無知の涙 (1971年)

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感想・レビュー・書評

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  • 人間に正気を与えるのは感情だ。
    感覚を信じずに、理屈だけをこねくり回していると、頭は暴走をはじめる。どこへも行けない。
    この人の文章を読んでいると、そんな風に思う。気持ちをありのままに表現している詩や文章には、胸を打つものがあるのに。

    閉塞した状況に陥ったとき、自殺することも自力でその状況から抜け出す努力を続けることもできずに、通り魔になったりする人は、他力本願なんだと思う。

    無差別に、会ったこともない人を殺傷する。これは、誰かに何とかしてほしい、誰かに助けてと言いたい。そういう気持ちのねじ曲がった表現なのではないだろうか。

    自分で何とかしろ。一人で首括れと言えばいいのか、無差別殺人者も社会の犠牲者だと言えばいいのか。

    この人、私の父と同い年だ…うえっ。団塊の世代は本当、ロクなのがいない。


    愛されずに育つと、どうしても人を愛することができなくなるのか?

    「きっと理解してくれるでしょう」と、何度も書いている。誰が理解するって言うんだ?
    犯罪を犯したのは、社会と環境のせい。それも原因の一つだろう。でも、それが見知らぬ人を次々と撃ち殺す理由のすべてとは思えない。
    資本主義社会が自分をこんな人間にしたんだと、それで何もかも片付けてしまっている。自分が「なぜ」あのような事件を起こしたのかを真剣に考えているとは思えない。
    文章の量こそ多いものの、その内容はというと、「世界は僕、俺、私が幸せでいられるように整えられるべき」。それだけだ。
    うんざりする人だ。

    「自分は正しいことを知っている」という態度は苛立たしい。自分の人生を好転することもできなかったくせに、何をわかっていると言うんだ?

    wikiでこの人の記事を読んだ。こいつ…ほんとに馬鹿だったんだな…。
    でも、だんだん成長していくらしい。他のも読んでみる?

  • 何も知らない青年が
    殺人などと大それた事を起こした
    きっとこの人は、自分以外に信頼できる人が居なかったんだろうな

    逮捕後に綴るこの日記には
    次第に共産主義に傾向していくが
    コレもまた
    それしか知らない人が初めて触れるモノに
    浸透していくのは否めず

    この人の
    強気な発言
    高飛車な態度
    でも、反面
    孤独も恐れも
    人間が考え得る精神で
    どんどん 崩れていく様が悲しい

    私はこの人の
    「私の花」で
    涙が止まらなくなった
    この人は、人間なんだ。

  • 光母子殺人事件から永山基準へと行き、ほとんど同世代(昭和24年生まれ)のいわゆる連続射殺魔永山則夫を少しでも知るべきと思い手に取る。
    ドストエフスキーを愛し、啄木を愛し、その読書量は圧巻。「金の卵たる中卒者諸君に捧ぐ」という副題の意味とは。

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