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- / ISBN・EAN: 4988126200305
感想・レビュー・書評
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「許そう。でも忘れないぞ」
ひたすらハイテンションだけれど物哀しいという稀有な空気…画面はキマりまくってるし凄い時間でした。
主人公?はナチスドイツから逃れる為に仲間と地下に潜って武器を作り続け、友人はとっくに戦争が終わった地上で武器商人として成り上がる。主人公に戦争が終わったことを隠したまま。。
地上に戻ったときには戦争も終わってるし祖国も無い。
主人公のクロも友人のマルコも苦手…特にマルコ。。罪深い。
異常に林遣都さんに見えてて(林遣都…)と思ってた吃音の青年とチンパンジーのソニが悲しくて良かった。ラストシーンで流暢に喋ってるのじーんとしました。
ラストシーン、死んだはずの登場人物たちが大騒ぎしてる島がゆっくり岸から離れて流れていくの、旧ユーゴスラビアを表現してるのかなと思ったりしました。
それのしばらく前の、車椅子に座ったまま恋人と撃たれて燃やされて磔のキリストが逆さまにぶら下がってる十字架の周りをぐるぐる廻るマルコと、それを見ながら十字架に頭打ちつけてるクロのシーン強烈でどう思ったらいいか分からなかったです。
花嫁さん空中ひらひらしてたのもとても素敵でした。なにかとある生演奏耳に残る。
クロが空襲の最中に食事し続けてるのは危ないけど、「空腹のまま死にたくない」っていう感覚はすごくわかりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ある程度は,本当の歴史を追っていて,実際の報道映像に登場人物が入り込んだりしている場面もある。ただ,事件が起きている現場は,ユーゴスラビアというあまり身近ではない国のため,基礎知識がほとんどない。それでも,ユーゴスラビアの国民が大国に翻弄されて,独立した後も,またまた国がバラバラになり,何が何だか分かんなくなっていく様子は伝わってきた。
ここで,NHKプレミアムシネマの解説を転載してみる。
鬼才エミール・クストリッツァ監督が、祖国旧ユーゴスラビアの50年に渡る悲劇の歴史を、重厚な映像美とブラック・ユーモアでエネルギッシュに描き、カンヌ映画祭2度目のパルム・ドールに輝いた傑作叙事詩。1941年、ナチス侵攻下のベオグラード。共産党員のマルコは、親友のクロや避難民を地下室にかくまい、武器を製造させ巨大な富を築く。やがて平和が訪れても、マルコは彼らに真実を告げず、地下に閉じ込め続けるが…。
「重厚な映像美とブラック・ユーモア」と聞いて,確かにその通りだと思った。もう一度,じっくり観てみたくなる映画である。 -
BSの映画紹介で、祖国旧ユーゴスラビアの50年に渡る悲劇の歴史を描く、とありそれのみの情報で見始める。最初ドタバタ的な画面。観終わってもう一度解説を読むと、重厚な映像美とブラック・ユーモアでエネルギッシュに描き、とある。なるほど、ドタバタと地下世界と、現実の映像にシンクロさせた進み方、手法としてはとても面白い。正攻法に描くより、斜に構えた、てやんでえ、おいらたちは生き抜くぜ、みたいな気概を感じた。地下世界はあるいは社会主義下、現実の地上世界でも情報欠乏の生活だった、ということを表わしているのか、などと深読み。
最後、地下から出た飼育係のイヴァンに、もうユーゴは無いんだ、という地上の兵士の言葉、それでおまえはクロアチアかセルビアか(国名覚えてないけど分裂した国名)という問いに日本からは想像しえないユーゴの歴史を感じた。でもユーゴスラビアについてほとんどなにも知らないなあと思った。チトーとチャウシェスク、ユーゴとルーマニア、どうもよく分かってなかった。主人公のマルコとクロの顔が似ていて区別つかない時があった。
1941年、ナチスの侵攻下、共産党に共鳴した男二人と二人が想う女優1人をめぐる50年の歴史ともとれる。う~ん、妻を出産で亡くしたクロが女優を背中にくくりつけて奪還する、またひざに載せて飲食、という映像に物理的嫌悪感。
1995フランス、ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、ブルガリア
2021.8.265BSプレミアム -
すごい映画ですね〜
最近クストリッツァ監督の「オン.ザ.ミルキーロード」を観たばかりで 面白かったので 多分 以前にも観たと思うけど、「アンダーグラウンド」を観ました。
こんな 3部作の長編映画なのに 色んな寄り道をしながら
この難しい戦争ドラマをファンタジーのように描く秀作。
音楽もいいし、監督特有の悲劇を笑い飛ばし、喜劇のような作品にしてくれる 何と言っても、動物が沢山出て来て 触れ合うところは 本当に心が優しくなれる気がする。
なんて 自然に人間と動物だけは いつものように存在して仲良くしてるんだろう…戦争の中にあって平和を垣間見る気がしました。ラストの世界観まで圧巻!
