死の接吻 (1970年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

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  •  資産家キングシップの三人娘たちが、次々と悪い男に狙われる。ドロシイ、エレン、マリオンの三部構成をとったサスペンス劇場です。

    「よくも騙したわね!」と、同性としての怒りの放出に専念させてもらいます。戦争がもたらしたヒエラルキー崩壊からのエリート転落……という、犯人を悪に走らせてしまった経緯も描かれているけれど、それを悲劇と感じる素養が自分にはないので。

     私は特に弾丸エレンの章が大好き★ 勇ましく、妹ドロシイの仇討ちに飛び出していった次女エレンは、失敗を重ねながらも、真相へと近づいていきます。迷探偵の行動は、失敗してさえ彼女をきらきらと輝かせています。
     ここまでの彼女の大胆さは、犯人には計算外。エレンの章が終わる頃には、事件解決のキーパーソンがちゃ~んと小説に入りこんでいます。

     話の中心が長姉マリオンに移ってからは、彼女の部屋に興味をひかれました★
     マリオンは、これまで価値観を分かち合える相手と出会った経験がない女性です。読書するにも音楽を聴くにも、作品を厳選し芸術を理解し、趣味嗜好によって自分のお城を作った、半分ヒッキー(引きこもり)。本人に城壁を築いたつもりはなくても、結果的には閉じていってしまったこの感じ。
     彼女、私とちょっと似てる! 自分の世界を綿密に作り上げすぎて、常に一人だった人だと思います★

     外出しても用を済ませたらサッと帰るマリオンは、まるで部屋と血管や皮膚でつながっているかのよう。おそらく、そこまで示唆的な比喩をレヴィンは考えていなかったろうけど、ディテイルの描きこまれ方で、マリオンの部屋が彼女の肉体と接続されているような印象があります。
     その部屋に、男は上がりました。すると、あれだけ他人に疑り深かったマリオンが、全面的にヤツびいきへ劇的に変化してしまったのです……

     詐欺師の女子攻略テクを、憤りながら読みました。
     怒りの溶鉱炉だ!

  • 普通の推理小説だと思っていたけど、違った。途中から思わぬ方向に話が進んでいくので驚いた。なかなか凄かった。

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