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- / ISBN・EAN: 4932545985039
感想・レビュー・書評
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アメリカンイデオロギーとは、感情ではなく、論理だ。そのことを図らずも明らかにしている。
戦時・戦後のアメリカメディアと被爆者の証言が交互になるよう編集されているんだけど、両者の隔たりは絶望的に遠い。
そもそも安全な場所にいる絶対的な強者に弱者の感情を汲めとは無理な話だ。
以心伝心、災厄が島に持ち込まれたときしか危機感を感じない島国には、日常的な争いである政治的思考など無理だと改めて理解した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今、戦争を知っていて生き延びてきた世代のほとんどが、当時はまだ幼い子どもだった。戦争に巻き込まれ、子ども時代を失った人たち。
特別な体験をしたために、想像を絶する困難を背負っている普通の人々。そんな人たちに、安心して語って欲しい。そう考えて作られたドキュメンタリー。
あどけない顔をした幼い子ども達が、大けがを負って苦しんでいるのを見るのは辛い。
もし今、私の部屋の窓の外で原爆が爆発したら?そういう世界に私たちは生きている。
「敵国日本」1942年 米海軍向けの映画
この映画で描かれている日本は、天皇という神を信仰するカルト国家であり、太平洋戦争はその狂信者達による世界征服の野望を果たそうとするテロとの戦いだった。
これが、国際的な評価なのかね。
パール・ハーバーでの奇襲成功に人々は沸き立ち、その勢いで戦争を支持し続けた。政府も都合の悪い情報は隠し、日本は勝ち続けていると人々に信じさせようとした。
でも中には、疑問を持つ人々もいた。特に女性達。夫や息子が次々と死んでいって、自分たちの生活さえままならないのに、戦争に勝つことなんてできるのか?
護国神社って何?
爆発による被害が比較的軽かった、助かりそうな人の中から、正体不明の病気が発生した。原爆症だ。当時は放射能の影響についての知識を持っている人はいなかった。だから余計に恐れられた。
原因不明で、症状も人によって違った。高熱、貧血、失神、脱毛、鼻血、歯茎や肛門からの出血、内臓疾患、体中にできる紫の斑点や腫瘍。のたうち回り苦しみ抜いて死ぬ人もいた。
そのうちに、ピカドン(新型爆弾)による伝染病だという噂が流れるようになり、被爆者は就職や結婚をはじめとしたあらゆる差別にさらされるようになった。
広島、長崎を離れていた被爆者達は、うつるからよそへ行けと追いやられて、行く当てもなくなりがれきの街へ戻ってきた。
100年は草木が生えないと言われた大地には、少しずつ植物が生え始めていた。
いくら情報が無かった時代とは言っても、このほとんど妄想的な忌避反応はいったい何なんだ?
311でも似たようなことがあるという記事を読んだ時には目を疑った。今は21世紀だよ?情報いっぱいあるじゃん!
自殺した被爆孤児は多かった。
戦後、広島へやってきた進駐軍は、まだあちこちに転がっている死体をがれきごと機械で均し、鉄板を敷いて滑走路を造った。
彼等は学校へジープへやってきて、子ども達を裸にして検査や観察をして、去っていった。モルモットのように扱われた屈辱が子どもの中に残った。
炭化した死体は触ると崩れる。
原爆投下を実行したチームは被爆しなかったの?
当時のアメリカの、おそらくはトップレベルの科学者も、自分が何をしているのかを理解していなかった。自分の研究が、世界に何をもたらすのか。わかったのは取り返しが付かなくなってからだった。
8/6まで、広島にはほとんど空襲は無かった。空襲警報はしょっちゅうだったし、アメリカの飛行機が空を飛び交っていたけど、被害を受けなかったので、特に怖いとは思わなかった。
浦上天主堂 http://www1.odn.ne.jp/uracathe/
PIKADONプロジェクト http://www.pikadon.jp/top.html
しっかり見て恐れないこと。
そうすれば特別なことが聞ける。 -
本当はWhite Light, Black Rainというタイトルだけど
たぶん分かりやすくヒロシマナガサキっていうタイトルにしたのかな、と思う。
戦後であり原爆投下60年ちょうどに作られたドキュメンタリー
これ、日本人なら見るべきだと思う。
むしろみんなに見て欲しい。
普段からこの手のドキュメンタリー見ていても
かなり見ててキツイ。
もう71年になるけど、まだ71年なのだなと
とても考えさせられる。
はだしのゲンの中沢先生ももちろん出てきますし。
私は右でも左でもないけど
これはこれで
そーゆーのは抜きして日本人としてまずは見て欲しいと思う。 -
一度は見ておいたほうが良い映画だと思う。
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戦後生まれの人が75%以上を占めるようになった現在、
被爆者達と原爆投下に関わったアメリカ兵の証言から
広島・長崎の真実を描き出すドキュメンタリー映画。
日本人が語り継いでいかなければならない戦争と核の記憶。 -
原爆を落とした人たちは、「戦争を終わらせるために正しいことをした。後悔はない。」と語るけど、情報は25年もアメリカに隠されていた。
正しいことをしたと思うのならば、なぜ情報を開示しなかったのだろう。
それだけ、原爆の被害が酷かったということなのではないのか、といつも思う。
