孤島の鬼 [Kindle]

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  • 東京創元社
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感想・レビュー・書評

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  • 初の江戸川乱歩作品を読みました。

    作風がとても独特ですぐにその世界観に引き込まれました。
    時代は大正時代で当初の特色も上手く抑えられており、勉強にもなります。

    内容としては、生まれながらの畸形や同性愛等、本来ならば触れるべきではない所が一切のカモフラージュもなく表現されていて、それが本書のリアルな息遣いを感じました。

    道徳観、悪徳、悲壮感、偏愛などをテーマに繰り広げられるあまりに濃い内容に感服させられました。

  • 一気に読んでしまった。
    江戸川乱歩の作品の魅力に最近やっと気づき、
    このお話を次に読むものに、と選んだのは正解だった。
    おどろおどろしい恐ろしい殺人計画と、諸戸の
    主人公に対する一途な想いに胸を打たれた。

  • なかなかスリリングで面白い。特に後半の島に渡ってから。前半は主人公の独白という感じで少しダラダラする。場面展開では「この話はここまででひとつお預かりとさせていただき」というフレーズが出てくるが、横溝正史氏の初期のジュナイブルでも好んで使われている。この時代の流行りの口上だったのだろうか。まるで講談話のようだ。

  • 乱歩好きの同僚に教えて貰って読んだ。

    個性的な登場人物と、実際あり得るのではないかと感じさせる独特なストーリーに強く引き込まれた。

    特に、秀吉ちゃんの存在は衝撃的で、期待と不安を同時に予感しながら一気に読み進めてしまった。

    最高の小説。

  • 主人公の蓑浦金之助が不可解な殺人事件を追い、想像もできない衝撃の展開を見せる江戸川乱歩の小説です。
    障害者、同性愛等に対する当時の認識についても生々しく綴られています。
    全く飽きることなく、とにかく常に続きが気になる一冊でした。

  • 江戸川乱歩の熱を感じた。

    ミステリーの王道である密室殺人と衆人環視の中での殺人だけでなく、恋愛要素や冒険譚でもあり、物語としての面白さを全て詰め込んである。

    この話のキーのひとつに、障害がある。当時の世風については分からないが、今より差別が露骨で当たり前だった時代だったと思う。障害者について良い意味でフラットに扱われているこの作品は、きっとその当時だから書けたのだろう。今では差別問題は複雑化しすぎて、逆に無神経であると感じるので、助長している人たちには一度読んで欲しい。

    恋愛パートでは箕浦が自分の気持ちに素直すぎるのが気になり、思わず諸戸に感情移入してしまう。
    箕浦に想いを寄せる諸戸に対して、思わせぶりなくせにいざとなると全力で拒否し、諸戸が死んだというのに「これだけが残念である」と非常にアッサリとしていて、あまりにもかわいそう。諸戸の父から来た死亡通知状の最後の一文には涙が出た。
    今まで父と思っていた人が殺人鬼で心を痛めていた諸戸の、ようやく本当の両親に会えた諸戸の、家族への思い入れは人一倍だっただろうに、それなのに死ぬ間際に考えていたのは箕浦のことだけだったというのに、箕浦ときたらあんまりではないか。

    ということで星4。江戸川乱歩大好きです。

  • 江戸川乱歩を初めて読みました。初版発行は1930年とのことなので90年近く前の作品ですが、現代のミステリ小説でもよく目にする題材・手法が使われており(同性愛、日記の挿入など)、また当時の文体も気にならずあまり時代は感じませんでした。作風としては怪奇小説・冒険小説風で所々荒唐無稽な部分はさすがに時代を感じざるを得ませんが全体を損なうものではないですね。

  • 乱歩、久しぶりで読んだけど、これは・・・。もう2度とこういう作品は生まれないナ。(;'∀')

  • プライムリーディングで読了。江戸川乱歩の長編で最も出来が良いとされている作品。スリリングさの点からすると、さすがに前時代的なのんびりした雰囲気があるが、様々な謎が絡み合い、小出しにされる伏線もうまく回収されるため、作品としてのまとまりは非常に良い。初めて江戸川乱歩の長編を読んだが、短編では濃密に香る、ある種異様な独特のおどろおどろしさが薄まるのは致し方なしか。

  • 初めての江戸川乱歩。長いなぁと思っていたのですが、割とサクサク読めてびっくりしました。腐女子なので、諸戸と蓑浦の関係も気になり、サクサク読めたのかもしれません。
    水が苦手なので、地下のシーンでは息切れしながら読んでいたくらい鮮明な文章で、やはり名作と言われているだけあるなと思いました。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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