バカの壁(新潮新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2003年に出版された「バカの壁」を読みました。

    当時、話題になっていた本ですよね(歳がバレるがw)。もう20年前か。

    「バカの壁」とは、自分が理解できる範囲と、その外を区切る壁。その「壁」の存在を知っているかどうかが重要なんだ、というような内容でした(私なりの解釈)。

    話題になっていた本だし、たぶん読んだことないし、安く売っていたから読んでみるか、と手に取ったのですが、実は私、2009年に読んでいたようです。ブクログにも登録してました!いや、全く覚えがない。どういうこと?

    それこそ、2009年の私には「バカの壁」が、全く理解できていなかった証拠でした。

    2009年の私は「納得できる話題もあったけれど、全体的に何を語りたいのか掴めなかった。」などとのたまっておりました。バカじゃん。要するに、自分が知っている(理解できる)範囲外のことに意識がいっていない、理解できないことは「何を語りたいのか掴めない」と断ち切っていたわけですから…(情けない…)。

    というわけで、痛烈に「バカの壁」を実感させていただきました。
    養老先生に感謝。

    この書籍は、編集部の方との対話をもとに、養老先生本人ではなく、ライターさんが文章にまとめたものとのこと。骨子がわかりづらいと感じたのは、話を完全に整理して載せているわけではないから、ということなのかもしれません。とはいえ、全部を読めば、通奏低音として流れている先生の考え方は伝わってきました。

    実は、並行して、石井光太さんの「ルポ誰が国語力を殺すのか」(2022年)を読んでいるのですが、20年をへだてた2冊の本が、奇しくも同じことを語っているように感じました。言語能力が育っていないために、勉強ができないどころか、他人を理解できない若者たちが増えているという指摘。国語力が育っていないために、自分の考えを言語化できない、言語化できない=理解できない、理解できないことは「興味のないこと、理解しなくていいこと」と切り捨てる。「バカの壁」があることに気付けない。

    「バカの壁」が出版されたのは2003年。「ゆとり教育」が始まった頃とも重なるんですね。「個性を伸ばす」ということについての苦言も書かれていたので、その当時の識者も「ゆとり教育」のあやうさを指摘していたということなんでしょう。2003年、私はすっかり「教育」の外にいたので、ニュースで言葉だけ聞いていた世代ですが、もっと真剣に考えていかなくてはいけない問題だったのかもしれません。


    ※あ、Kindleで登録しちゃった。本当は紙の本を買ったのでした。めんどいのでそのままでいいや…。電子書籍と紙の本で別の本として扱うの、やめてほしいなぁ…。

  • バカの壁とは、かなり攻めたネーミングだな、と思う。バカの壁=「自分が知りたくないことや関係ないことには、情報を遮断するとこと」、「一元論でしかものを考えられないこと」を言うのかな。

    自分の思い込みが正しい、やらない方がよい、などと考えるのはやめて、考えを受け入れる努力をしたり、様々なことをやってみたいと思った。その上で、自分には合わないことや考え方であっても、それを否定せず、他者を認める生き方をしたい、とこの本を読んで思った。

  • 一元論を疑うこと

    ニューラルネットワークが2003年に言及されてたのはちょっとテンションが上がってしまった笑

  • 結局何が言いたいのかよく分からない。なぜ多くの人が手に取ったのかも分からない一冊であった。

  • オーディオブックにて。紙で読んだ方が頭に入ってきそう。
    人間は変わるもの。

    いろんな事例があり、へーっと読んでました

  • 20年近く前の本なのに、予言めいたことが書かれていてびっくり。脳の仕組みから当時の事件の背景や思考の傾向を説明していたり、今でいうニューラルネットワーク(深層学習)の話をしていたり。
    あと、話の引き出しが多い。 

    当時は一元論で争いが起こっていたが、今はもっと多元化していると思う。絶対的な真実がない世界になっているのではないか。とはいえ、一元論に囚われた争いは尽きない。

    万物は流転するし、人は変わり続ける。知ること、考えることを止めずに、生まれ変わり続けたいと思う。

  • 入力をx、出力をyとすると、y=axという一次方程式モデルが考えられる。
    入力するxが同じでも係数aによって出力yは変化する。どんなにすばらしいことを入力しても係数がゼロだと、出力はゼロになる。
    教育の場面でも係数の壁にぶつかる。意図する出力を得られないので、頑張って入力を大きくしても、思うように出力があがらないことがある。係数という相手のせいにするのは「負け」「力不足」「逃げ」だと思うが、出力が上がらないのは係数なんだよ。
    だから、係数を上げる入力bに注力する。さしずめa=bcといったところか。係数a、係数cは相手の「感性」なのだろう。係数cを観察し、値に応じた「問いかけ」bを入力することで係数aが変わると信じる。

  • 常識とは、客観的事実を盲目的に信じていないこと。
    一般的に、常識とは共通して持っている知識の事を指すが、果たしてこの世の中で人々が共通して持っているものはあるのだろうか。原点に立ち返る。モンテーニュの考え方を噛み砕いて説明している。
    また、私たち学生は、「求められる個性」を発揮するように社会から要求されている。ここに「個性を伸ばせ」という欺瞞が存在している。
    久々に新書を読んだが、改めて読むべきだなと思った。自分の理解力を高めたいと感じる。

  • 面白かった。多様性はみんな違ってみんなどうでもいいなのかもしれないなぁ。

  • ・「バカの壁」とは何か
    ・脳の中の係数
    ・「個性を伸ばせ」という欺瞞
    ・万物流転、情報不変
    ・無意識・身体・共同体
    ・バカの脳
    ・教育の怪しさ
    ・一元論を超えて

    バカの壁とは、各々の脳の中にある壁のこと。誰しもどこかで分からないことが出てくるので、そこがバカの壁。学問のように「分からない」が分かりやすい領域はもちろんのこと、当事者でないことによる「分からない」(知ってはいる)も含まれる。

    絶対的に正しいことはないし、同じ人物でも考え方は常に変わっていくし、他人のことを完全に理解できることはない。そこを踏まえて期待しすぎないようにしようぜ、ということかなと思った。

    最初の三章くらいは興味深く読んで、最後に向かっていくにつれて興味を失っていった。「意識」の話あたりはまだ面白かった。才能ある人の例として出てくるのがイチロー、松井、中田であることに時代を感じる。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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