編集の提案

著者 :
制作 : 宮田 文久 
  • 株式会社黒鳥社
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本棚登録 : 136
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784991126086

作品紹介・あらすじ

社会のなかにはきっと、「編集」がなしうることがある。そのヒントは、伝説の編集者・津野海太郎がつづってきた文章にひそんでいる――。晶文社での活動をはじめ出版文化の重要人物でありつづけ、テント演劇の時代からコンピュータの世紀までを駆け抜けてきた著者による、過去を携え、現在と共に呼吸し、未来を見すえる編集論集。

【目次】
実用本位の夢 編者によるまえがき

第1章 取材して、演出する 
ほんのかすかでもいい、かれと私とをふくみもつ、しかも、かれや私をこえたものの声が聞こえてくればうれしい
テープおこしの宇宙/座談会は笑う/初歩のインタビュー術/雑誌はつくるほうがいい

第2章  人とかかわる、固定観念を脱する 
「そういうのじゃない雑誌のつくり方はないのかな」
太い指とからっぽの部屋/植草甚一さんの革トランク/編集者としての植草甚一/雑誌のロンサム・カウボーイ

第3章 テクノロジーと歩む 
コンピューターの世界にもいろんな裂け目がある。裂け目は固定的なものではなく、ひろがったり、ちぢまったり、動的に再編成されている
シロウトがつくったマニュアル/フランケンシュタインの相対性原理/パソコン通信で対話できるか

第4章 変化を編集する、編集することで変わる 
新しい本のかたちが生まれる場所にはなんらかの民衆的な運動がある
本の野蛮状態のさきへ/森の印刷所/「世界の書」――アジアの髄からマラルメをのぞく

第5章 複製技術は時を超える 
いまあるオリジナルの自分が消滅し、それがゆっくりと未来の世界のうちにとけこんでいく
印刷は編集の敵にあらず/子ども百科のつくりかた/晩年の運動/編集者というくせのゆくえ

鼎談・星座をつくりたい 津野海太郎×若林恵×宮田文久

感想・レビュー・書評

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  • 「鈴木敏夫×津野海太郎」 - SWITCHインタビュー 達人達 - NHK(初回放送日: 2020年11月28日)
    https://www.nhk.jp/p/switch-int/ts/MPZZ23W13W/episode/te/PKZG8ZLYNZ/

    津野海太郎さんの編集「再発見」 アンソロジー「編集の提案」刊行|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14598027

    黒鳥社|blkswn publishers Inc.|note
    https://note.com/blkswn_tokyo

    編集の提案 津野海太郎(著/文) - 黒鳥社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991126086

  • 今の自分にジャストミートな本でした。非常に学びの多かった岩波新書「日本人と読書」の作者!ってことだけで手に取っただけなのですが、すっかり「編集の提案」されてしまいました。只今ちょうど興味を持っているテーマがあって、先日先達にzoomでインタビューしたのですが、この本読んで、よしテープ起こししてみようと慣れないこと、始めています。そんなレベルなのですが…。話し言葉と書く言葉のギャップ、楽しんでいます。インプットする、でもなくアウトプットするでもなく、編集する、という行為の面白さが響いてしまいました。著者はそれを「書き手におせっかいを焼く」と言っています。それはテーマへの興味というより、人への興味ということなのでしょう。児童文学者・今江祥智の中の編集者的特質を評して「おそらく今江さんは、どうせならじぶんで納得のゆく環境のうちで仕事をしたい、じぶんが気持ちがいいと感じられる星座のかたち、星々の配置をつくって、じぶんもそれらの星々の一つとして生きてみたいと考えてきたのだと思う。…略…以来、今江さんにとって編集は星座をつくる技術になった。」と指摘します。さて、ネットの中でネットワークされている今、その中に星座はみえているか?今こそ「編集の提案」が必要なのかもしれません。そして、その昔、晶文社の本が発してた光の光源を知った気になりました。「雑誌はつくるほうがいい」…まさに。

  • 編集の仕事を(無理矢理)演劇で例えるなら、テーマの発見から始まって脚本作り、キャスティングや劇場選び、リハーサルを経てようやく幕が上がる…編集者とはそのすべてにかかわる人と人の間を繋ぐ、究極の裏方、スペシャリストなのではないだろうか。
    もともと小説家による「担当編集者」への謝辞(時には罵り)の類が好きだったのも舞台に立った俳優に舞台裏をチラ見させてもらえた特別感だったのかもしれない。舞台裏を特等席で案内してもらえるアフタートークも含めて全編ご褒美のような一冊だった。

  • 編集って面白いなあ

  •  良い本だ。「本は作るより読むほうが面白い、雑誌は読むより作るほうが面白い」とか、植草甚一さんの重過ぎるトランクとか、『ハッカーズ』や『マッキントッシユ物語』は愛読した。アランケイが近くの大学で講演したとき何故か抽選会がありサイン本もらつた。懐かしい。
     全く関係ない様な本でも愉しめる、懐かしさを感じられるてことか。

  • 実用本位の夢 編者によるまえがき
    第1章 取材して、演出する
    テープおこしの宇宙/座談会は笑う/初歩のインタビュー術/雑誌はつくるほうがいい
    第2章 人とかかわる、固定観念を脱する
    太い指とからっぽの部屋/植草甚一さんの革トランク/編集者としての植草甚一/雑誌のロンサム・カウボーイ
    第3章 テクノロジーと歩む
    シロウトがつくったマニュアル/フランケンシュタインの相対性原理/パソコン通信で対話できるか
    第4章 変化を編集する、編集することで変わる
    本の野蛮状態のさきへ/森の印刷所/「世界の書」――アジアの髄からマラルメをのぞく
    第5章 複製技術は時を超える
    印刷は編集の敵にあらず/子ども百科のつくりかた/晩年の運動/編集者というくせのゆくえ

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著者プロフィール

1938年、福岡県生まれ。評論家・元編集者。早稲田大学文学部を卒業後、演劇と出版の両分野で活動。劇団「黒テント」演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長などを歴任する。植草甚一やリチャード・ブローティガンらの著作の刊行、雑誌『ワンダーランド』やミニコミ『水牛』『水牛通信』への参加、本とコンピュータ文化の関係性の模索など、編集者として多くの功績を残す。2003年『滑稽な巨人 坪内逍遙の夢』で新田次郎文学賞、09年『ジェローム・ロビンスが死んだ』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『最後の読書』で読売文学賞を受賞。他の著書に、『したくないことはしない 植草甚一の青春』『花森安治伝 日本の暮しをかえた男』、『百歳までの読書術』、『読書と日本人』など。

「2022年 『編集の提案』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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