私の声はあなたとともに: ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー

制作 : シドニー ローゼン 
  • 二瓶社
4.17
  • (5)
  • (5)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 105
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784931199484

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミルトン・エリクソンを読むと、困難な状況をどのように利用する、できるかという悩みからの距離感を感じる。
    それは遊びであり、余裕であり、、だからクライエントも遊べるのかもしれない。


    ・「困難な問題を扱うときは、それからおもしろいデザインを描き出しなさい。するとあなたはデザインに没頭して、厄介なものを忘れることができるでしょう。…最初は患者の見方を知ること。それから患者の見方を再構成することなんだ。」

    ・私たちはみんな、自分の言語を持っており、患者の話すことばを聴くときは、彼が異国のことばで話していることを理解しつつ聴きなさい。自分の言語のことばで彼の話を理解しようとしてはいけません。患者を彼の言語によって理解しなさい。

    ・もう一度繰り返すが、人の反応を変化させる最良の方法は、その人がすでにおこなっていることか、このケースのようにおこなおうと意図していることをおこなうように指示することである。それからある種の違い、状況の違いや雰囲気の違いなどといったものを注入すればよい。
    …この物語の一番のポイントは、私たちはみんな問題や紛争を解決するための能力と資源を内に秘めているのだと、エリクソンが信じていることである。

    ・アドラーはかつて「治療とは他人のスープに唾を吐くようなものである」と言っている。食べ続けることはできるが、楽しむことはできなくなるだろう。

  • 私がもっとも好きな本の一冊。するめのように、読むたびに新しいことに気づかされる。
    なんども読んでる。

  • ミルトン・エリクソンという人物はどれだけ一般に知られているでしょうか。もしまったくその名前を知らない人が本書の題名を見たら、「いったい何の本なのだろう」と首を傾げるかもしれません。本書は、催眠療法の権威にして家族療法の理論形成にも大きな貢献を残した、精神科医エリクソンによる「物語」を集めたものです。
    本書には本当にさまざまな物語が収められています。治療の場を舞台としたもの、医学生への講義で語られたもの、臨床か向けのワークショップやセミナーなどで紹介されたものなど、それぞれの物語が異なる「聞き手」を持っています。また登場人物にしても、自身が受け持った患者はもとより、学生、同僚、果ては父や息子、娘、孫にまで及びます。しかし、どの物語にも共通するのは、エリクソン自身が人間の持つ「治癒する力」「良い方向に変化する力」に絶対的な信頼を置いていたということが読んでいると伝わってくる、ということでしょうか。例えばこんなエピソードがあります。ある挑戦的な抑うつ患者の症状がことごとく改善して、患者本人から「あんたの勝ちだ」といわれたエリクソンはこう答えます。「あなたが勝ったんだ」。この言葉にこそ、エリクソンの治療者としての、もっと言えば人間としてのありようがこもっているように感じられるのです。
    患者の言葉で話すこと。患者の仲間になること。治療の主導権は治療者が握るべきこと。つねに未来志向でいること。エリクソンのメッセージは実に含蓄に富むものですが、その語りは、読むだけでエリクソンの治療を受けているような気分になるから不思議です。物語の持つ「力」を感じたい人にはとてもお勧めです。しかし一般の人だけでなく、本書は臨床に携わる人にも読んでもらいたい。その端くれである私も、本書を読んで何かしらの「力」を与えられた気がしました。本書はもしかしたら、臨床家にこそ読まれるべき本なのかもしれない。昔ビデオテープで見た、エリクソンが催眠誘導で用いるあの独特な抑揚の語りを思い出しながら、そんなことをふっと考えてしまいました。中野善行・青木省三監訳。

    (2009年5月入手・11月読了)

  • 畢生の臨床家、エリクソンの「お話」集。 
     わかりにくい、と評されることが多いが、はたしてそうだろうか。引用がなされる前の文脈が当然のことながら省略されているからかもしれない。
     わからなくても、話自体に魅力があるというのがこの本のすばらしいところだと感じる。

     個人的に気になるのは、編者のローゼンがホーナイ派の分析を受けていること。
     ヘイリーを読むと、「反精神分析」が強く印象付けられるエリクソンだが、ローゼンは催眠と分析をどう使い分けていたのだろうか。

  • エリクソンによるお話集。

    なんか、説明が手抜きですね(笑)

    メタファーとかエピソードの使い方の参考にしてください。

  • 精神科医のミルトン・エリクソンが、いろいろな問題を抱える患者へ、リフレーミングをほどこした適切なアドバイスを与えていき、あっという間に、問題は解決してゆく。ん〜、簡単すぎて、それが、また嘘っぽい。リフレーミングの効果は有効だとは思うが、もし、私が、この患者達だったら、理屈の押し付けにしか受け取れず駄目だろうなぁというのが正直な感想。期待していただけに、残念っ。

  • 催眠療法で著名なミルトンエリクソン。彼は、印象的な挿話を語りながら催眠へ誘導したという。患者に起こる変化は、ゆるやかな・永続的なものだったと言われている。エリクソンや催眠というと、非常にキワモノ的な偏見を持つ人が多いと思うが、やわらかで、あたたかいエリクソンの世界を知るには絶好の良書だと思う。

  • 20世紀最大の天才催眠療法家ミルトン・エリクソンがもっとも得意とした手法、そしてもっとも他の精神科医が難解だと感じたのが「クオート(引用法)」です。

    これについて平易な言葉で 解説がされている良書です。


    「どこから治療がはじまって、どこで終わったのかわからない」「魔法のように治ってしまった」数々の伝説の秘密はこれらの物語の中に見ることができます。 ひとつひとつの物語に秘められた深い洞察力と的確な示唆はカウンセラーなどの心理療法のプロの方、子育て中のご夫婦、 職場で指導的立場を持つ方など幅広い方の参考になるかと思います。

全8件中 1 - 8件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マイケル・J・ロ...
ウィリアム・ハド...
フィリップ・マグ...
ロンダ・バーン
トニー・ブザン
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×