マイ・プライベート・アイダホ [DVD]

監督 : ガス・ヴァン・サント 
出演 : リヴァー・フェニックス  キアヌ・リーヴス  ジェームズ・ルッソ  ウィリアム・リチャート  ウド・キア 
  • 角川映画
3.58
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111286611

感想・レビュー・書評

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  • 男娼としてストリートに立つ2人(リバーフェニックス、キアヌ・リーブス)が主人公。

    青春映画の傑作ではないでしょうか。

    主人公たちにとって人生は生きずらく、痛みを感じることだらけ。
    体を売ることで実利的なお金を得、感覚を麻痺させてやり過ごす、その反動として享楽的に過ごす。

    2人の主人公の出自は対称的で、なので映画の最後の境遇も異なる。青春の中でしか交えなかった、一瞬の幸福の時間。
    その後の2人の人生は一生交差しないないだろう。苦い現実と共に別々の道で生きていく。

    割と痛々しい話なのだけれど、映画には若い魅力、活力がみなぎっている。それは監督のガスヴァンサントの若さ、野心でもあり、主人公の2人の若さ、美しさの醸し出す熱量でもあり、作品全体にパワーがみなぎっている。

    リバーフェニックスの存在感、セクシーさ(痛々しさ)が尋常ではない。
    おじさんである自分が現在この映画をみて、キアヌリーブス側として、リバーフェニックスに告白されると仮定しても、やはりこのリバーフェニックスに告白されるのであれば「アリ」かなと思ってしまう。

    それほどの美しさ。

    アメリカ映画だけれど、インディペンデントに近いからなのか、ケン・ラッセル監督の作品の、すこしはずした訳のわからなさ、アバンギャルドさを思い出した。ただ、ケン・ラッセルより癖はなく、スーッと見れるし、もっとスマートに洗練されているの。デイヴィッド・リンチやスタンリー・キューブリックのような映像美を思い出す部分もある。

    何度見ても、青春を追体験できるであろう、トリュフォー映画的な効能も持っている稀有な作品だと思う。

  • 名前くらいは聞いたことある、有名な作品ですよね。中学生の時に1度見たことあるんですが、その時は作品が伝えたいメッセージとか、あまりよく分からなくて……。多分、時期が早すぎたんたなぁ、と思いました。中学生には難しかったです。

    主人公のマイクは、今は亡きリヴァー・フェニックスが演じてるんですよね!これは中学生の私でも知ってました。「スタンド・バイ・ミー」の人だ~!くらいにしか思ってませんでしたが。でも、マイクの親友役のスコットを演じているキアヌ・リーブスが、リアルでも仲がいい親友なのは知らなかったなぁ……。もうこの二人が同じ画面に立つことなないんだ、と思うと凄く切なくなりました……。

    見直してみると、この作品に漂う孤独だったり、世間のアウトサイダーに対する風当たりの強さは、中学生には理解しにくかったかなぁ、と。あと、リヴァー演じるマイクの、愛に痛々しい程飢えた物悲しさだったり報われない寂しさや孤独感も。
    報われない愛、と言えばマイクは母親の愛を求めて旅をするんですが、親友のスコットにも恋心を抱いているんですよね。それを道中、焚き火の側でぼそぼそと漏らすんですが、スコットには「男と寝るのは金のためだ」と、やんわり拒絶されるんです。その時のマイクの「俺は金なんか貰わなくても、愛せるよ。……お前が好きだ…知ってるね……?」っていう台詞が切なすぎて泣きそうになりました。その後の「お前が好きだ…お前にキスしたい…」って思い詰めたようにこぼす台詞は、受け入れられないのが分かっているから、余計に切なくて……。そりゃスコット抱きしめて、「何も考えず寝よう」とか言っちゃうよね…っていう。まあ、その後出会った女性と恋に落ちて、マイクの前でイチャイチャしてマイクをやきもきさせるんですが……。いくら何でも、告白したばっかりのマイクの前で無神経すぎないか!?と、思ったんですがマイクはまだスコットのこと好きなんですよね……。マイクの想いは、いつも一方通行で叶うことがなく、そこが切ないですね…。

