すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト (PHP新書) [Kindle]

著者 :
  • PHP研究所
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 4
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (125ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 音楽の本質を理解することは、生命なるものの芯を見据えることと同じである。本書では、シューベルトをはじめとする音楽家の作品に向き合うことを通して、音楽について考えた。シューベルトの名曲のように、音楽の本質を考える作業は常に「未完成」に終わる運命にある。たとえ完結しなくても、少しでも美しい響きに近づいてくれれば良い。そう思って日々を過ごせば、人生はしみじみとした喜びに満ちている。出会った音楽に感謝したく

    聴く前と後では、きっとなにかが違っている。それを信じたい。そして信じるということもまた、一つの真摯な音楽なのだ。

    わからないものは、わからない。わからないのなら、断定的なことを語らない。これが釈迦の「無記」の思想であり、死後の世界や魂の存在の有無について、いっさい答えない、という仏教の哲学である。音楽に対しても、私はこういう姿勢で臨みたい。  解釈を拒絶して動じないものだけが美しい。

    言葉にならないものの存在を知ることは、貴重な体験だ。「言葉にならない=わからない」ものを探すこと。積極的に、自らの意志で探ること。その能動性が、脳に強い喜びをもたらす。〈私〉の生命運動に活力を与えてくれる。

    アーティストというのは、「なにかをキャッチする力」を持った人間です。身のまわりで起きていることを、常に観察している人たちなのです。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。「クオリア」をキーワードに、脳と心の関係を探究しつづけている。1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。
著書『脳と仮想』(新潮社、第4回小林秀雄賞受賞)『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房、第12回桑原武夫学芸賞受賞)『脳とクオリア』(日経サイエンス社)『脳内現象』(NHK出版)『感動する脳』(PHP研究所)『ひらめき脳』(新潮社)ほか多数。

「2013年 『おぎ・もぎ対談 「個」育て論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茂木健一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×