。ひとりになっても変わらず丁寧に暮らしを続けるひでこさん。読んでて寂しさは感じるけど、悲観のようなものはなくて、しゅういちさんはまだそこにいるかのよう。自分は大事なものをちゃんと大事にできてるかな、考えさせられました。

  • 映画 人生フルーツを見た人は、ぜひみたらよいですね。本当に素敵なご夫婦だったのだなあ。

  • 自然とともに暮らすご高齢夫婦の暮らし。
    心身ともに健康に長生きするために、日々の生活の中でよく体を働かせ、食べ物に気を配る。
    何が入っているか、何処からどうやって来たのか分からないものは、殆ど口にしない。自分の、こうだ!という感を長年大切に、情報に惑わされない…等々、自分に必要なものを見極めながらの生き方に憧れます。
    ご主人を失ったあと、生活のハリを失いそうになりながらも、残された年月を考えながらも、いつもと同じ暮らしを心がける。
    今からでもマメに日々の生活で身体を動かしていたら、こんな生活に近づけるかなぁ。
    日々の暮らしに楽しみを見い出せば、誰もがもっと幸せになれそう。

  • お父さんが逝ってから・・・と、何回でてくるやら、あの仲の良かったつばたご夫婦の旦那さんのしゅういちさんが亡くなられて、「ふたりからひとり」ぼっちになってしまった英子さんが訥々と語る。

    「ききがたり ときをためる暮らし」の続編。でも、亡くなったあとも、これだけ思い出し、そのすごした日々と今に幸せを感じてもらえるとは・・あこがれますな。

    思い出したしゅういちさんの言葉に「生きもののなかで、三世代が一緒に暮らせるのは人間くらい。それが、ほかの生きものにはない、豊かな生活史をつくりあげてきたという説があって、僕も同感です。三世代一緒というのがむずかしいのなら、せめて親の背中を子どもが見て暮らせるようになるといいですね」、まさにこんな人間らしい暮らしから、すべての仕組みが崩壊しているような気がしますな。

    病気については、やはり食べ方が大きく関係するんじゃないかと、人間は食べ物をとり込んで、体を形成してるわけでしゅうタンが退院してから、これまで以上に徹底して、食べることをしっかりやろうと・・・。

    しゅういちさんではないが、安易に食べれるもの、得体のしれないものばかりたべていると思うと、怖くなります。だからいいものを。いいものといってけっして高価なものではなく、素性のしっかりしたもの、自然の恵みを大事に食べたいものですな。

    家庭料理のよさ。うまくいくとき、いかないとき、それが家庭料理のおもしろさであり、それをつくるのが自分というのが喜びですね。日常のことっておざなりになりがちですが、そこに心を込めることがじつはとても大事なことだと、地味だけど暮らしって、そういうもんだと。

    わたしも、昼ごはんだけは飽きることなく、自分でつくっていますが、「手間ひまかけてつくったものがおいしい」とわかっているだけに、こころの糸が切れるまでつづけようと思っていますな。

  • いつかは来る、お別れ。
    これから、1人で大変だと、ヒシヒシと感じてしまいました。

  • 映画人生フルーツを観て、栄子さんのその後を知りたくて図書館で予約。

    映画を見てると浮世離れしてるような印象も、二人は信念があって地道に生活してるという、最近読んだターシャ・テューダーとの印象と同じでハッとさせられました。
    レシピもいくつか載っていたのですが、利休まんじゅうなら作れるかもしれません。

  • 夫と一緒に元気で長生きしたいなと改めて思った。

  • リタイアしたらこれくらいゆったりとした生活したいな。
    夫婦のゆったりとした時間の流れが描かれた、とても心温まる本。

  • 20180811読了
    2016年発行。「ときをためる暮らし」のそれから。2015年6月、しゅういちさんが亡くなられてからの′それから’も語られる。写真にとても味があって見入ってしまう。サクラエビの佃煮や田作り、素朴な常備菜が好き。

  • 「人生フルーツ」と言う映画を友達から紹介され観に行きました。
    つばたしゅういちさん、英子さんご夫婦の日々の生活を追った映画でした。
    お二人の生活をもっと知りたいと読んでみました。
    長い間連れ添ったご夫婦の素敵な日常に、教えられる事の多い事!
    自分の生活に反省です。

