隠し剣 鬼の爪 通常版 [DVD]

監督 : 山田洋次 
出演 : 永瀬正敏  松たか子  吉岡秀隆  小澤征悦  田畑智子 
制作 : 迫本淳一 
  • 松竹
3.74
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本棚登録 : 328
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105043589

感想・レビュー・書評

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  • 「前作『たそがれ清兵衛』の二番煎じ」「同じことやってるだけでつまらない」ってみんな言うけど、ちょっと待ってくださいよぉ!山田洋次監督って同じようなことやる映画を46本も撮った人じゃないですか!笑
    山田監督が影響を受けた監督、ひとりは当然黒澤明、もうひとりは小津安二郎で、この三部作はその融合なんだと思う。山田監督は小津さんを「毎回同じような内容ばかり」って批判してたそうだけど、いやアンタもじゃん!と笑。で黒澤さんが小津さんの映画観てたので考えを改めたそうですが、松竹だから直系に近いですよね。前作も今作もローアングルで撮ってる箇所があって面白いです。

    とか言いつつ僕も途中まで「前作とほぼ一緒じゃねえか…こりゃダメだな」と思ってました。ところがこれ、前作と同じと見せかけといてラストで違う方向、もう一段上に行きますよね。ここにすごくびっくりした。
    原作未読だから正確に言えないけど、前作も今作も時代設定が幕末なのは山田洋次監督のオリジナルなんじゃないのかな?ここが一番大事な点でした。
    どちらの作品も、主人公が対決する相手の方が「今の我々の目からすれば正しい」んです。正しい、は言い過ぎだけど…我々は幕藩体制が終わることは歴史的事実として知っている。主人公はあくまで封建制の内側にいるから、任務を遂行するしかないのです。(今で言うところのパワハラですね)
    前作で僕が物足りないと思ってたのは実はこの点でした。今作では結局最後に悪を討つのだけど、主人公はその虚しさに気づいてしまう。ここがすごくて、前作を瞬間的に越えた点だと思う。
    要するに、こんなことしても社会は変わらないし、人々は幸せにはなれないって気づく、封建制の内側で武士として生きてきたことの虚しさに気づくってことです。

    キャスト、永瀬正敏と松たか子…前作と同様にまたどちらも好きじゃない笑。しかし田畑智子さんが大好き!かわいい!!ずーっと田畑さんがアップにならないんですがたぶんわざとで、ラストの方でやっとアップになるのが良い。
    永瀬正敏の月代はたぶん地毛?前作を越えてる点のひとつです。

    剣の相手としては小澤征悦よりも田中泯さんの方がやっぱり上でした。前作の清兵衛の師匠、戸田しぇんしぇいが今回登場します。ただし名前が違うので別人設定かも。

    それと今回はやはり緒形コブシさん!!前作の家老はメイクがおかしかったけど、今作はコブシさんなのですごく良い。
    で、コブシさんといえば藤枝梅安なのを念頭に置いて観ると大いに楽しめます。
    永瀬正敏が「シュッ!シュッ!」って練習するシーンが最高。

    ラブストーリーとしては前作よりも今作の方が好きです。身分違いなので泣ける。前作の宮沢りえは先進的な女性像として描かれてたけど、今作の松たか子はやはり封建制の内側にいる女性。なので「命令」ってなる。ここ気に入らない人が多いのは、今の目で見てしまうからじゃないかなと思います。

    コメディ要素は今作の方が少なめで、砲術の教練のとこぐらいだと思う。大砲が後座するのを描くとは!シャープスカービン銃も。あとナンバ歩きのくだりが面白いです。

  • 隠し剣 鬼の爪 2004
    映画時代劇ロマンスドラマ
    日本 Color 131分
    初公開日: 2004/10/30 公開情報:松竹

    監督
    山田洋次
    製作
    久松猛朗
    製作総指揮
    迫本淳一
    プロデューサー
    深澤宏
    山本一郎
    原作
    藤沢周平
    『隠し剣鬼ノ爪』『雪明かり』
    脚本 山田洋次 朝間義隆
    撮影 長沼六男
    美術 出川三男
    美術監修 西岡善信
    衣裳 黒澤和子
    編集 石井巌
    音楽 冨田勲
    音楽プロデューサー 小野寺重之
    照明 中岡源権
    録音 岸田和美
    出演
    永瀬正敏 片桐宗蔵
    松たか子 きえ
    吉岡秀隆 島田左門
    小澤征悦 狭間弥市郎
    田畑智子 島田志乃
    高島礼子 狭間桂
    光本幸子 伊勢屋のおかみ
    田中邦衛 片桐勘兵衛
    倍賞千恵子 片桐吟
    田中泯 戸田寛斎
    小林稔侍 大目付・甲田
    緒形拳 家老・堀将監
    赤塚真人
    松田洋治
    神戸浩
    近藤公園
    笹野高史

