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- / ISBN・EAN: 4933364691231
感想・レビュー・書評
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淡々と静かで、とても詩的で、少し不思議て、でも吸引力のある作品でした。対照的な二人の現役天使と、物憂い人間の世界を巧みに生き抜いた感のある一人の男という三人の人物の対比、姿は見えないけれど天使に見守られながら日々を生きる人々の姿。
それらが、詩的な台詞と、いまだベルリンの壁がそびえ立ち戦争の荒廃が残りながらも復興で移り変わる都市の映像によって、叙情的に描かれています。
そばにいるはずなのに、人間には見えずに、そのままでは決して関わり合うことのできない天使と人間の関係性。
その断絶を、悠久の時の中で代わり映えのない日々を過ごす天使目線の世界を白黒映像とし、限られた時の中で人生を選んで決めていくしかない人間の世界をカラー映像として表した演出は、巧みで、乙で、印象的。
あと、色や匂い、温度の概念の表現の仕方も。
ラブコメでもないし、アクションでもないし、歴史映画でもないし、といって、ファンタジー映画とも言い難いし(ファンタジーではあるのでしょうけど)、何と分類していいかわからないつくりなのだけど、なんだかとても魅力的。
どうにも適した表現が見つからずに、「魅力的」という曖昧な言葉を使う自分の語彙力のなさには悔しさを感じますが。
当時のリアルと思われるベルリンの街を写したカメラワーク。
そこに生きる人々の悲哀。
廃業するサーカスのブランコ乗りの娘に恋してしまった天使ダミアンの無邪気さと、重要な決断の後、実際に「世界」を知って揚々とする様。
道は分かれたけれど、無表情に友を静かに見守る天使カシアス。
コミカルに、人生の奥深さと、経験と時間の積み重ねの意味を体現した、著名な某アメリカ男。
…と色々な要素な綺麗に纏まっているからかもしれません。
強いていうなら、アート系映画ですね。
独特の情緒はあるのだけど、展開に大きな動きはないので、評価が分かれるのもさもありなん。
それでも、個人的には、細かい演出の積み重ねによって構築した独自世界は、いいなと思った作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間に恋をした天使が永遠の命を捨て、人間になりたいと願う
詩的でロマンチシズムあふれるヴィム・ヴェンダース監督の
哲学的思想が詰まった美しすぎる傑作☆
1987年カンヌ国際映画祭
最優秀監督賞受賞作。
冒頭の
『子供が子供だったころ』の詩で
いつも涙腺をやられてしまいます(汗)
個人的に好きな映画のベスト10には必ずランクインする、
今でもお気に入りの作品です♪
寒々とした
壁崩壊以前の貴重な
ベルリンの風景と、
ワンカット、ワンシーンに徹底的にこだわり、天使から見るモノクロ映像と、人間に見える色鮮やかなカラーを使い分けた、叙情的とも言える映像美がとにかく見事です!
印象的な言葉や
詩的なセリフの数々と、重厚な音楽が心地いい空間を作ってくれる。
感じること、悩むこと、好きな人に触れること、食べる飲むなど、人間なら当たり前なことに憧れを抱くおじさん天使の(笑)純粋さに思わず微笑んでしまいます(o^-^o)
『人間はいいぞ〜』と誘う元は天使だった先輩堕天使を、刑事コロンボのピーター・フォークが本人役で出演し(笑)、お茶目ないい味わいを添えています♪
空中ブランコ乗りの女性に恋をし永遠の命を捨て、人間になって初めて気付く、その鮮やかな色彩。
映像がモノクロから
カラーへと変わる瞬間、コーヒーの温かさや目に見える世界の美しさに、自分自身が天使から人間に生まれ変わったダミエルと同化して、なぜだか涙がこぼれます…。
人と話すことも、コーヒーを飲むことも、誰かを愛することも、全ては美しく儚く、限りある命だからこそ、今見える世界の全ては
かけがえのないものだということにあらためて気付かしてくれる。
ラストに出るクレジット☆
かつて天使だった
小津安二郎、
フランソワ・トリュフォー、
アンドレイ・タルコフスキー
に捧げるという言葉にまた熱いものが…(泣)(T_T)
過去と現在が交錯する図書館を筆頭に(笑)
あなたの周りにも
天使は必ず潜んでいるハズ。
(伊坂幸太郎の『死神の精度』の元ネタは
この作品です)
誰もが楽しめる娯楽作ではないし、難解で退屈に感じる人も多いかもしれないけど、ハマる人はとことんハマるだろうし、鑑賞後は
少しだけ世界が違って見えますよ♪