    結局、スコットはその女性と結婚を決め、マイクとは旅の途中で別れちゃいます。「また機会があれば一緒に」みたいなことをスコットは言うんですが、この先二人の道が重なることはなく、これが最後の別れになってしまうんですよね…。車の中でイチャイチャしてるスコットをまだ想ってるマイクは、「スコット……!」と追い叫ぶんですが声は届かず……。スコットが父より愛してたボブの葬儀で、二人はまた会うことになるんですが、その時のスコットは、マイクもかつての仲間もガン無視。ヒッピーのようにボブを見送るマイク達と、厳粛に自分の父を見送るスコット。このシーンが完全に二人の道が別れてしまったことを表していて、その時のマイクの気持ちを思うともう何も言えない…。

    最後、マイクは母にも会えず、アイダホに戻ってきます。その時、持病が発病して道の真ん中で眠ってしまう。それを誰かが車に乗せ、エンドロール、という終わり方。この車を乗せた人物、マイクのお兄さん(兄でもあり父でもある)じゃないか、っていう説が有力みたいですね。映画ではカットされた未公開シーンでは、車を運転するお兄さんの後ろで安らかに眠るマイクの映像もあるので、その説が正しいんじゃないかなぁ、と私は思います。

  • ある程度の覚悟はして見たのだけど、リバー・フェニックスの痛々しさが、見ていて辛くなる。
    タイトルの「プライベート」は、人の心の、誰とも分け合えない部分を示すのかなと見終わって思った。
    それは途方もなくしんどいものではあるけれど、なくてはならないものでもあるのだろう。

    DVDにはカットされた場面が収録されていて、ラストはこういうことではないかと思った解釈を裏付ける映像が含まれている。
    今のラストが最もいいと思うけれど、すっきりしたい人はカットシーンを見ることをお薦めします。

  • ガス・ヴァン・サントの作品って、彼自身がゲイってこともあって<女性>の存在が結構排除されている印象を毎回受ける。この作品は彼のその特性が特に色濃く出た作品だと思う。同性愛がテーマのひとつだが、あくまで男性社会に潜む同性愛。

    全編を通して主人公マイクの孤独が繊細かつ圧倒的に描かれており、リバー・フェニックスが本当にハマり役。感情を表に出さずマイクを振り回すスコットには、表情乏しい台詞が浮いて聞こえる(言葉変えれば良い意味で大根役者)キアヌが逆に良かった。

    脚本はガス・ヴァン・サントらしい、非常に丁寧で練られているのがわかる。演出はポップ。(彼の作品だったら『カウガール・ブルース』に近い)セックスシーンのコマ撮り?みたいな演出とか、場所が変わる毎に差し込まれるプロットやエンディングロールの単調なポップさが個人的に好きでした。

  • 切ないのもあるけどつらい。
    映像は自然は綺麗だし街中もお洒落だし、男娼たちは美男子だし…で目は嬉しいけれど心が痛いです。

    リヴァー・フェニックスさん演じるマイクの気持ちがダイレクトに伝わってきて悲しい。
    彼には男娼しか生きていく術がないくらいどん底で何もない上にナルコレプシーで生死に関わるくらいギリギリ。ナルコレプシーって、自分でコントロール出来ない寝落ちという印象でしたが、てんかん発作みたいなの起こして急激に眠ってしまうのかな…危ない。その辺に意識が無い人が落ちてたら追い剥ぎに会う容赦なさで。。
    スコット居るときは彼が助けてくれて、恋に落ちるのもわかるわ…と思いました。焚き火の前で、どうにも想いが止まらなくなった…という告白とても良かったです。(後で知りましたが焚き火のシーンはアドリブというのを知って震えています。天才)