  • 思想的な部分はおいといて、長年かけて完成形にした"丁寧な暮し"の実践テクニックはとても参考にしたいやつ、です。

  • わたしの老後も英子さんのように日々淡々と、丁寧に生きていきたいと感じました。
    父を亡くした母と重なってなかなか読みすすめられない一冊でした。

  • 昭和よりもっと前の女性観を感じる。
    文中、何度も出てくる、食べさせてもらっている、になんだか引っかかる。なんとも思わない人はいいだろうけど。専業主婦が向いてて、それをうまくこなせる人もいるし、そうでない人もいるだろうとは、思う。
    悪くなかったけど私は響かなかった。

  • 津幡夫妻の暮らしを刻むエッセイ集。夫君であるしゅういたさんが亡くなった後の暮らしを描く部分も哀しみを静かにたたえて、静かです。

  • 人生フルーツの映画を見て興味をもったお二人の暮らし。しゅうタンを亡くしてからのその後や英子さんのレシピ、しゅうタンの病気のことなどが載っている本。共感することも多く、ますますファンになった。

  • しゅういちさんと英子さんの、
    人として人らしい暮らしがとても温かくて好きです。

  • 豊かな老後を考えさせられました。
    私たち夫婦の老後は…?
    ちょっとでも見習おう。
    特に気持ちの面で。

  • ときをためる暮らしの続編。

    主に、おひとりになった英子さんのことが書かれている。

    現実は知る由もないが、今もしゅういちさんに語りかけ、
    料理し、畑を耕し、贈る喜びを感じていらっしゃる様子が心に響く。

    11月に出版される新刊を待つ。
    ひとりと向き合う暮らしは、どう変わっていくのだろう。

  • しゅういちさん亡くなってショック。けれどいい終わり方だったみたいでちょっとホッ。

    専業主婦至上主義みたいなひでこさんの考えの全てに賛同はできないけど、でもほんと素敵な暮らし方だと思う。
    真似できるところは真似したいし、慌ただしくこなすだけの日々に疲れたら、こういう暮らしもありますよ、と自分にお知らせしたい。

  • ーーー楽しい退屈のひとときーーー

    気配はないけど、おとうさんはここにいる。

    旦那さんのしゅうタンが90歳で他界。
    題名からも分かるとおり、英子さんがひとりで暮らすようになってからのききがたりが大半を占めている。
    また、しゅうタンが米寿にタヒチ旅行へいった様子や、英子さんのお兄さんのこと、しゅうタンの入退院、それに伴う生活改善のこと、ひさびさの夫婦水入らずの日々、平凡な快楽…前作に増して大事にしたい言葉が多くあった。
    夫婦仲良しの秘訣や、長年連れ添ってはじめてみた夫の涙の話など。

    特別なことのない、いつもどおりの日常、それが何よりの幸せ
    ーーー三度三度ていねいに食べて、ていねいに暮らそうねーーー

    わたしも最期は病院じゃなくて、自宅で、愛する家族と、眠るように、がいい。
    そのためにはやっぱり健康でいつまでも努力する生活を送らないと、と身の引き締まる思い。

  • 以前からつばたご夫妻の暮らしぶりに憧れており、お二人の著書は楽しく読んでいた。しゅういちさんが亡くなったと知り、本の中でしか知らないのに近しい方が亡くなったように感じられ悲しかった。
    この本はしゅういちさんが亡くなった後に出版された本なので、英子さんはお元気でどのように生活をしていらっしゃるのかしら?とおうちに訪ねるような気持ちで読んだ。
    英子さんは元気だった。元気じゃないのかもしれないけど元気に暮らしていて安心した。
    暮らしぶり以上に英子さんしゅういちさんの心の内側が語られており、とても興味深く読み応えもあった。お二人ともとても勉強家で前向き。

    人生を生ききるとはこういうことなのかなぁと、私もこんな風に生きたい。こんな風に死にたいと思った。お二人をみるとしゃんとしなければと少しだけ背筋が伸びるのです。

全49件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1928-2018年。愛知県半田の200年以上続く造り酒屋で育ち、50年、しゅういち氏と結婚。キッチンガーデナーとして大地に根ざしたていねいな暮らしを実践。夫婦の共著として『ききがたり ときをためる暮らし』(自然食通信社)『なつかしい未来のライフスタイル』『キラリと、おしゃれ』(ミネルヴァ書房)『ひでこさんのたからもの』(主婦と生活社)他がある。2018年6月、しゅういち氏のもとに逝く。前日までふだんの日常を過ごす。享年90歳。

「2016年 『ふたりから ひとり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

つばた英子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×