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- / ISBN・EAN: 4982509311473
感想・レビュー・書評
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ピコリの顔を見ているだけでスカスカになったある心の領域が満たされていくような映画だった。彼の視線を再現するカメラワークがよい。
終わり方が不吉なんだけど、これはこういうものなのかな…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画好きをしているとときどきこういうものにぶつかる。
老いっていうのは恐怖だし、何があってもがんばろうという気持ちにけちをつけたいわけじゃないが。
あきらめたり「孤独を生きることを選ぶ自由」は誇り高いことだ。
図らずもそうなってしまうのではなく、選ぶ、と言えるような人生を送りたい。その後味は甘美であるはずだ。 -
邦画の家路。
記録のため。 -
パリの街で、孤独にたえる孤高の男、そのコントラストだけで、もうため息でちゃう
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映画を扱う授業をとったので今日見たものを。
マノエル・ド・オリヴェイラ監督による、突然の事故で妻と娘夫婦を亡くしたベテラン老俳優(ミシェル・ピコリ)のパリでの日常。娘夫婦の残した一人息子と生活するようになり、孤独とともに小さな幸せを見つける。しかし自分と自分の演技する役が時折重り、また自分の老いや限界を感じるようになる。
静かな生活、パリでの日々。淡々と物語は進む。
授業でやったことの完璧な受け入りではあるが、オリヴェイラ監督が撮る映画とは、ドキュメントである。この「家路」でもフィクションの自然さ(登場人物の顔に一回一回カメラを合わすだとか)と捨てている。だから主人公がカフェに入るシーンは外から映し、中の会話は聞こえず外の雑音のみが流れる。また映画の撮影シーンでは監督(ジョン・マルコヴィッチ)の顔ばかりが延々と映し出されたりする。会話中の主人公の靴だけを同じように映し続けるシーンもある。それは映画においてセリフ・テキストが主役であり、登場人物の動きと関係ないものを映すことによって見ている者をセリフに耳を傾けるようにするためでもある。
オリヴェイラという監督がいることも知らなかったが、とても丹念に作りこまれた映画であると感じた。御年98歳という驚くべき年令の監督ではあるがこれからもこんな作品を作ってほしい。それを見てみたいと思わせる作品であった。