パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

監督 : ギレルモ・デル・トロ 
出演 : イバナ・バケロ  セルジ・ロペス  マリベル・ベルドゥ  ダグ・ジョーンズ 
  • CKエンタテインメント
3.71
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本棚登録 : 1940
感想 : 392
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4532612001244

感想・レビュー・書評

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  • パッケージに騙された!純粋なファンタジーものだと思って観たら痛い目みたぞ。リアルとファンタジーが同居する残酷なお伽話。観た後は胸が一杯でため息出たよ。惹きこまれたわ。

    残虐なシーンも多いけれど、アカデミー賞を取った映像や美術はほんと素晴らしくて、クリーチャーの造形には目を奪われる。ギレルモ・デル・トロ監督は『スプライス』の製作総指揮もやってんのかー。言われてみれば造形が似てるような…。ジュネ監督の『ロスト・チルドレン』を思い出したり。

    ラストは意見が分かれるところ。少女の見た世界はいったい…。俺は前向きな方に解釈したいけれど、難しいかなぁ…。

  • <スペイン語音声・英語字幕>

    「戦争下のスペインを舞台にしたファンタジーだよ」と言われて観た。
    戦争とファンタジー?? と聞き返したけれど、
    ナルニアの例もあるし、百聞は一見に如かず。

    で、確かにファンタジーだけど……
    その、想像していたのとはトーンが違いました。

    『本当は恐ろしいグリム童話』を思い起こさせるような、
    大人のためのファンタジー。

    背景にスペインの内乱があることもあり、
    振り返ってみれば、銃殺あり、撲殺あり、刺殺あり、毒殺あり。(一部は未遂)
    これ、本当にPG-12指定レベルでいいのかしら。

    ***
    終盤に近づくほど、救いようがなくなっていくストーリー。
    その展開に合わせて緑がかって暗さを増していく色彩が、
    最後の黄金色の世界と鮮やかに対比されている。

    全体にスチール質で、美しい映像。
    オフィリア役の女の子も、悲壮で美しい。
    ファーン(パン)のデザインとキャラクターも好みです。

    夜のまぶた裏に出てくるほど、印象的で考えさせられる作品でした。
    ただ個人的には、もう少し残酷度が控えめだと良かったかな……。


    ***
    英語以外の欧州言語映画を観ると、毎度ながら
    大学でやっていた外国語劇を思い出す。

    といっても、
    「mucho」と「muy bien」しか聞き取れないという。
    言葉の響きから何となく、
    語順は英語と似てるんだろうなーと感じた。

    もしかして省略せずに全部字幕にしてるんだろうか
    と思わせるほどに言葉が詰まった箇所もあって、
    ちょっと軍事・医療がらみの単語が出てくると読み切れずに置いていかれる……。

    語彙を増やさないとなぁ;

    • うっちーさん
      すごく参考になりました!気になっていながら見逃していたのですが、ちょっと見るのに勇気が要りそうな作品ですね…(^-^;)
      すごく参考になりました!気になっていながら見逃していたのですが、ちょっと見るのに勇気が要りそうな作品ですね…(^-^;)
      2012/01/24
    • つやきさん
      私は今回、既に一度観たことのある人と一緒に観たので「目を閉じて」合図を出してもらえましたが(笑)、痛いのが苦手な人にはあまり積極的にお勧めで...
      私は今回、既に一度観たことのある人と一緒に観たので「目を閉じて」合図を出してもらえましたが(笑)、痛いのが苦手な人にはあまり積極的にお勧めできないかもしれません;
      (『プライベート・ライアン』を思えば、かなり軽いとは思うのですが)

      画は本当に綺麗でしたよ~。
      2012/01/24
  • 内戦下のスペインで生きる女の子が妖精に導かれ、王女となるべくパン(森の精)の試練に挑むダークファンタジー。

    映像が綺麗。主役の女の子が可愛い。
    歌詞を忘れた子守唄も超ハマってる。
    結末は一応ハッピーエンドなのか…?しかし切ない。
    敵役の大尉も嫌な奴だが、最期は切ない。

    しかし解せない点もある。
    「なんで葡萄食ってしもたんや…!」

    • owl_maniaさん
      真剣に思いました!

