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感想・レビュー・書評
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田中克彦の新書で、ソ連の言語学の話の中にエスペラントに関する記述もあったと思うが、エスペラントに関してはそれ以外、何も知らなかった。この本は、ザメンホフがエスペラントを作り、1880年代にそれを発表してから、まだ冷戦真っ只中であった1970年代までのエスペラント語学の歴史を紹介したものである。ドイツやソ連、東欧、そして中国や日本などのアジア各国におけるエスペラント語の歴史を辿り、どのようなエスペラント語の団体ができ、それらがどのような変遷をたどったか、ということが、当時の政治情勢とともに描かれている。また、そこで人々がエスペラント語をどのように考え、どのように守り、またどのように弾圧していったかということが分析されている。特にザメンホフ自身の思想や、ブローニュ宣言、ナチスに迎合し、ザメンホフと同じユダヤ人を退会させたGEAの話、マルとスターリンの思想に関する部分が興味深かった。
この本を理解するためには、ソ連を含めた東欧の政治史や、またシオニズムやプロレタリアートなどの思想に関して前もって簡単な知識があると読みやすいと思うが、おれのように全くこの辺のことを知らないと、十分理解するには少し難しい部分がある。また、途中でエスペラントに関する団体や機関紙の略称(SAT, SEU, IPE, IEL, ISE, PEK, PEU, LEA…)がいっぱい出てきて、整理しながらでないとごちゃごちゃになった箇所もあるので、また注意深く読み直してみたい。
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訳、悪すぎ