Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2011年 09月号 [雑誌]
- ダイヤモンド社 (2011年8月10日発売)
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筆者は、1995年に『知識創造企業』を上梓し、2008年には『ウォールストリートジャーナル』に最も影響力のある経営思考家として選出された、知識経営の生みの親・野中郁次郎氏。あの東日本大震災を経て、今真に求められるリーダーのあるべき姿について、本田宗一郎や柳井正の事例を交えて論じている。
野中氏は冒頭で、CEOたちの無力さ指摘し、現代のビジネス・リーダーは、成長や利益の創出などの経済価値のみならず、社会価値を創出しなければ、その企業は長く生き残ることはできないと説く。
その鍵となるのが、形式知と暗黙知という二つの次元の知識だけでなく、第三の事前の知識である「実践知」を身につけることにあるという。
実践知の起源は、アリストテレスが分類した三つの知識の一つ、フロネシスにあり、「賢慮」とも訳される。実践知は経験から得られる暗黙知で、価値観や道徳を手がかりに冷静な判断を促し、状況を踏まえた行動ができるようになる。組織全体でこのような知識を育成することができれば、リーダーは知識創造のみならず、見識ある判断が可能になる。
筆者は、日本企業を中心に調査を実施し、こうした賢慮のリーダーが持つ能力を、以下の6つにあると説明する。
〈賢慮のリーダーの6つの能力〉
① 何が会社と社会にとっての善かを考えたうえで、意思決定する
② 状況や問題の本質を素早くつかみ、人、物、出来事の性質や意味を直感的に理解できる
③ 経営幹部や社員が相互交流を通じて新たな意味を構築できるよう、フォーマルおよびインフォーマルな場(共有された文脈)をたえず創出する
④ メタファー(隠喩)やストーリーを使って、みずからが実際に経験したことの本質を伝え、個人やグループにとっての暗黙知に転換する
⑤ 政治力を行使して、相反する目標を持った人たちを束ね、行動を促す
⑥ 徒弟制やメンタリングを通じて他者(特に現場の社員)の実践知の養成を促す
最後に筆者は、求められるリーダー像について、こう結んでいる。
「CEOは理想主義的な実用主義者にならなければならない」
「現実を直視し、状況の本質をつかみ、それがもっと大きな文脈とどう関わるのかを思い巡らして、共通善を実現するために何をしなければならないかをその時その場ですぐに判断するのである」 -
本号はリーダーシップ特集。
カバーがなんと野中教授。
野中教授と竹内教授のリーダーシップの論文。賢虜のリーダーシップ、実践知から得られる、価値観や道徳を手がかりに、冷静な判断を促し、状況に応じた行動。本田宗一郎氏や柳井正氏のケースを踏まえて論じられている。
また、他の論文もリーダーシップをユニークなアプローチから論じられており、興味深い。
また、ボリス・グロイスバーグ教授のCスイートの新たな役割として、CEOほか役職の今後の追加要件として再整理されているのが非常に面白い。 -
個人目標を設定し、他人からフィードバックをもらう。
やるべきことを上手く出来ないのは、優等生にとっては最もつらい。
同性愛者をニューノーマルというのか。 -
最初の2つ,3つぐらいまでは面白が後はいまひとつ.
野中先生の記事はとてもおもしろかった.