- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784925064521
作品紹介・あらすじ
ドナルド・フェイゲンが創作の秘密を語った初のオフィシャル・ブック。
音楽的な分析を織り交ぜ、スリリングで、ポップ(簡潔)で、文学的な本。
ベッカーとフェイゲンにふさわしい、ファン待望の書物がついに登場。
20世紀ポピュラー・アートのさまざまな流れ、スウィング、ビバップ、ポストバップ、ブルース、アート・ソング、モード・ジャズ、ファンク、ソウル、フュージョン、サイケデリック、ミュージカル、SF、ビート文学、をミックスし、複雑な、美しい成果を上げた一枚について、語りつくす。
解説:冨田恵一(冨田ラボ)
挿絵:ジミー益子
ブックデザイン:小野英作
◆目次
イントロ 20世紀における最良のポピュラー・アート
1 《彩(エイジャ)》にいたる作術法とその背景を探る
2 ロックンロール勃興以前の楽曲からの影響
3 《彩(エイジャ)》を取り巻く70年代カリフォルニアの状況
4 音響工芸品としてのプロダクション
5 作詞法について
6 韻律学をポピュラー・ミュージックの和声に活かす
7 セッション・ミュージシャンたちの手法
8 7人のギタリストで試した真意
9 ホットなアドリブとレトリック
10 シングル曲〈FM〉の曲構造
11 サイドプロジェクトについて
12 ジャンルレスな楽曲
13 鋼色のロックンロール・マシーンをジャズの燃料で
解説 スティーリー・ダンと《Aja》という録音芸術 冨田恵一(冨田ラボ)
アルバム・クレジット
参考文献
推薦盤
ディスコグラフィ
用語解説
感想・レビュー・書評
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コードネームや音楽的なことを多く解説しているが、縦書きのため非常に読みづらい。横書きにしたほうがよかったのにと思う。翻訳も読みにくい。原文のニュアンスを伝えたかったのかもしれないが。よい題材であるだけに残念。チャックレイニーの話題もほとんどなかったのも残念。
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スティーリー・ダンの最高傑作にして、「20世紀における最良のポピュラー・アート」(本書の見出し)の一つでもある名盤『彩(エイジャ)』の研究書。ドナルド・フェイゲンをはじめとした当事者たちに取材した音楽ノンフィクションでもある。
著者のドン・ブライトハウプトはカナダのミュージシャン/ソングライターでもあり、「モンキー・ハウス」という、もろスティーリー・ダン・フォロワーなバンドもやっている。
『彩(エイジャ)』の制作過程については過去にドキュメンタリー番組も作られていて、私はそれを「GyaO」で観たことがある(DVDも出ている)。本書はその活字版のような趣。
1枚のアルバムについて、ドキュメンタリーが作られ、研究書まで書かれるのだから、いかに伝説的な名盤であるかがわかろうというものだ。
版元の「DU BOOKS」とは、コアな音楽ファン御用達のCDショップ・チェーン「ディスクユニオン」の出版部門。そのことからわかるとおり、本書も音楽マニア向けの内容である。
『彩(エイジャ)』は私も大好きなアルバムで、過去30年以上愛聴してきたが、それでも本書はあまり面白くなかった。楽典的素養がないとチンプンカンプンなところが多いうえ、著者の文章は変に気取り過ぎていて、わかりにくいのだ。
(私には)チンプンカンプンな記述の例を挙げる。
《〈ペグ〉のヴァースの背景には、こんな狙いがある――12小節の標準的な3コード(トニック、サブドミナント、ドミナント)を、変格終止、すなわちⅣからⅠに解決するおなじみの「エーメン」終止でひとつひとつ代用するのだ》
気取ったわかりにくい言い回しの例も挙げる。
《マンハッタンの外で、けれどもビバップのハートはじゅうぶん聞き取れる距離で育った作者ふたりのように、この曲の主人公は、ジャズという秘密の世界に安っぽい贖罪の可能性を感じている》
本書の巻末には冨田ラボの冨田恵一が解説を寄せているが、困ったことに、その解説のほうが本文よりも面白くてわかりやすい。
そんなわけで、本書は私の手に負えないものだったが、セッション・ミュージシャンたちとの共同作業の舞台裏を明かした章だけは面白く読めた。
『彩(エイジャ)』をめぐるよく知られた伝説である「ペグ」のギター・ソロのエピソード――間奏のギター・ソロのためだけに7人もの一流セッション・ギタリストたちをとっかえひっかえし、最後に呼ばれたジェイ・グレイドンが一発で最高のソロを決めてみせた、というもの――も、くわしく検証されている。
リー・リトナーが、『彩(エイジャ)』に参加したころのことを振り返って、こんなことを言っている。
《「LAのプレーヤーのあいだでは、彼らの作品に参加するのが大きな勲章になっていた」(中略)「別のセッションで同業者に会うと、よく『おたくのソロは合格したか?』と訊かれたもんだ」》
それでも、リトナーによれば「完璧主義者の度合いで言ったら、彼らは10点満点でせいぜい9点程度だろう。バリー・ギブとピンク・フロイドはもっとクレイジーだったからね!」とのこと。 -
本書後半で揶揄されてますが、ぼくもこのバンドの中では1stが好きかなくらいな人間なのでどれほどのものも言えないんですが、彼らがサブカル的な資質のトップにある意味君臨するんじゃないか、っていうイメージが固まりましたね。非ポップになるために技術の粋を尽くすってのがVUと真逆なんだという解釈があって、一発で納得とはいわずもそんな考え方もあるんですね、と。でも現代音楽とは言われないわけで、たしかに不思議な存在ではあるんです。実際それで売れたんだし。その点について相対的評価に固執していて気になりましたが。
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話が散漫な感じは否めないけど、よく知らなかったことも結構あって面白かった。
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20121021