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- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784990362102
感想・レビュー・書評
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視覚の錯誤.認識の齟齬.わたしがあなたである誤作動.
しかし視線は交差している.直線ではないが.
鏡を正面から覗いた時,鏡が逆転させているのは左右ではなく前後であるから,私の目から放射された点線状で途切れ途切れになっている,あるいはくにゃくにゃ歪曲した視線は周囲を旋回し,後頭部を目掛けて飛んでくるのだ.奇妙な視線に刺され曝され攫われる十二篇.
印象に残ったのは【あゆみは独り言を言ったことはない】.あゆみ/AYUMI/A YOU ME.完璧なまでの不完全さを備えた女の名.わたしであり,あなたであるが,誰でもない者.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の二篇が秀逸。小説を構造で遊ぶ。タイのポストモダン、というのも珍しい感触。渇いているようで、内省的な印象。
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タイの作家の短編集。
「存在のあり得た可能性」を読みましたが、珠玉の一編です。言語や文化の相違を超えて、強烈に思いを伝えられる文学というものの存在意義を、改めて感じました。これから社会に出て大人になっていく同年代の人たちに、ぜひ読んでもらいたいです。15分くらいで読めるので。ライオンのくだりとか、もう部屋に大きくコピーした文章を貼っておきたいくらいだ。戒めとして。
あと訳者がすごい。めちゃくちゃ読みやすいです。タイ文学なんて~と敬遠しないでください、絶対おもしろいから!と自信を持っておすすめできます。
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