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感想・レビュー・書評
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カッシーラーの『実体概念と関数概念』に象徴されるように、19世紀末から20世紀初頭にかけて実体概念から函数概念へ、実体から関係へという思想的パラダイム転換が生起した。ケルゼンの「純粋法学」もこのような思潮に連なり、諸イデオロギーから解放された科学としての実定法理論を謳っている。その成果の一つは、いわゆる「国家なき国家学」、すなわち実体的国家概念を捨象したところに現出する法律秩序としての国家理論であり、そこで国家は人間の行為が一定の要件を満たすことによって生じる法的効果を帰属させる結節点にすぎなくなる。同様に、自然人や団体を統一的に認識する法人格概念も、権利義務という法律関係が帰属する結節点として理解される。国家論に比べこの法人格論はその後ほとんど顧みられることはなかったが、ケルゼンの所論と直接の関係はないものの、近年では廣松渉の物象化論を踏まえた森末伸行の業績が注目に値する(『法フェティシズムの陥穽』)。
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