    キアヌ・リーヴスさん演じるスコットは上流階級の出自だけれど、選んで男娼してる。なので完全にビジネス男娼で、マイクに告白されても親友としてしか見られないみたい。
    それから結構直ぐに、出会った女性と関係を持つのだけれどマイクの目の前でイチャイチャするし、この女性と行くから付き合えるのここまで、ってマイクと離れるし…でスコット!!となりました。
    それからしっかり上流に戻ってるしさぁ………

    とスコットに怒りを覚えていたけど、マイクの気持ちには応えられないのなら徹底的に離れるのは優しさかもしれないなと思いました。元々、一時的にあの環境に身を置いてたから、この生活の終わりを感じ取ったのかもしれない。
    マイクの身になればたまったものではないけど!


    キアヌ・リーヴスさんもリヴァー・フェニックスさんも美しかったなぁ。
    リヴァー・フェニックスさんもっと見ていたかったです。スタンド・バイ・ミーのクリスしか見たことなかったけれど大きくなっても変わらないな…演技が繊細で惹きつけられました。

  • 1991年アメリカ
    リバー・フェニックス、ウド・キア、キアヌ・リーブス


    おも~~~い内容ですが、、
    アイデンティティを求めて旅に出る男前2人、、、リバー・フェニックスがきれい♪ 艶っぽい♪

  • 映画館

    まさかこの作品を映画館で観られるとは思っていなかった。
    映画としてはガスヴァンサント作品の中では決して名作ではないが、彼の趣味というか性癖が最も現れている作品だと思う。
    キアヌとRIOにしか目が行かないけど、他のストリートキッズ達もみんな可愛い。私はお葬式のシーンが好き。2人の状況が最も明確に表現されているし、リバー達の行う葬儀が自由で最高だ。私もああいう風に見送られたい。

    大人になれないRIOと、掌を返すように青春に別れを告げるキアヌ。キアヌにとってはRIOそのものが青春の象徴だったのかな。ということは、最後に結局RIOを拾っていったキアヌは……

    RIO★★★★☆

  • 最後にマイクを迎えにきたのは
    スコットであって欲しいとわたしは願う


    同性愛、近親相姦、ナルコレプシー、ドラッグ
    を題材にしているというので軽く身構えてみたものの
    それぞれを深く掘り下げ理解するというよりは
    とりあえず香りだけを楽しみ、終わってから味わう
    主に見る人それぞれの感覚で感じるべき映画のような気がした。

    もの凄く面白いわけでもなく
    かといってつまらないわけでもない
    で、結局なんなの?って人もいるだろう
    でも、なにか解説するわけではなく
    なんかよくわかんないけど、いいかもしれない
    そんな感じが心地よい。

    個人的には性交シーンの撮り方がとても美しくて好き。
    あとリバーフェニックスとキアヌリーブスが本当に良い。

  • ドラッグ・ホモ・売春・強盗

    ストリート・キッズの悲哀と闇を、ある時はコミカルに(或いはシニカルに)、ある時は詩的なほどの映像美で描いた問題作。

    キアヌとリバーはプライベートでも仲が良かったらしいね。
    二人がつるんで悪さをする様は、まるで実際の彼らそのままでもあるかのようなリアリティを感じたのは、きっとそういう仲の良さが滲み出たのかも、なんて想像しちゃった。

    突発性睡眠症を患ってる青年役を怪演してるリバー。
    彼が時折見るフラッシュバックのような映像はとても印象的。

  •  現実は残酷だなあ、と思う。まともな家もない。荒れた生活。持病のせいで定職につくこともできず、その日暮らしの男娼。けれど、何故か毎回アイダホのある道路に戻ってくる。愛する人、一番の親友を失っても。こんな人が世界のどこかにいるのだと思うと、胸が痛くなる。
     リバーフェニックスが薄汚い男娼を演じている。なんでこんな見目麗しい人が男娼なんて演るんだろう。顔が綺麗な彼が演じたから、この映画を最後まで見るに耐えたのかもしれないけれど。
     映像は繊細で綺麗。過去と現在が交錯するから、わかりにくいかもしれない。好きな人は好きだと思う。

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