山椒大夫・高瀬舟 (1951年) (新潮文庫〈第245〉)

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感想・レビュー・書評

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  • 5刷(1953-11-18)

  • プロットだけが書かれているような短い作品。名作よりも古典といえるような作品だが理屈が合わず納得のいかない点もある。例えば弟が寺で助けられる所やラストもそうだ。ややオカルトめいている。後から知ったが元になる話があるそうだ。こちらは突然仏像が光ったり夢のお告げで導かれたりと更にオカルト。?外作品では親子や姉弟の美しい感情に重きを置いて書いている。元の話にある悲惨な拷問や復讐の部分は大幅カットされてるらしい。

    他の話を読んでいても感じたことだが?外は主に日常たまに非日常を生きる上での正しい生き方、大切な人を想う清々しさを書いている。しかし山椒大夫を読んで心が洗われると同時に物足りない気分にもなる。野放しにされた奴隷商人たちに制裁をしたいと思ってしまうのだが、それは?外としては汚れた気持ちなのだろうか。

    高?舟は高?舟縁起でも書いてあるように主題は二つある。一つは持てる者と持たざる者の幸福の感じ方。もう一つは安楽死だ。

    コップ半分の水を見てどう思うか云々というような話が持てる者の目線で書かれる。それは満たされぬ者でもある。島流しになる罪人を役人が羨ましがるとは面白いが決しておかしいとは思えない。

    ひと思いに殺してくれと頼む病人の命を奪うことは苦しさから解放される病人を救うことにもなるのだがお上はそうは裁かなかった。違う話になるが「お上の事に間違いはこざいますまいから」という言葉を思い出した。

    余談だが解説がすごい。
    一番つまらぬ、とか一番嫌いと堂々と書いてある。

    ぢいさんばあさん
    最後の一句
    山椒大夫
    高瀬舟
    高瀬舟縁起
    解説 桑原武夫

  • 「山椒大夫」「高瀬舟」は読みやすく、どちらもいい話でした。
    「興津弥五右衛門の遺書」は読めなかった。。。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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