  • 山田洋次監督2004年作。永瀬正敏、緒形拳、高島礼子出演のアクション時代劇。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    友の妻(高島)を手篭めにした悪代官(緒形)を永瀬が瞬殺する話。

    <コメント>
    山田洋次監督だが人情はテーマ外のようだ。
    ドラマとしては面白い。メッセージはなかったけどアクション映画だから仕方ないかな。前半は松たか子が中心なのに、最後は高島さんが前面に出てきて、ストーリー的にはややちぐはぐかも。永瀬正敏の鬼気迫る演技に引き込まれた。

  •  幕末を控えた変わっていく予兆が見える頃、一人の身分の低いが剣は立つ武士が自分の生き方を貫く話。

     この映画は非常にすっきりとしている。
     身分やら何やら何とも言えない不条理、それにじっと耐える主人公の永瀬。そしてもうガマンならんと主人公と視聴者が思った瞬間、隠し剣が炸裂する。このカタルシスがいい!
     好きなのは、永瀬が隠し剣をやる前に黙々と隠し剣の練習を繰り返すシーン。彼の愚直さと秘めた怒りの爆発が混ざって何と言えない。
     そして主人公は武士という身分を捨てる。そして身分の為に結ばれなかった相手に自分の想いを告げ、結ばれる。 今まで歯がゆくて歯がゆくて見てた人たちが、もうそれは拍手したくなるような展開。 ここでの、「それは命令でがんすか?」 「そうだ」 ってやりとりも好き。

     ハッピーエンド版寅さんみたいな映画。山田洋次らしさが出ている。

  • おくゆかしい映画。
    幕末。東北の平侍、片桐宗蔵のはなし。

    静かな映画なんだけれど、
    それは、空しさや怒りや愛情など、
    宗蔵の感情が胸の内にしまわれているから。

    口数が少ないぶん何気ない一言やそぶりで
    和んだり、ぐっときたり・・・

    一度観たはずなのに印象が薄かったのは、
    そうゆう部分がわかっていなかったからだとおもう。

    女中きえとの、大和歌のくだりが幸せそうですてき。

    これからもたまに観たい。

  • 緒形拳がよかった。こういう役を受けられる人だったんだと。「隠し剣」がどんなものか、最後まで気になりながら見られた。

    身分制度とか武士の不条理など、『たそがれ清兵衛』と共通するテーマもあるけれど、ちょっとひねるだけでまた新鮮な気持ちで見られる。

    田舎の風景もよかった。郷愁をそそられた。

  • 背景は幕末の東北の海坂藩だが、形式ばった感じがなくて、時代劇らしくない。
    緒形拳の家老が本当のワルで、自覚のないそのワルさ加減が良い。

  • 2004年、日。藤沢周平の同名小説が原作、音楽冨田勲。
    例によって海坂藩の幼馴染3人、出世して江戸へ出たはずの一人が謀反の疑いで強制送還、投獄されるも脱獄。
    これを討つよう命じられるのがかつての仲間。首尾よく討つが、それを命じた家老の悪行に耐え兼ね、家老を暗殺。そ
    の後、武士の地位を捨て蝦夷に行くといって、かつて助け出した女中に求婚。という結末。
    都合が良いなぁ、という印象。

  • いたずらに終わらなくて良かった。
    かっこよすぎ、可愛いすぎ。
    サムライって、生きにくかったんだね。

  • 隠し剣とは一体何なのか、物語の終盤それは明らかになる。緒形拳演じる家老・堀将監への制裁は、観客もあっけにとられるほどに一瞬。流石必殺技である。その他、身分の違いによる恋も描かれている。

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著者プロフィール

1931年大阪府生まれ。54年、東京大学法学部卒。同年、助監督として松竹入社。61年『二階の他人』で監督デビュー。69年『男はつらいよ』シリーズ開始。他に代表作として『家族』(70)、『幸福の黄色いハンカチ』(77)、『たそがれ清兵衛』(02)、『家族はつらいよ』(16)など。2012年に文化勲章を受章。

「2019年 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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