キチガイ地獄 [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月12日発売
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感想・レビュー・書評

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  • これまた支離滅裂な

  •  石狩川上流のポツンと一軒家からの『世にも奇妙な物語』。
    「事実は小説より奇なり」ならぬ、「小説は事実より奇なり」と、フィクションの本気度が感じられる小説です。
     当時は石狩川上流はまだ未開の地だったのでしょうか。こんな一家が存在していても違和感なかったのでしょうね。

    『三四郎』な人生論
     夢野久作全集2【ReadingX】
      https://sanshirou.seesaa.net/article/493140208.html

  • 読んでいて途中で意味がわからなくなりかけたが、壮大な妄想が最後は筋が通っているようで読み応えがあった。

  •  男曰く、退院させてくれ。精神状態が良くなったから。
     では耳を傾けてみましょう。北海道から九州まで壮大なお話。
     わりかし短いのでサクッと読めます。

     主観と客観に想いを馳せてしまいますね。
     ドロドロな愛憎劇かなと思いきや、ファンタスティックに失楽園かなと見せかけて、壁じゃんみたいな。
     そういうこともあるんですね。わかりませんね。

     ところで語句について「エロ」「グロ」が用いられており、約90年前にはすでに一般の表現だったのであれば特になんでもないですけど楽しいです。
     細かい点では「胴忘れ」はド忘れ、「併し」はしかし。勉強になります。
     ほか、表現に関して言えば『全裸監督』やキャスター・リンボ(『Fate/Grand Order』より)を想起する箇所がありました。詳しくは末尾ハイライト部分。

     ちなみに同作者の『ドグラ・マグラ』を読んだことがありまして、本書では同じエッセンスが凝縮されていますので、ちゃちゃっと読んでみたい方には本書をお薦めします。

     なお、本書のご紹介はあどニム・爺(あどニム・ガード)さんからいただきました。深く感謝いたします。

     ◆以下、気に入った箇所をハイライトにして、Kindleからエクスポートして転記した。

    メモおよびハイライト:
    『Kichigai jigoku (Japanese Edition)』
    (Kyusaku Yumeno著)

    ハイライト(イエロー) - 位置No. 13
    御信用申上げます。御信用申上るどころではありません。
    ハイライト(イエロー) - 位置No. 61
    胴忘れ
    ハイライト(イエロー) - 位置No. 121
    併し
    ハイライト(イエロー) - 位置No. 215
    ええええ。事実ですとも事実ですとも……。
    ハイライト(イエロー) - 位置No. 425
    そのエロ狂の骸骨男が
    ハイライト(オレンジ) - 位置No. 588
    底本:「夢野久作全集8」ちくま文庫、筑摩書房1992(平成4)年1月22日第1刷発行
    底本の親本:「冗談に殺す」春陽堂1933(昭和8)年5月15日発行

    以上

  • 夢野久作による独白体の短編小説。読みやすい。

  • なんかよくあるかもしれん展開だけど、好きだよねぇ、こういうの。あんまり生真面目な話を聞いてるより、ちょっといっちゃってる感じのほうが楽しいやね。
    にしてもこの題名で小説を書ける日はもう来ないよなぁ。

  • 時代の空気というものを無視しながら、しかし今の時代ではむつかしいだろうなという作品がたまりあり、本作もそれに類するものだという気がするね。長尺の独り言にはそれだけの狂気感みたいのがあるのだけど、なんつっても、人に話してるはずが誰にも話しかけていなかった、というのは、本書を読み終えてもやはり主人公は妄想を話しているだけであると思うのには十分で、それでもなぜか、実は真実なのではないかと片隅にこびりつかせるところは、サスペンスとして巧みな設定もあるのではないかと思うね。面白い。

  • 夢野久作らしさ溢れるお話

  • 夢野久作2作め。
    あのドグラマグラにつぐ作品だったか。
    言い回しがとても現代風で面白い。
    ステキという言い回しが好き。
    これは熱烈なファンが生まれるよなーと読みながら思った。
    話の筋はどうでもよく雰囲気がいい。ステキ。

  • 精神病院にいる患者が語り始めた自分の過去の話。

    自分は政治犯であり、逃亡の末山奥で妻子と原始的生活を送り、新聞記者に騙されて記憶を失い、炭坑主の女と二重結婚をしたという。

    しかし、話を進めると自分は実は新聞記者であり、毎日同じ話をしていることに気づく。

    夢野久作らしい作品でした。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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