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- / ISBN・EAN: 4580120516323
感想・レビュー・書評
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『アメリカングラフィティ』、昨年ようやくちゃんと観た際にはあまり面白く感じなかったけど、2度目を観ると面白かったので、繰り返し観るとどんどん面白くなっていくタイプの映画なんだろうなと思う。
ジョージルーカスと言えば、世間的に今はもうスターウォーズの人になってるけど、『THX1138』『アメリカングラフィティ』『スターウォーズEP4』までを初期の三部作として観るとまた全然見方が変わってくると思います。
この三つはどれも「閉鎖的な場所から旅立とうとする(青春)映画」なので、構造的にほぼ同じ。ルーカスの私小説的な部分が入っている。
アメグラの主演はリチャードドレイファスで、この作品だとルーカスの分身役。この2年後の『ジョーズ』ではスピルバーグの分身役で、『スタンドバイミー』だとスティーヴンキングの分身役と、色んな人の分身、オルターエゴを務めているのが面白い。
主人公に妹がいて、その妹がハリソンフォードに惹かれる…というのもスターウォーズと同じ。ハリソンフォードの車=ミレニアムファルコン。
ちゅうことは、この映画のウルフマンはオビワンケノービと近い立場のキャラクター。
元々はルーカスが企画していた『地獄の黙示録』でのハリソンフォードの役名はルーカス大佐なので、もうひとりの分身。岡本喜八作品の天本英世的な俳優がハリソンフォード。
1973年に1962年を描いた作品、ここが非常に重要な点。
62年なのでビートルズを始めとするブリティッシュインヴェイジョンの直前、だから使われていない。ビートルズを使うと「アメリカン」グラフィティにならない笑。
それと、キューバ危機が1962年10月なのでその直前。ケネディ大統領が暗殺されたのは翌1963年と、その前年なのも象徴的。
『ドリームガールズ』にて描写されてたけど、ビーチボーイズがブレイクした『サーフィンUSA』も1963年。これは原曲がチャックベリーの『スウィートリトルシックスティーン』。これ以前のロックンロールも、黒人音楽に白人が影響を受けたもの。
この映画のDJウルフマンも同様、白人の若者は黒人音楽に対する憧れ、クールなものって思ってたのに、当時は親世代からは容認されてなかった頃。特に田舎町なんかだとその傾向が強かったと思う。
ベトナム戦争、ケネディ暗殺、黒人差別問題(公民権運動)と、1962年の時代設定にしてこの三つをあえて描写しないことで浮き彫りにした点が、この映画の特徴でありすごいところです。
1973年公開なのも重要な点で、アメリカンニューシネマがだんだん終わっていく丁度転換点になった頃。というより、この作品と75年の『ジョーズ』がアメリカンニューシネマを終わらせるきっかけだったのではと。76年の『タクシードライバー』と『ロッキー』で完全に終了、といった感じ。
ここから映画の中身の話。
個人的に好きで微笑ましいのは、やはりジョンとキャロルちゃんのくだり。キャロル役の人は撮影当時12歳だったとか。
男友達4人がバラバラになって別行動をするけど、ドレイファスが秀才、ロンハワードがリア充、ジョンが走り屋の不良、メガネ君が気弱ないじめられっ子タイプとこれまた全員バラバラ。スクールカーストがある現実世界でこの4人がツルむってことは珍しいと思う。(映画でスクールカーストが描かれたのは『ブレックファストクラブ』でだからずっと後)
ただし、現実世界でも「オタクとヤンキーが仲良くなるパターン」ってのは我々世代までは実際にありました。『特攻の拓』みたいだけど笑、ほんとにあります。
ドレイファスの車が2CVでフランス車、メガネ君がベスパGSと、欧州車=非モテ、アメ車=モテなのも「アメリカン」でまさにブリティッシュインヴェイジョン前。
演出方法、ルーカスは失敗やNGをOKにして使ったそうで、ドキュメンタリーに寄せているのが「グラフィティ(落書き)」的。
この後「アメグラもの」として似たような作品が多く作られるほど影響力があった作品だそう。
その作品群は世代的によく知らないけど、だいぶ後だと『マチネー』や先に書いた『スタンドバイミー』、あと『ギルバートグレイプ』なんかも近いところがあるなあと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
60年代アメリカの空気感
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車と音楽とウルフマン。アメリカの地方都市の青春群像。
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明日、短大へ進む為地元から出るか、残るか、悩むカートとスティーブ。一晩それぞれ恋人や誰彼と過ごす中、二人の考えは逆になる。
ザ•ロードムービーといった印象。彼ら二人を取り巻くジョンとリッチーを中心とした群像劇も面白い。
とくにジョンがカーレース不動の一位って伝説の男なのに、13歳くらい?な女の子に振り回されたり自分がもう過去の人間だって悟ってるあたり、哀愁を感じる。青春。 -
どこかで紹介されていて観てみた1本。アメリカの田舎町で上京直前の仲間たちの、そのまちでのいいところも悪いところも描いてみせた1作で、こういう思い出と仲間のいるまちがいろんな人のバックグラウンドにあるんだろうと思わせる1本でした。自分の場合は幸か不幸か東京の近辺で暮らしてきたことで、帰省をする実感やかつての仲間たちとの同窓会もずいぶん少なくなってしまったけど、またそんな人たちと再会する機会でもあればこの映画のような思い出を語り合うのも楽しいかもなと思った1本でした。
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ベトナム戦争が始まる前のアメリカが「明るく楽しいアメリカ」だった最後の時代をまざまざと見せつける映画。他愛もない一夜を描いた作品。それがかえって「諸行無常」を見ている者に見せつけているのかもと見ていて思った。
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1960年代のアメリカ。
映画全体を通して曲が流れる。車のラジオから。
高校を卒業して翌日旅立つ男の子たちが夜、車で町をクルージングしながら、女の子を誘ったり、モメたり、カーレースをしたりする、青春な話。
メルズドライブインのウェイトレスがローラースケートを履いて食事を届けていて素敵だった。
メイキング映像では若かった役者たちが年をとった姿が見れる。監督のジョージ・ルーカスが顔かっこいい。 -
特に何のメッセージ性もないのだけれど、なんとなく好き。
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ベトナム戦争やら激動の70年代に、60年代初頭の素晴らしき日々を描いて対比することによって、70年代の陰鬱さを浮き彫りにし、そしてノスタルジーに浸った作品。
この作品のもつ魅力はわかってるはずなんだけど、どうしても好きになれない。というのも、60年代初頭に懐古することは結局、現実逃避じゃないか?と思えて仕方がない。黒人は出てこないし、白人の中流階級のための青春物語にしか過ぎない。
ただし、最後のエンドロールは良くって、ここでやっと現実が突きつけられる。60年代初頭の人種、階級、悩み、夢などが無意味となるということを。ノスタルジーに浸りながらも、70年代の閉塞感を漂わせている。
個人的にはパロディ化された『アニマル・ハウス』のほうが好き。 -
1973年アメリカ公開の、サブタイトルは「Where were you in '62?」の映画。
この年代のクラシックカー? 好きな私は、専ら車を楽しむばかり…。ストーリーの良さはいまいちわからず。
でも、若いハリソンフォードはかっこよかった…。