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- / ISBN・EAN: 4988102859435
感想・レビュー・書評
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「やっとるか」「やっとるぞ」
「がんばれよ」「よしきた」
結核患者の療養所、健康道場で暮らす少年が、生と死のはざまで恋する物語。
太宰の原文を各所に散りばめつつ、それを若造の、当時16だか17だかの染さんが演じても何ら違和感がないということがすごいなあと思った。
言葉づかいだって下手したら浮くし、「ん?」となってしまいかねないのに、ならなかったのは演出の極み。
オールアフレコのこだわりと、未曽有の震災が起きる前の南三陸町のロケ地で撮影されたというところも見ごたえがある。
ミッキーカーチス(塾長)の訓話にのせてはじまる健康道場の体操と、助手たちのコーラス。
病気とは無縁かのような平和な風景から一転して、とつぜん仲間が死んだりするところが、むかしの結核の切迫さを象徴しているかのよう。
ふたりの女性のあいだで揺れ、
親友と親友が恋した女性とのあいだで揺れ、
生と死のあいだで揺れ、
いっそがしい青春だ。
マァ坊の仲里依紗、竹さんの川上未映子、どちらもよかった。
竹さんは作家なので演技力にはまったく期待していなかったのだけど、冒頭の寝姿、バスの中であどけなくゆれる寝姿が素晴らしかった。
正面から見るとさしてべっぴんさんではないのだけど、ななめ、横顔、ふとした表情がとても魅力的。
竹さんとひばりの交流シーンは、とくに恋愛を意識させるセリフはないのに、なぜかすごくドキドキしてしまって、
竹さんがカツラを脱ぐところと、
ひばりの足を拭いたげて膝に座るかと見せて草履を譲るところ、
紅を薄くさしていると告げて唇をみせるところが色っぽかったな。
ひとによっては、拭き掃除の姿ですらムンムンくるみたい。
まあ、わからんでもないな。
でもやっぱ、この映画の最大の魅力はひばり役の染さんなのです。
竹さんに「おめでとう」を告げる際のニヤニヤ。
この「ニヤニヤ」こそがひばりであって、とにもかくにも、さりもさりとて、小憎たらしくて可愛くて辛抱たまらんくなるのです。
母性のしっぽをムンズとつかまれた心持ち。
かざってない、ポーズじゃない、だから真剣にこっちも目で追ってしまう
そういう引きがこの俳優には漂っている。
この子は日本映画に希望を与えるなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009/10/14新宿にて。
このパンドラの匣に詰まってるのは
きっときらやかな未来でしょう
染谷将太は妙にセクシーで
仲里依紗が可愛さをふりまいて
川上未映子の色香に参ってしまう
窪塚洋介は溶け込んでいて違和感なし
キャスティングが見事なのだけれども、
不惑へのカウントダウンが始まった35歳
ふかわりょうの26歳大学生は無理がある
布団部屋のシーンが強烈に残って刺激してやまず
看護婦の衣裳は敢えて時代を無視しているのもいいし、
菊地成孔の甘い声もかとない余韻をスクリーンに漂わせる
可愛らしさや弱さは10代~20代前半の美徳であり、
強さというものは20代後半からの魅力であるなあ、
と映画のマア坊と竹さんを比較して思ったり。 -
私が勝手に太宰治の最高傑作と思っている『パンドラの匣』が映画化。
期待して視聴しました。
舞台となる“健康道場”のレトロで牧歌的な描写を堪能。
原作にある描写やセリフをかなり忠実に拾っていて、原作に忠実な映画化かと思っていたら、途中から微妙にパラレルワールドの世界に。
原作をそのまま映画にしても面白くない、ということで新解釈を狙ったのでしょうか。
太宰治作品らしからぬ前向きでほのぼのとした原作なのに、原作以上に太宰治ワールドに近い味付けになっていました。
ネタバレになりますが、感想や疑問点をメモしておきます。
少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
原作以上に太宰治的 映画「パンドラの匣」
http://sfclub.sblo.jp/article/166626556.html -
キャスティングと演出、音楽が最高。
染たんすごいなあ・・。存在感あるし、本当にぴったり。
窪塚がつくしという、なんか上手いこと持って行ってしまう感じもにくい。そうだ、ふかわりょう笑ってしまった。
布団部屋のシーン圧巻。印象に残りました。
そして菊池成孔の音楽の良さよ・・ -
この川上未映子の髪型にしたくてウィッグ買ったけど、押し入れに入れたまんまだ。
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美しい!!!こういうポップで浪漫的で文学的な作品を私は待ってた!!「パビリオン山椒魚」の時といい、冨永昌敬監督の才能はすばらしい。作品全体に魔法がかかっているような素敵な完成度!
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至福。役者たちがみな特別な魔法にかかったようにキラキラした表情をしている出色の出来。音楽も美術も素晴らしい! 太宰映画の奇跡的傑作。
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凄いかっこいい。
凄く好きな映画かも。本を読んだ様。
菊池成孔やっぱりいいな〜。