日本がアジアにしたことも、核という酷い兵器を落とされたことも忘れずに平和というものを考える必要があるのではないかと思いました。 -
子どもの頃から毎年毎年平和教育を施されてきた身としては、見ておきたい映画だった。日系とはいえアメリカ人の手によるドキュメンタリーだし、しかもそのアメリカ人・スティーブン・オカザキは、過去に、アメリカの日系人収容所を取り上げたドキュメンタリー映画でアカデミー賞を受賞している。そんな彼が、どんな風に原爆と被爆者を取り上げるのだろうか……。
ドキュメンタリーということもあるだろうが、被爆後の写真や映像、被爆者が登場したアメリカのテレビ番組などを挟みながら、淡々と、被爆者、原爆を投下したエノラ・ゲイ号の乗組員、開発に関わった科学者たちが語る様子が映し出される。その淡々さが、被爆者の悲しみや苦しみ、そして原爆投下当時の何倍もの核が存在する現在の抱える恐怖を浮き立たせていたと思う。
生物兵器や化学兵器だって恐ろしい。大量の焼夷弾も恐ろしい。その恐ろしさは、原爆と比較して大きいとか小さいとか論じることはできないと思う。どんな爆弾が使われても、使われた国や地域は相当なダメージを受けることは変わりない。
しかし今回、あらためて原爆の被害を映像で見て、1発であそこまでダメージを与えられるなら、そりゃあ世界中の国が核を保有したいと思うのは仕方ないよなぁ…と思った。そして、アメリカなど常任理事国を中心とした「大国」が、自分たちはしっかりと核を保有しておきながら、ほかの国や地域が核を開発・保有するのを停めようとする傲慢さと滑稽さを思ったのだった。
かといって、作った核はおいそれと捨てられないですからね…。まさに人類はパンドラの箱を開けたということかもしれない。 -
評価うんぬんの作品でないので。
爆弾を落とすのも落とされるのも、人が抱えるには重過ぎる。 -
この作品を見た翌朝、
オバマさんのノーベル平和賞受賞を聞いた。
何もしてないじゃん。
唯一の原爆投下国に平和賞与えるってどないよ。
と思ってしまった。
『夕凪の街 桜の国』とあわせて
核保有国の人々に見てほしい。
監督、スティーヴン・オカザキ氏へのインタビューにも
心を揺さぶられる。
私は広島、長崎に原爆を落とされたことや、
原爆症に苦しむ人々がいることは知っているが、
それがどんな状況、状態で、どんなものであるかは
知らなかった、知りもしなかった。
当時の被爆者の写真や映像が映し出され、
目を背けたくなるような場面もある。
だけど、見なければいけない。
知らなければいけない。
何が起こったのかを。
そして、アメリカでは被爆者支援の団体が多く存在することや、
多くの人々が申し訳なく思っていること、
エノラ・ゲイの副操縦士がテレビ番組で
被爆者にとんでもないことをしたと、謝罪していたことなど、
知らなかったことが多くあった。
どの国が良くて、どの国が悪い、という観点ではなく、
“被爆者とは”をぶれることなく描いているのがいい。 -
はじめてみた映像が多かった。
(気がする、忘れてるだけかもしれない)
たとえば、アメリカでのポツダム宣言受諾の日の様子。
被爆者の検査される様子。
今のインタビュー。
等々
アメリカには優しい人もいるんだなぁ
ちょっと多くの人に見てほしいですね。
3万円しなくらいで、上映会などでも使えるような著作権バージョンも売っていたので、
学校や公民館なんかでみんなでみるのが一番だと思うよ。
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【2008/08/04】
NHKにて視聴。アカデミー賞受賞作。
「1945年8月6日に何が起きたのか?」「知らない。」という原宿の若者のインタビューから始まる。日系3世アメリカ人が作った作品であるためか、戦争映画にありがちな強いバイアスがあまり見られず良作。
原爆の被爆者へのインタビュー、広島や長崎の記録映像、関係した軍人へのインタビュー、アメリカの戦争映画やニュース映像をシャッフルしてみせる。核爆弾の被害とはどれほどだったか、被爆者の人生がどう変わったかを伝える。漫画「はだしのゲン」の作者、原爆少女の生き残りの女性、エノラゲイの操縦士らへのインタビューの重さ、記録映像の迫力がすごい。
世界にある核兵器は広島型原爆40万発分に相当するという。だが世界で唯一核を落とされたヒロシマ、ナガサキをアメリカ人はあまり知らない。この作品のラストで、世界中に核が広まりつつある今、核戦争の起こりうる可能性を示唆する。「わたしたちはパンドラの箱を開けてしまった」と。 -
重い…
けど見ておかなくてはいけないもの。
「ひめゆり」も怖くて怖くて我慢してみたけど、
これも壮絶な映像が多すぎで、早送りしてしまった部分も
一部あり。
本当に生き残って、自殺もせずに、
伝えている方たちの強さ。
大切な人は失いたくない。 -
[White Light/Black Rain アメリカ 2007]
メモ:シアターキノ A館 10:00-11:26 2007Vintage手帳8 一人で観る -
被爆者達と、原爆投下に関わった米軍人達の証言によって綴られたドキュメント。
何か答えがあるわけではない。おそらく「そして貴方は何を考えた?」という問題提起なのではないかと感じた。
なのでレビューを書こうとするには、しばし時間が必要かと。
色々と考えることの中で、とりあえずひとつ。
太平洋戦争と核兵器(原爆)の問題は、ワンセットでもあり、しかし分離して考えなければならない問題でもあるんだろうな、などと。
ひとまず、多角的な心を持って観てみると、何かしら去来するものがあるのでは。
(2007年初日/岩波ホール)