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感想・レビュー・書評
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金沢住まいの妹に借りた本。
1973年初版、河出書房新社発行。
東京で店を営んでいる内山という男が本書の主人公です。
商用で訪れた金沢に魅せられた内山は、金沢の地に空き家を購入し、時折東京を離れて金沢で過ごすようになります。
出入りの骨董屋の紹介で出会った様々な人と酒を酌み交わし、談議にふける不思議な面会。
いつのまにか時間も空間も溶けて混じり合い、浮世が遠ざかるような体験。
内山とともになすがままにいざなわれていく、幽玄な金沢の町にくらくらします。
登場人物たちの会話や、内山の味わう不思議な出来事の数々が、著者独特の冗長とも思える言い回しによってさらに現実から離れていくような感覚を味わいました。
神仙の交流を眺めているような気持ち。
さくさく読める文章ではないですが、その分ゆっくり時間をかけて文章のもたらす酩酊感に浸れる読書となりました。
贅沢を言えば、長逗留の温泉宿とかで読みたかった…。
いつかそんな機会に恵まれたら、持っていきたい本の1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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