      「なんで葡萄食べた・・・!!」
      真剣に思いました!

      「なんで葡萄食べた・・・!!」
      2012/02/20
  • レビュー10本目。

    魔法や妖精など、そういったおとぎばなしの世界が好きなオフェリアの前に、妖精や魔法の世界の住人たちが現れて、冒険が始まる・・・といったファンタジーかと思っていたら、そのファンタジックな感じはフランコ時代の残酷さを表現するための装置だったのかな、と観終わった今は思っています。

    しかも、ファンタジックといっても、比較的グロテスク寄りです。観ていて気分の良いものではなかったです笑。

    オフェリアの冒険の背景では、どんどん人が死んでいきます。
    呼吸をするように、まっとうな理由なく人が殺されていきます。実際のフランコ時代においては、一方で抑圧により劇中のように市民が殺され、一方ではその抑圧のおかげで市民は安全を享受できていたようです。どこかで、誰かの自由を夢見る命が犠牲になったうえでの括弧付きの"安全"です。

    本作でも、夢見る命が結果的に奪われます。
    日本でも、夢を見る"自由"が、部分的にでも奪われてしまったように思います。

  • 1944年のスペイン内戦で父を亡くした少女・オフェリア。独裁者フランコに心酔する大尉と再婚した母に連れられ、大尉の駐屯地である山奥で生活をすることになります。目を背けたくなるような血なまぐさい現実。そんな中、迷い込んだ遺跡で出会った不思議な生き物―パンに、「あなたは地底の国の王女なのです」と告げられます。パンは3つの試練を乗り越えればあなたを地底の国へ連れて行くと言い、少女はパンの言葉に希望を見出し、試練を乗り越えようとします。

    オフェリアは大尉に殺された後、黄金に輝く地底の王国の城で多くの人々に祝福されながら、王女として迎え入れられます。そのシーンは、現実なのかオフェリアの見た夢なのかが分からないくらい短くて、結局ハッピーエンドだったのかどうか視聴者には分かりません。しかし少なくとも私は、その数秒のシーンで救われたような気がしました。一番恐ろしいのは現実なのだと、彼女にとってはそれこそがファンタジーよりも受け入れがたいものだったのだと思うからです。

    実際に戦争でオフェリアのように死んでいった少年少女はどれほどいるのでしょうか。救われない現実に涙し、死こそが幸せと考えた人々。この作品は悲劇をうっとりするほど美しい形で描いた、究極の反戦映画なのだと思います。

  • この映画はよくありがちな、楽しくて痛快な、
    家族みんなで見れるようなファンタジーとはちょっと違います。
    おとぎ話やむかし話には、なんとなく暗さや怖さ、
    そしていくらかの教訓を伴うものですが、
    この映画の描く迷宮世界もそうです。

    そこには、救いを求めた子供たちの
    切実な想いが滲み顕れているような気がします。
    求めてやまない当たり前の安らぎと、
    でもそれは多分得られないだろうという、
    時代と現実に打ちすえられた心…

    少女が入り込むことを求めてやまない迷宮は、
    ワクワクとした夢のような世界がきっとどこかに…と感じさせながら、
    まるで代償を要求するかのような容赦のない厳しさと怖さ、
    そして美しさと共にどことなく醜怪さをも感じさせます。

    スペイン内戦という生き辛い時代…
    母親の胎内から生まれ出るということは、
    そのまま苦しみと死を背負うことを意味したのかもしれない。
    親にとっても子供にとっても喜びのはずの子供の誕生を、
    心からの祝福をしてあげられない時代…

    人の赤ちゃんになりたくてなり損ねた樹の根の
    身をよじるような泣き声が、耳からはなれない…

    少女のけなげで愛くるしい姿とともに、
    躊躇せずに描かれている当時の時代の残酷さと、
    その時代をどうにもできなかったことへの怒りと、
    そんな時代しか子供たちに与えられなかった大人たちの贖罪の気持ち…

