秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

監督 : 新海誠 
出演 : 水橋研二  近藤好美  尾上綾華  花村怜美 
  • コミックス・ウェーブ・フィルム
3.75
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本棚登録 : 2591
レビュー : 559
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4560107150245

感想・レビュー・書評

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  • 初恋は得てして実らないものだけど、それでもこの物語は、愛おしさよりも、物悲しさと切なさ、そして、孤独が際立っていて、寂寥感に胸が締め付けられました。 
    幼い日の初恋の10数年の軌跡を計63分の連作短編として纏めた新海誠監督のアニメーション作品。

    双方の両親が転勤族だったため、共に小学校四年生の時に東京の学校に転校してきて出会った、貴樹と明里。クラスメートとはしゃぐよりは本を読むことが好きだった二人はすぐに意気投合する。けれど、中学校進級時に明里は栃木へ引っ越すことに。二人を繋ぐのは、文通のみ。そして、二年生進級の機会に、今度は貴樹が鹿児島の離島に引っ越すことに。
    これまで以上に広がる距離を前に、まだ雪も降る三月の寒いある日、二人は栃木での一年ぶりの再会を果たそうとするけれど…。

    物理的な距離と時間の流れに隔てられる中で温度差が出来て離れていってしまう男女の姿は、世の無常の真理を確かに現しているのと思うのだけど、何かが胸にわだかまってしかたがない。 
    あまりにも対照的になってしまう二人の人生を同時に観ることになってしまうからかも知れません。   
    その対照性から、イアン・マキューアン原作でシアーシャ・ローナン主演の映画「追想」を思い浮かべたのだけど、この作品は「追想」に残された欠片ほどの救いもないという…。

    構成は、恋を知ると共に人生の無常を悟る小・中学生時代を描いた第一編「桜花抄」、高校時代の貴樹を他者の視点から描いた第二編「コスモナイト」、成人後の二人を描いた「秒速5センチメートル」の三編からなっています。

    実在のものを入れ込む緻密な風景描写、世界観を構築しながら登場人物の心情を代弁するような音楽の巧みな使い方など、新海誠監督らしさも存分に感じさせる作品。
    ここから、どんどん次の作品に繋がったんだな、と思うつくり。ただ、人物の画は荒いというか少しつたないくらいなので、人によってはそこで評価が分かれそう。

    個人的には割と好きな部類に入ったのだけど、主人公が悲しい目に遭う作品に抵抗のある人には正直オススメはできない作品。

  • 本当は「君の名は。」より先に見た。
    でも「君の名は。」の方が良かったので後回し。

    時というものは残酷。そして男性と女性じゃ、女性の方が酷。
    って見終わってすぐの感想。
    中一であんなに密になった気持ち。
    ずっと続いてて欲しかった。

    新海誠さんの作品には風を感じる。空気を感じる。

  • この主人公の、終始モノローグ的な声音が、ずっと悲しい。
    初恋の相手との距離は、13歳時は物理的な距離や時間で表現されるものの、社会人になったらそれはもう心理的な距離感となっている。

    こんなセリフがある。
    「ただ生活しているだけで、哀しみはそこここに積もる。陽に干したシーツにも、洗面所のハブラシにも、携帯電話の履歴にも」

    ただ生活しているだけで。
    ただ生活しているだけなのに、この哀しみの所以は、きっと主人公にもわかっている。


    彼女の姿を探し続ける。いつか隣にいた姿を見続ける。
    また会えるかもしれない、ふと、会えるかもしれない、
    そんなことを思って歩いていたって、そんな淡い期待は往々にして裏切られるし、でも祈るくらいいい、無駄にするのは時間だけだ。
    そこから抜け出したくて誰かと付き合ってみるけれども、どうしても、相手が見えない。透かしたように、風景が見えるだけだ、過ぎた時間が見えるだけだ。

    恋人がそばにいても、孤独しか感じない。
    もう、魂のレベルなんだろう。
    心がずっと、取り残されたまま。

    そしてもう、あの人は自分のことなんて見てはいないというのに。


    愛って孤独だ。

  • 3回目の視聴。
    ハッピーエンドじゃないオチに惹かれる作品

    最初に見たときは高校生だったかな。
    電車の遅延、雪、焦る気持ち。
    クールな男子高校生、告白をためらう女子高生。
    味気ない社会人生活、踏切でのすれ違い。
    ラストシーンの、山崎まさよしの曲。

    大人になってから観ると、
    少し味気ない映画だなと感じたが、
    相変わらず、まさよしの曲は
    エンドロールにバッチリだと思う。

  • タイトルと映像がただただ素晴らしく、美しい。
    二人の恋心が綺麗で純粋すぎて、でもどこかもろくて儚げで、この危うさが美しくも思えたり、もどかしくも思えたり。

