マリア・ストゥアルト―悲劇 (1957年) (岩波文庫)

  • 1957年6月25日発売
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  • スコットランド女王メアリー・ステュアートの悲劇を描くシラーの戯曲。イングランド女王エリザベスとの確執。

    表題はメアリー・ステュアートのドイツ語読みとのこと。スコットランド、イングランド、フランスの王権の間で波瀾万丈な人生を送ったメアリー。本作はその終盤をドラマチックに切り取ったシラー後期の作品。岩波文庫版は絶版ぽいが、1957年刊と大変に古い翻訳ながら、読みにくいということはなかった。

    宣告を受けた死刑まであと数日、なんとかメアリーを救うべく崇拝者たちが奮闘し、エリザベスとの確執を越えて、最後の日をむかえるが……。

    本作の冒頭に至るまでの経緯がP221からの史実の輪廓に書かれているため歴史に詳しくなくても大丈夫だった。女性としての圧倒的な美を放つメアリーが各国の王位の間で揺れる人生は非常に興味深く、題材にされやすい理由がよくわかる。本作では女王たちの年齢を若くしたり、架空の人物を加えるなど、史実を改変してさらにドラマチックに仕上げている。メアリーとエリザベスの対比は、女性の生き方について思わせるところもあるし、周囲の男たちの葛藤する姿も印象的である。テンポのよいスリリングさに引き込まれるため、古臭いしダルいかも、という読む前のイメージは払拭された。味わい深い一冊。

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