    映画のはじめから最後まで、見る者にぐいぐいと重く迫ってきます。
    見事な作品だと感じました。


  • 痛い痛い痛い痛い痛い


    物理的に痛いよ。この映画。
    ファンタジー?誰が言ったのそんなの。

    こんなに痛い思いしたのは「イノセント・ボイス 12歳の戦争」以来です。

    去年、ゴローちゃんが(稲垣ね)「コトイチ!(今年で一番)」と絶賛していたので、ビデオになるのを楽しみに待っていましたが・・・・。

    どうしよう。なんて感想言っていいのかわからない。


    本好きな少女の前に、いきなり妖精さんが現れて、導かれるまま森の迷宮に足を踏み入れると、そこにはパンという精霊(?)さんがいて、「お待ちしておりました女王様」と・・・


    ストーリーとしては、こんな感じ。
    でも、このストーリーを想像してみると、痛い目に会います。

    妖精さんとかパンとか風貌が既に、ファンタジーというよりはどちらかというと、「エイリアンVSプレデター」寄りですから。
    お子様向けファンタジーを作る気ゼロです。

    スペイン・フランコの独裁政権下ゲリラとの戦い。
    アイゼンハウアー(ノルマンディー上陸作戦か?)について語られているからたぶん第二次大戦中の話。

    とにかく、世の中は悲惨。ナルニアのように、空想世界はそこからの逃亡を意味していてもよさそうなのに、迷宮の中でもやはり厳しい世界が待っている。いったい何に救いを求めればいいんだかわからない。




    最終的に心に残ったメッセージは

    「世の中は残酷なのよ」


    「何の疑問も抱かずひたすら従うなんて、心のない人間しか出来ないことだ」



    とても、人におすすめできる映画ではありません。

    痛いです。

    それを承知でこの映画を観るか観ないかはその人の意思です。



    ただ、私はこの映画を観て後悔はしていません。
    じつに意味のある二時間だったと思っています。



  • ありえない夢想が真実であってほしい。その想いが切実なほど、ファンタジーは強固に、唯一無二となる。
    ファンタジーとは何か、その一面を極度に突きつける作品。

  • ファンタジーにしては後味の悪い作品。舞台は1944年スペイン、山にこもるゲリラたちとやり合う政府軍を指揮する大尉と結婚・妊娠した妻につれられてきた主人公はいささか空想癖のある御伽噺好きの女の子。だが本当は地下の帝国モアナ王女で…?スペイン国内のゲリラ戦などは詳しく知らないので機会があれば学びたい。そうとう乱暴なぶつかり合いがあったのだろう。

  • オフェリアが空想を必要とした意味を考えると、
    とてつもなく哀しいのだけれど、
    一貫して切ない全体像だからこそ、
    ラストシーンは救い。

    現実も、クリーチャーも、
    痛々しく、生々しく。

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著者プロフィール

映画監督・脚本家・小説家。
1964年10月9日生まれ。メキシコ出身。
劇場長編監督デビュー『クロノス』(92)が各国の賞で高く評価され、97年の『ミミック』でハリウッド・デビューを果たした。『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)を経て、念願だったマイク・ミニョーラの人気アメコミの映画化『ヘルボーイ』(04)を実現。映画はヒットを記録し、続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)はスタジオをユニバーサルに移して製作。その間にスペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)は、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたほか、カンヌ国際映画祭など各国で高い評価を受けて気鋭の監督として国際的に広く認知されるように。07年にはペドロ・アルモドバルらとメキシコで製作会社「チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)」を設立。『ロード・オブ・ザ・リング』の前日談にあたる大作『ホビット』シリーズでは脚本を手掛けた。10年『パシフィック・リム』で、久々に監督に復帰。14年にはチャック・ホーガンとの共著で発表した初の小説「ストレイン」シリーズ(09年)のテレビドラマ化が実現。本作に続き、今後は『Pinocchio』『ヘルボーイ3』『パシフィック・リム2』などの話題作が予定されている。

「2016年 『ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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