- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784946569678
感想・レビュー・書評
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切っても切り離せない肉体と精神と言う人間誰しもが持っている側面に於いて、それぞれを項目に分けて具体的に考えていくと、謙と聡、二人の関係には幾通りもの答えが出てくる、と言う
意味で、物凄く論理的に書かれている。肉体の快楽は精神の満足度に完璧に比例しているのか、と言う部分に加え、このカプにはSM的嗜好がある、と言う事が加わってくる。
【精神】
・性的なものを排除しても相手への恋愛感情があるのか
・性的なものが満たされるから相手を愛しているのか
・性的嗜好に則った相手だったから恋愛感情を抱いたのか
愛は錯覚かもしれない、と疑ってしまう土壌を生むのが性的な嗜好の部分で、それを解き明かし証明するのに精神論では
立ち向かえないのだ。
【肉体】
・ノーマルなセックスと嗜好に準じた行為とどちらが快楽が強いのか
・どちらが愛情の伴う行為なのか
・性的嗜好を封印しても肉体的関係は成り立つのか
男性同士の性的関係には生殖行為は一切含まれないので、性的な快感のみを追及する事が可能だ。愛情があろうがなかろうが、性的に満足を得る為だけの行為が成立する。快楽を得る為、と言う前提がある為に相手がそれを与えてくれれば誰でも良いんじゃないか、と言う側面での葛藤はBLではよく描かれる。そうじゃなくてあなたでなければ駄目なのだ、と言う成就感をカタルシスとして迎える形が成り立つわけだが、この二人に関してはそちらの比重よりもSM的な行為としての肉体関係と、
ノーマルな性的関係のどちらを優先させるのか、と言う面が加わる。読んでいて(これは難問である)と言う感覚になって来て、パズルのピースをはめるような頭の使い方をしていた。小説に対して、頭脳戦を挑まれているような…謎を読み解く為に一つ一つのヒントを拾うように読み進んだ感覚がある。そこに答えはある、と言う具合に。
能代が自分の嗜虐性に理論的な根拠を求めながらも認めたくない気持ちも残りつつ、鞭を振るう場面で、自分が如何に鞭を振るう側で読んでるか気付いちゃったよなー。性格はSだけど肉体的にはMの素養もある、って思ってたんだが(笑)。如何に上手く振るうのか、って考えて実行するのは面白いんじゃなかろうか、と考えている自分に気付いた昼休み…相手を病院送りにせず、快楽を与えられる力加減で実に上手いこと鞭を操れるようになるのは向上心を満足させられるんじゃ…と思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(あらすじ)
長い間探し続け、ようやく見つけたご主人様―
それは嗜虐に抵抗のある「S」だった。
普段は傲岸不遜な「M」の譲は、
そんな彼・聡に申し訳なさを覚えつつも、
やはり支配されることを望んでしまう。
自分を罰しながら昂揚していくときの彼はとても魅力的だったし、
譲はそのすべてを愛していたから...。
「私は、聡さんの快楽に仕えるために、いるんです」
譲はそれまで何度も口にした言葉を、その夜も繰り返した―。
話題を呼んだMによるS育成ストーリー
『快楽の支配者』、待望の続編。