1995年・第45回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したエミール・クストリッツァの代表作。1941年、ナチスドイツがユーゴスラビアに侵攻。ベオグラードに住む武器商人のマルコは祖父の屋敷の地下に避難民たちを匿い、そこで武器を作らせて生活する。やがて戦争は終結するがマルコは避難民たちにそのことを知らせず、人々の地下生活は50年もの間続いていく。1996年日本初公開。2011年、デジタルリマスター版でリバイバル公開。
やはり、独特な上に奇想天外に愛が溢れる クストリッツァ監督作品 いいですね。 -
とても長く、途中で辞めようかと何度も思ったけれど、ラストシーンに大変胸打たれたので、最後まで見て本当に良かった。
終盤に向けて加速する展開、加速する音楽、人々も回る回る...その回転にどんどん引き込まれていきました。
ものすごくパワフル...!! -
映画の長さに怖じ気づくけれど、マルコが何をしているのか、どんな嘘をついているのか分かってからは面白い。ぱっと見ドンチャン騒ぎばかりで政治を直接語らず、お行儀良くも説教くさくもない、戦争映画らしくない映画なのに、最後には戦争の悲惨さや人間の愚かしさ、祖国とは何かを考えさせる作品。
ミュージカルっぽかったりファンタジーっぽかったり、主役が山師だったりと、万人が観て素晴らしいと思う作品ではないので、頑張って二章の頭ぐらい観てそれでも合わないと思ったら止めていいと思う。映画はそこから更に一時間半ほどあるので観るのは苦痛でしかないでしょうから。 -
「昔、あるところに国があった」
本作は、クストリッツァ監督の祖国、今は無きユーゴスラビアへ送る鎮魂歌なのでしょう。それもとびっきり陽気な。
悲しさと陽気さが混在した世界。
悲惨であるはずの場面ほど、おかしくて笑ってしまう。
そして、強烈でぶっ飛んでいて、だけど愛おしい登場人物たち。
きっと本作を観た人はみんな、マルコとクロのことが大好きになるんじゃないかな。
鑑賞中は笑いっぱなしだったけど、しばらくしてから監督の祖国への「想い」が波のように押し寄せてきて、涙がでました。
(1995年 フランス/ドイツ/ハンガリー) -
私にはどうしてもエミール・クストリッツァ監督の良さが理解できないが、これまで観た中(オン・ザ・ミルキー・ロードと黒猫白猫)では一番理解できた。
ただやはり尺が長い。
個人的には政治的信条は抜きにしたブラックコメディーにまとめ上げても良いと思う。
マルコやクロがどのようにして生き延びているかの詳細が描かれないのも説明不足。
※特にマルコが世界的に指名手配しているにも関わらず、しぶとく密輸ビジネスを繰り広げていたり(そのくせアッサリと民兵に殺されるとか…)、クロがその組織のリーダーだったり…
最後の披露宴と、その場所だけ切り離されていくシーンは本作の本質だと思われるが、やっぱり私には解せなかった。
クロ夫妻が息子の年齢で言い争っている時に、そこは現実ではなく天国での出来事なのだと匂わせる分かりやすさがあっても良いと私は思う。 -
許そう、だが忘れない
ナチスから逃れて地下に潜んだのち、戦後は地上に出て、地下の人を騙し搾取する側と、地下で戦争が紡いでいると思い込み搾取される側に分かれて冷戦を過ごし、そして冷戦後の内戦。
この国の歴史のことなんだろうな。
勢いとか下品さは苦手だけど、重い作品