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- / ISBN・EAN: 4988013310506
感想・レビュー・書評
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ブルックリンの片隅にあるタバコ屋を行き交う人々の物語。
14年間毎日同じ時間・同じ場所で写真を撮り続ける店主、
銀行強盗に妊娠中の妻を殺害され、書けなくなった小説家、
12年前、事故で母親を失い、父親に捨てられた黒人の少年など、
複数の人間模様が章立てでパラレルに描かれている。
タイトルにもなっている喫煙シーンは作中も随所に出てくる。
喫煙者、喫煙経験者なら分かるが、タバコは「間」を創る大人の道具。
アウトプットしながら生きるには、インプットしないといけない。
吸って吐くという行為にはそんな大人たちの「間」というメタファーが潜む。
眼の前の現実は、過去の原体験の積み重ねで世界化される。
店主の撮った4000枚に及ぶ写真1枚1枚をゆっくり見ることの意味は、
原体験を丹念に形象化して、現実の世界を創ることにあるのだろう。
実に映画らしい、素晴らしい映画。
飾らない大人の男たちがブルックリンで静かに笑っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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yamaitsuさんこんにちは。
これ恵比寿ガーデンシネマに見に行きました!
ゆったりした時間を感じてとても好きです。
煙が登ってゆく...yamaitsuさんこんにちは。
これ恵比寿ガーデンシネマに見に行きました!
ゆったりした時間を感じてとても好きです。
煙が登ってゆく画像だけでもすごく良い雰囲気ですよね。
続編の「ブルー・イン・ザ・フェイス」も見に行きましたが、
またちょっと違う切り口で、わたしは「スモーク」のほうが好きだなあという感じ。2021/08/21 -
淳水堂さん、こんにちは(^^)/
おお、映画館でご覧になられたのですね!
私は昔ビデオかテレビで見たのですが、おばちゃんになった今見ると...淳水堂さん、こんにちは(^^)/
おお、映画館でご覧になられたのですね!
私は昔ビデオかテレビで見たのですが、おばちゃんになった今見るとさらに染みました。
すごくハッピーじゃなくても人生悪くないと思えるのがいいですね。
「ブルー・イン・ザ・フェイス」は見ていないのですが、切り口違うのですか。
機会があれば見てみます!2021/08/21
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映画はタバコの「けむり」を測ったウォルター卿の逸話から始まる。かれは最初にタバコの重さを測り、吸ったあとに灰がらを集めて元の重さからひき「けむり」の重さを証明した。この「けむり」が映画のテーマでもある「うそ」の隠喩として表現され、5人の登場人物をからめて物語は動き出す。
彼らは全員うそを抱えて生活を送らなければならない。法律のため、職業のため、保身のため・・・。どんな人間でも、聞き流すことのできない言葉と同じように引っかかって割り切られない過去がある。ユーモアや警句を挟みながら物語が進むにつれて、それらが明るみになっていく。
最終的には「けむり」の重さを測っていたつもりで、じつは「タバコ」の重さを感じていた。映画のところどころに挿入されているトムウェイツの音楽も雰囲気があって良かった。 -
1995年公開のアメリカ、日本、ドイツ合作映画。
ブルックリンのとある煙草屋を舞台に、
毎朝14年間同じ時刻に店の前で写真を撮り続けている
煙草屋の店長オーギー、
出産間もない妻を失って以来
ペンを握れずにいる小説家ポール、
車にはねられそうになったポールを助けた
黒人少年ラシードなど、
そこに集まる様々な人たちのエピソードを
煙草の煙のように
じんわりと暖かく描いたユーモアと人情味溢れる
心に染み込むような作品。
第45回ベルリン国際映画祭特別銀熊賞受賞作。
いやぁ〜
こういうの大好きです。
アメリカを代表する小説家ポール・オースター原作ということで、
好きな人にはたまらない作品でしょう。
それぞれの日常で起こるちょっとした出来事を
過去と現在を織り交ぜながら
淡々と描いた話、
ただそれだけなのに
哲学的で印象深いセリフの妙もあって
じんわり切なくて
あったかい気持ちをくれる。
(タバコの煙の重さのエピソードがいい)
人を幸せにする嘘が
それぞれの話に含まれてるのも
うまいなぁ〜。
重くならずにさりげなく、下町に生きる人たちの生きざまや哀愁が浮かび上がってくる脚本や構成も見事としかいいようのない
素晴らしい出来。
なんといっても
煙草屋の主人公を演じたハーヴェイ・カイテルの魅力に尽きます。彼でなければこの作品の味わい深さは得られなかったんじゃないかな(煙草を吸う姿がこれほど似合う俳優もいない笑)。
クライマックスの
クリスマスの寓話を語るハーヴェイとウィリアム・ハートのシーンは、何度観ても惹き付けられる名シーンです。(トム・ウェイツの『Innocent When You Dream』がいい!)
単調で面白くない毎日に感じても
同じ日は二度とない。
街はセットや背景なんかじゃないし、
今日の朝の光と
明日の太陽は同じじゃない。
街は生きていて
朝は毎日違う。
煙草の煙のように消えていく儚い毎日だからこそ、そこには刹那な輝きがある。
そんな当たり前だけど意識しなきゃ分からないことを、この作品は心に染み込むように静かに教えてくれます。
疲れた時は
立ち止まって
また見返してみようかなって思える作品です。
人生の苦味(煙草もね)を愛しいと思える
大人なあなたにオススメします。
(コレを気に入ったなら外伝となる
『ブルー・イン・ザ・フェイス』もオススメ!) -
包容力のある大人な映画だった
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ニューヨーク、と言ったってすべてがお洒落でカッコよくてヴァイタルでデンジャラスというわけではない。街角が市井があって、それは誰にも省みられずに紫煙とともに霧散する。
パイプ。葉巻。紙巻。こういう話ができる誰かに会いたくなった。そうだ!開高健だ。 -
袖振り合うも他生の縁
嘘も方便
いいなぁ、この映画。
もちろんフィクションだけれど
等身大なお話をほんの少しだけデフォルメした感じ。
感動的なモチーフだけど涙が止らないとかじゃない
わざとらしくなくサラリと語られてゆく。
色んな嘘。それがもたらすあれやこれや。
ここに出てくる人たちは善人じゃない。
根っからの悪人でもない。
良いこともするし、出来心で悪いこともする
いたって俗っぽいひと。
そこはかとなく漂う優しい空気が心地よい。
この世界をいつまでも見ていたいなぁと思う一本でした。 -
初めて見たのは、小学生の頃だっただろうか。
あの頃の私には、ちょっと大人な映画過ぎてこの映画の良さが
全然わからなかった。
そして、タバコを吸うような年頃になって再度見るととても素敵な
物語だということが分かった。
直近で祖母を亡くした私にとってこのカバーにあるシーンの場面は
かなりの涙もの。
ひたすら無償の愛を注いでくれた祖母と重なって
祖母を思い出して涙があふれてしまった。
煙草屋店長をはじめとして登場人物たちのキャラも素晴らしい。
みんな、何かしら辛い過去を背負っている。
痛みを知っているからこそ、人間は人に対して優しくなれる。
そんなメッセージがあるような気がした。 -
ザ・アメリカンな映画。黒人の親子の触れあいとタバコ屋の主人と盲目の「見知らぬ」ばあさんとの触れあい。smokeはあまり関係がないというのがミソ。
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完璧