嘘 [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 絶縁状態の父親が認知症を患ったため、不本意ながら田舎に戻った絵本作家の里谷千紗子は、水難事故で息子を亡くして以来、喪失感・自責の念に捕らわれ続けている。夫とも離婚し、人生後ろ向き。

    父親の介護に日々ストレスを溜める千紗子は、ある夜、友人と飲んで愚痴を発散したが、その帰り、友人が飲酒運転する車が人身事故を起こしてしまう。

    本作のキーワードは、認知症と介護、親と子の確執、疑似家族、そして真実より美しい嘘、かな。見事なストーリーだった。ただ一点不満なのは、拓未(洋一)の実の母親の嘘八百の証言がまかり通り、しかも彼女が社会から何ら罰せられなかったこと。それに、そんなに酷い罪を犯してないのに9年の服役は長いよなあ。

  • 嘘の上に嘘を重ねてしまう。
    人を救うための嘘なら許される?
    いじめ、虐待、DV…などが題材とならない作品が多くなると良いですね。
    最後の「嘘」はヤッパリ!でした。

  • 私の感想としては、内容が浅めの「八日目の蝉」のような感じを受けてしまった…

    でも楽しめる人は楽しめると思います! 

  • 絵本作家の主人公は疎遠になっていた父親の介護のため、田舎町に戻ってきた。
    ひょんな事故がきっかけで、一人の少年を自宅に迎えたことで
    認知症の父、虐待を受けてきた少年、子どもを亡くした絵本作家での3人での田舎暮らしが始まる。


    面白くて一気読み。
    一気読みだけれど、リアリティがな。笑
    お父さんと娘の嘘だと泣けたかもしれない。

  • 心に沁みる最後の一行でした。

  •  主人公は絵本作家の千紗子。父親とは長く絶縁状態だったが、施設に入るまでの間、渋々同居することに。一人息子を亡くしてから立ち直れないでいる。
     あっという間に読めてしまうしおもしろいが、なんとなく先の展開が想像できてしまうので⭐︎⭐︎⭐︎。千紗子の心の動きも私は共感しにくい。一心不乱に仏像を彫る父親の姿はなんとなくイメージできる。救われたかったのかな、と思った。

  • 息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。
    認知症になった父の介護をするために故郷に帰る。
    そこへ事故によって記憶を失った少年と出会ったことから千紗子の生活はがらりと大きく変わる。

    これだけの内容だけでも物語の展開を想像するだけで
    大きく膨らんでいき、読み進めていくとその期待よりも
    遥かに展開が大きくなっていき、ただのミステリー小説だけの域ではなく心を揺さぶられてしまい一気に読んでしまいました。

    主人公の千紗子の息子の死、離婚、そして記憶を失った少年の虐待やいじめ、
    そして父の介護の現実、確執と葛藤などとそれぞれの苦悩を抱えながら、
    それでも懸命に現在と過去を見つめながら、大切な人たちと笑顔を
    作り出しながら日々生きているのがいじらしくもあり、
    強さも感じられました。

    嘘をつくと言うのはいけないことだと十分に分かりますが、
    この作品を読むと嘘から生まれた優しい嘘ならば
    ついて良いのかなとも思えました。
    嘘から始まった少年との親子関係ですが、
    お互いにかけがえのない存在と分かり、お互いを必要としながら
    生きていけるということは、結局のところ家族という形や
    血の繋がりというのは一体何だだろうと考えさせられました。

    父の友人の亀田が常にこの家族を見守り続け、
    千紗子が罪を償った後までも温かく支えていた存在感が
    とても光っていて良かったです。
    人生の中でこんなに人に寄り添える人物がいるかと思うと
    どんなに心強いかと思うと共に亀田のような人間になれるように努力しなければいけないとも思いました。

    怒涛の流れで最終章に入っていき、
    そして少年が最後に発した嘘のインパクトで更に驚き、
    この物語のインパクトが強調されて良かったと思います。

    千紗子のしてはいけないと分かりながらも
    亡くなった息子の代わりに一緒に暮らしていこうと思う心境。
    善と悪を苦悩している光景は心揺さぶれるものが大きかったですが、
    認知症になった父の心の変化のや状況が詳細に描かれ、
    それを綴っていたノートを読み返すシーンは心が震え、
    涙を止めるのに必死でした。

    北國さんの作品はこの本が初めてで、
    映画「かくしごと」2024年公開予定ということで
    手に取りましたが、丁寧な描写で読みやすく、
    特に田舎の情景描写が美しく、人物像も人の温もりを感じられたり、
    息遣いを感じられる描写で良かったです。
    ミステリー小説とはいえ、家族の絆を中心に描いていたので、
    余計に人間味のある描写が詳細に描かれていたのが印象的でした。
    この作品をきっかけに他の作品も読んでみたいと思いました。

    映画も機会があったら是非観てみたいです。

  • 千紗子は、認知症になった父の世話をするため郷里に帰る。そこで少年と出会ったことから、千紗子の生活は大きく代わり始める。子どもの死、離婚、虐待、いじめ、犯罪など、それぞれが様々な苦悩を抱えながらも、大切な人と笑顔で過ごすことで、苦しみを乗り越え成長していく。生きていくってなんて大変なのだろう。医師として、父の友人として、常に周りを支え続ける亀田の存在感が光る。亀田のような人にいてほしいし、亀田のようになりたいと思う。

  • あるきっかけから虐待を受けいた子供を誘拐し、虐待をした本当の両親にかわり子供を愛し育てる、そんな話。
    うーん、正直最初の誘拐の動機が共感できない(共感できる人も少ないと思う)。
    その後の生活は微笑ましかった。が、やっぱり、もやもやが残った。
    わりと初期段階で最後の伏線は察することができるが、途中の展開で、証言しないなら違うのか……と思わせておきながら、オチがそれって……、とやっぱりもやもや。

  • 後味が良い終わり方ではないけど、すごく心は動かされた。
    人間はなぜ、負の感情を持ってしまうのか、みんなわかり合おうよ、、、という気持ちになってしまい賢者モードになる。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『猫のいる喫茶店の名言探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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