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感想・レビュー・書評
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映画「荒馬と女」 原作の短編を読んでみた。映画と違って場面は砂漠、干上がった湖での野生馬狩りの1場面のみ。登場人物は3人で、主格のゲイは45歳、飛行機乗りのグィドはゲイより年上、ロデオ乗りのパースは23歳という設定。映画でマリリンモンローが演じるロスリンとゲイは同棲していることになっているがゲイの頭の中でのロスリンへの思いが語られる。
つかまえた野生馬は種馬、牝馬2匹、母馬と仔馬。母馬が捕われ、そこを離れない仔馬を見て、パースがやるせなくなり、仔馬は離そうというと、ゲイはどうせ母親を載せたトラックの後を追ってくるさ、という。
映画でも枯れ草がくるくる舞う荒涼とした土地が印象的だったが、短編でもその土地の寂寞とした感じが表わされている。そこに雇われた生活をしない男3人の馬狩りが描かれ、原題「The Misfits」とあるように、組織化された社会を厭う男が漂っている。
「お願い、殺さないで」というとても短い短編もあって、それは浜辺で網にかかった、まずくて売り物にしない魚カナガシラを、男の妻が「海に放してあげて」といい、男が50匹くらいを海に戻す様が描かれる。映画はこちらもミックスしていると思う。男が投げたカナガシラをそばにいた犬がすぐさまくわえ男のもとに持ってくるのを繰り返す場面が印象的。
収録短編「ママなんかもう要らない」1959、「モンテ・サンタンジェロ」1951、「お願い、殺さないで」1960、「野生馬狩り」1957、「ある騎手との会話」1962、「予言」1961、「名声」1966、「夜勤」1966、「未来への戦い」1966
1957発表
1982.4.30発行 早川書房単行本詳細をみるコメント0件をすべて表示