    成就しなかったから、余計にそんな風に思うのかもしれん。

  •  背景の光の表現に目を奪われる。なんという空間の表現。あまりにも空がきれいで。あんな空の下に生きたい。必ず行こう。
     お話としているのは主人公遠野貴樹の内面です。キャラクターのデザインを強くデフォルメしている分それを引き立たせる背景は繊細な描写で、このバランスがとても良いなと思います。
     「好き」と言えずにいることの切なさと美しさを表現しているとも言えるし、「好き」と言えなかったことの後悔と哀しさを表現しているとも言える。これは大人が、もう変えることやり直すことができない過去のできごとやその時の感情に、しみじみする話だなと思います。決して明るい話じゃない。この話が人気だということは、気持ちを伝えられずにずっと昇華できずに生きている人がいっぱいいるということなんだろうな。送れない手紙を、届けないメールを書き続けてきてしまった人たちの、心が止まったまま過ごした時間への追悼なのかもしれない。会うことができるならば会いに行った方がずっと、気持ちを伝えられるなら伝えた方がずっと、ずっと健全。それを現実にしないのは怖いから?14歳の遠野と篠原に、現実にする勇気がないと厳しい意見は言えない。でも18歳では?今では?この話は好きか好きじゃないかで割り切れません。そして、そういう、割り切れない色々な感情が入り混じっているところは、生きているって感じで気に入ってます。誰にだってある、戻れない時間でのやり残したこと。

    第一話 桜花抄
     会いに行きたいとまで想う人がいることの幸せと切なさ。そして、実際に会いにいくことが、会うことができたという、奇跡のような可能性の一つが叶ったお話。ちょっと大げさかもしれないけれど、私にはそんな風に思われました。だって、現実に起こる物語では、遠野と篠原は会えないでお互いに転校してしまうってことがありえるから。そんなお別れだってあるのだから。

    第二話 コスモナウト
     この話が一番輝いていると思う。全3話の中の、一番輝いている時期。季節は夏。

    第三話 秒速5センチメートル
     主人公遠野が根暗過ぎてつらい。


     うらやましくて懐かしくて切なくて苦しい。
     大人の遠野は鬱陶しい。
     
     現実にしないことのノスタルジーと、現実にすることの今と、どちらを大切に思っているかによってこの作品への感想が異なるのだろうと思うと、どんな意見があるのかとても興味があります。

  • 「なぁ、桜の花びらの落ちるスピードは?」

    最近、このネタやけに好きになっています。新海作品に必ずと言っていいほど絡んでいるのが西村君。この作品は作画監督として参加している。彼のキャラクターデザインを見てふと思い浮かんだ言葉があった。

    「医学では傷ついた子供たちの心が治せない」

    阪大を出て医学博士にまでなり医学の道よりもこの道を選んだ偉大な先生の絵と比べるわけではないが、西村君も優しい絵を描くんですよね。

    「秒速5センチメートル」
    https://www.youtube.com/watch?v=8HmDXFHpmeo

    幼き頃の淡い恋から始まり、大人の別れまでを描いた作品。「桜花抄「コスモナウト「秒速5センチメートル」の三部構成からなるのですが、まさかの三部目なんですよね~。未練も30年経てば純愛に変わるんですけれど、なんか王道を行っているような作品に感じたのですが、気持ちを押し殺したまま終わってしまったような気がする。

    でも、桜花抄で「この先も、ずっと先も大丈夫だよ」が別れの言葉だったのかもしれない。アニメの世界ではどうしてもハッピーエンディングばかりを期待してしまうが、切ないなぁ~。

    でも、西村君の作品ではこれが一番好きですね!

  • 小学生の時に恋した女の子との遠距離恋愛を忘れられずにいる男の子の話。
    まず、とても映像が綺麗です。とくに空。言葉もきれい。そして作品がピュアで、「観る文学」のようだな、と思いました。新海作品を他にも観たくなりました。

  • すごく評判が良いので楽しみに観たんだけど、私は合わなかった…

    綺麗です。ひたすら綺麗です。
    映像が。風景が。
    感情の流れも綺麗。
    必ずしも届かないのが逆に綺麗。

    ただ私の場合、そこで「…で?」となってしまうタイプでした。
    汚くてもいいからもっと感情の奥の方を見たいというか、現実見たいというか。
    何にもせずに上辺だけ撫で回してる感、ありました。
    あと、山崎まさよしのOne more time,One more chanceに合わせた映像もなんか萎えた。歌自体は好きなんだけど。
    なんか、誰かと恋愛してるんじゃなくて、一人だなあ、と思う。

    でも動けない気持ちは分かる。
    動いてみなきゃわかんないじゃん!なんて言う気はなく、動いても意味ないこともあるのも分かる。
    この映画を好きって言う人を批判するつもりもないけど、単純に恋愛観が違う気がします。
    …もしかしたらただ私の心が汚れただけだったりして。笑

  • 明里は常に貴樹の前にいる。前にいても振り向いてくれていた彼女が、いつからか前を向いたまま歩き出していく。一方貴樹は、遠くにいる明里を見つめたまま。立ち止まっていたことに気づくのには、あまりに時間がかかってしまった。
    男は名前を分けて保存、女は上書き保存。とは誰が言ったか知らないが、この作品を正に象徴する表現だと思う。女性は貴樹という人間をどう思うんだろう、と見る度思うくらい、感覚として異性感で共有できないものなんじゃないか、と思ってしまう。
    個人的には合間に入る「コスモナウト」が一番響く。香苗との関係において貴樹の位置は明里とはまったくの逆だ。貴樹の方が前を向いている。ひどいくらい前を向く。特にひどいのは、原付がエンストした後のくだりだ。さすがに気づけ、貴樹よ。あまりにも優しく、残酷だ。このエピソード中はものすごく香苗の方に共感するのだけど、やっぱり香苗も上書き保存だろうか、、?と考えるとまた複雑な気分に。。。

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著者プロフィール

新海誠(しんかい まこと)
1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ1人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』も高く評価された。2019年7月19日、映画「天気の子」公開。その公開前日7月18日に原作となる『小説 天気の子』を刊行する。

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