なおロックファンには、カッチョいいニック・ケイヴ&バッドシーズのライブシーンも必見です!(^O^) -
映画版の読書会の課題映画。日本ではミニシアターのみの上映にも関わらず、億単位の収益をあげた。80年代のミニシアターブームを代表する映画に数えて良いだろうと思う。決して「楽しい」映画ではないのだが、最後まで引き込まれる魅力に溢れた作品だと思う。主演俳優のほとんどがこの世の人ではないのが悲しい。
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ベルリンの壁崩壊からちょうど十年の年に、東ベルリン地域をがっつりディープに昼も夜も旅行した。
当時はまだ再開発も途中で、分断されていた頃の名残のような放置された建物がたくさんあって、英語の通じない現地の人たちもたくさんいた。
共産主義の陰鬱な空気の残滓を肌にちりちりと感じられた。
それから、さらに五年ぐらい後。
どっぷりEUに浸かったベルリンに再訪した。
徐々にトルコ系以外の移民が増えてきた頃だった。
ベースキャンプにしてた知り合いの家があるフランクフルトとは異なり、ベルリンはやっぱり荒んだ空気がそこはかとなく漂っていた。
昔とはまた違う閉塞感があった。
そんなベルリンの空気が如実に描かれていたモノクロの前半。
天使がある女性と出逢った瞬間に画面がカラーに変わる。
私は映画でこれほど鮮やかな変換を見たことがない。
けれど、ベルリンはカラーであっても呼吸が重たく感じる何かがあり、それが映画からも滲んでいる気がする。 -
ベルリンの街を傍観する天使の物語。
抽象的な話が冗長に語られ、約2時間の物語が長く感じた。 -
人間に恋をした天使が永遠の命を捨て、
人間になりたいと願う
詩的でロマンチシズムあふれるヴィム・ヴェンダース監督の
哲学的思想が詰まった
美しすぎる傑作☆
冒頭の
『子供が子供だったころ』の詩で
いつも涙腺崩壊…(T_T)
自分が好きな映画の中で
10本の指には必ず入る、
今でもお気に入りの作品です♪
寒々とした
壁崩壊以前の貴重な
ベルリンの風景と、
ワンカット、ワンシーンに徹底的にこだわり、
天使から見るモノクロ映像と、
人間にしか見えない色鮮やかなカラーを使い分けた、
叙情的とも言える映像美が
とにかく見事!
印象的な言葉や
詩的なセリフの数々と、重厚な音楽が
心地いい空間を作ってくれる。
感じること、悩むこと、好きな人に触れること、
食べる飲むなど、
人間なら当たり前なことに
憧れを抱くおじさん天使の(笑)純粋さに
思わず微笑んでしまいます(o^-^o)
『人間はいいぞ〜』と誘う
元は天使だった先輩堕天使を、
刑事コロンボのピーター・フォークが本人役で出演し(笑)、
お茶目ないい味わいを添えています♪
空中ブランコ乗りの女性に恋をし
永遠の命を捨て、人間になって初めて気付く、
その鮮やかな色彩。
映像がモノクロから
カラーへと変わる瞬間、
コーヒーの温かさや目に見える世界の美しさに、
自分自身が天使から人間に生まれ変わったダミエルと同化して、
なぜだか涙がこぼれます…。
人と話すことも、コーヒーを飲むことも、
誰かを愛することも、全ては美しく儚く、
限りある命だからこそ、今見える世界の全ては
かけがえのないものだということに
あらためて気付かしてくれる。
ラストに出るクレジット☆
かつて天使だった
小津安二郎、
フランソワ・トリュフォー、
アンドレイ・タルコフスキー
に捧げるという言葉にまた熱いものが…(泣)(T_T)
過去と現在が交錯する図書館を筆頭に(笑)
あなたの周りにも
天使は必ず潜んでいるハズ。
(伊坂幸太郎の『死神の精度』の元ネタは
この作品です)
誰もが楽しめる娯楽作ではないし、難解で退屈に感じる人も多いかもしれないけど、
ハマる人はとことんハマるだろうし、
鑑賞後は少しだけ世界が違って見えますよ♪
なおロックファンには、カッチョいいニック・ケイヴ&バッドシーズのライブシーンも必見です!(^O^) -
天使の視点はモノトーンで
人間の視点はカラー
人間に恋した天使が
自分の血に感動し世界の色を確認し
コーヒーの温かさに触れた時
自分が人間になったことを実感する
そしてブランコ乗りの女性と恋に落ちる
天使と言ってもオッサンで
そのオッサン天使たちが街をウロウロ歩き
人生に迷っている人たちの肩を抱き
心の声に耳を傾ける
もしかしたら私の隣にも天使はいるのかも
図書館がとても広くて美しく
そこで本を読む人たち勉強する子供たち
そしてそれを見守る天使たちが美しい
おっさんなのに美しい -
無性に泣きたくなった
図書館のシーンや
ポツダム広場を探すおじいさん 人間に焦がれるダミエルを見つめるカシエルが好きです