葉桜と魔笛 [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月13日発売
4.04
  • (19)
  • (32)
  • (16)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 264
感想 : 30
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (11ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 桜桃忌に向かう電車の中で読みました。(再読)

    ある姉妹の、苦くて美しい思い出。
    何が真実なのか……読了後の不思議な感覚がクセになる作品です。

  • TLで流れてきて気になったので青空文庫を早速DL。
    太宰を読めるほど自分も大人になったんだなあと。
    むかしは彼の良さを理解できる感性と知性が足りなかった。

    なんて切なくて、なんて狂おしい。
    そして愛おしいんだろう。

    こんなにまっすぐな愛情を描ける人だったんだ。
    知らなかったことを口惜しくも思うし、これから知っていけることを幸せだとも思う。

  • 太宰治らしい(と思う)、品があるおっとりした登場人物。
    美しく病弱な妹と、優しい姉。
    当時の女性の意識は分からないけれど、一八歳の深窓の娘さんが、男性に抱かれたいなんて思うだろうか。自分で自分に手紙を書くのは乙女らしさが感じられるけれど、貞操観念についてはやや疑問を感じた。
    もしそうだったとしたら、これはとても切ない物語だ。触れられたいと思うような異性にも出会うことなく、美しい体を美しい年代に失い、甘美な想いを感じることなくこの世を去る。
    魔笛は優しい魔法にも感じられるけれど、空想上の異性が吹く口笛は、少しでも姉妹の救いになったのかな。

  • こんなに短いのに、スコンと足元すくわれるような驚きがあって、え、もう一度読み返さなくちゃと思わされる。

    クラフト・エヴィング商會のおすすめ。

  • 意外や意外、純粋な物語だった。「正義と微笑」の姉妹版みたい。

  • これほど短い文章の中に病床の妹の悲哀や後悔、姉妹のお互いを思いやる心、そしてラストに含みを持たせる魔笛のミステリーなどを盛り込んだ太宰治はやはり天才。

  • とても短いのですぐ読み終わる。光景が全部目に浮かんでくる気がしました。妹の本心は本当に切なく,最後の魔笛の正体でぐっときました。

  • 時代や世間の目に捕らわれて、女として自由に生きられなかった姉妹。最後に聞こえた口笛は、妹の願いが起こした奇跡なのか、厳格な父親が見せた優しさなのか。
    明治三十八年頃が舞台となっている物語ですが、妹の願いは、現代の女性にも通ずるものがあると思います。ここまで丁寧に、いやらしく女が描けるのは、さすが太宰治というところでしょうか。

  • 暖かい。暖かすぎる。泣いた。

    ※耳読書

  • 適度な短さですごく読みやすかったです。老婦人が自分の若かった時の出来事を話すという始まりですごくおもしろかったです。MTから妹への手紙を見た姉が妹を思ってMTになりきって手紙を書くという行動に妹を思ってしたことということがわかって姉から妹への優しさを感じました。
    また妹が自分でこのような手紙を書いたということから、昔の考えとして自由恋愛は良いことではないという考えと自分の病気のこともあり恋愛することができなかった。だからこそ、恋愛に興味や憧れがあったのではないかと思いました。姉との会話の中で、「お利巧すぎた」と言っていることから、異性と遊ぶことをずっと我慢し続けていたことに対する後悔があることからずっと目を背けていたということがわかり、手紙を自分で書いたのもその後悔をごまかすためではないかという考察をしました。姉は、24歳の時に結婚をしているので自分が思った相手でなくとも妹が憧れていた恋愛をする青春は時期が遅くてもできたんだなと思いました。
    また、実際に聞こえた口笛の音の正体は私も父親ではないかと思いました。姉と妹の会話を聞いていた父親が妹のためを思い、MTになりきって口笛を吹いたのではないかと考えました。この行動にも父親から病気の妹に対する親の優しさがあるなと思いました。
    この口笛が聞こえた3日後に妹が息を引き取ったということを読んで妹は気分で手紙を書いたことが実際に起こったことで嘘だとわかっていながらもうれしかったのではないかと思いました。私が幼いころは、太宰治さんの作品を読んでも全く理解できませんでしたが今読んでみるとすべての場面で描写が想像できたのもうれしかったです。またほかの作品も読んでみようと思いました。

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太宰治の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×