ダス・ゲマイネ [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 人物の見た目描写がラノベみたい。
    佐野次郎が太宰だと思ってたら、まさかの本人登場で混乱した。
    いつの世も、学生は大言壮語を吐き飲み歩き実態は何も動いていなくて、でも有りもしない夢を語っている瞬間が一番楽しいのかもしれない。遠足本番よりも、準備時間のがわくわくして眠れないみたいに。

  • フラれても格好が付く名前の佐野次郎
    馬場と居酒屋で会う
    菊という身近な女の子に好意を持つ
    馬場、変なやつ
    格好、佇まい、顔立ち
    普通が嫌だからわざと変な格好をしているらしい
    怪しいのだがなぜか魅力を感じた
    日に日に馬場と仲良くなった
    馬場は世界的な音楽家に認められる程らしいのだがいまいち信用ならない
    色々疑問が生じるのである
    バイオリンよりもバイオリンケースを大事に思う考えは共通しているのだろうか
    他にも服装をよく変える、イメージを持たれないため
    また勘定は全て彼が出す
    八十八夜に好きな女の元へ馬場を連れて行く
    菊に似ていることに気づく
    しかし、女は比べるものではないと思っている
    友を得た途端女を失ってしまったようだ
    ここで佐野次郎は偽名だとわかる
    馬場に本を書くことを持ちかけられる
    馬場の出版意欲はどんどん高まっていく
    具体的な設定描写
    馬場の思想に染まっていく
    佐竹は馬場と仲が悪い
    親族にも思えないほど
    佐竹は馬場の過去を知っている
    胡散臭いと忠告
    佐竹は本を書きたいと思っていないのだ
    太宰を仲間にし、出版への話が進んでいく
    太宰の表現からウソ。馬場に狂気を感じる
    太宰と馬場の掛け合い
    馬場は何かをしなければならなくなったのだ
    目が醒めてはならない。
    つまり嘘の自分
    喧嘩別れした
    本当は雑誌などしたくなかった
    佐野次郎を手放したくなかったゆえのでっち上げ
    馬場の狂気
    世の中が嫌いなのだろう
    佐野次郎は自分がわからなくなった
    自分の行動は全て他人の真似
    自分が呟くことも馬場の真似になっていた

    馬場と佐野は何もしないことが共通点であった
    馬場のきまぐれによる創作で佐野は自分に何もない事を知る
    馬場は人の評価ダメでもよかったのだが佐野は良くなかった

  • 叶ふなら 馬場の金魚の糞に 私はなりたい
    ーーーとだけ23.12.10に書いた。
    昔から、太宰は短編でときどき面白いもの、良いものを書くなとは思っていたが、
    本作は、読みながら腹を抱えて笑った。
    エンディングが近づいて、
    「まだ終わらんでくれ、ずっと続いてくれ〜っ!」と思った。
    読みながら腹を抱えたのはカラマーゾフのおやぢ以来、エンディング来るな! と思ったのは全く久々、何年ぶりかも覚えてない。

    佐野二郎左衛門〜この渾名の意味を出版当時の人たちは皆知ってたんだろうか。
    歌舞伎は身近な娯楽だったんだろうか?
    少なくとも、調べものはしにくい時代だったハズ。
    ネットのない時代なら、余は気になって本屋か図書館で「佐野二郎左衛門とは何者?」と調べてたろうなぁ。
    レビューを見ていて、佐野二郎左衛門が本名で、佐野二郎が渾名だと勘違いしてる人がいて、少し笑わせてもらった。

    走れ、電車。走れ、佐野二郎。走れ、電車。走れ、佐野二郎。。。。あっ!
    ひょっとして、高野悦子さんはダス・ゲマイネを愛読してたんだろうか。

  • 太宰の「ダス・ゲマイネ」を再読したが、むちゃくちゃな話で、奥野健男は前衛的といふが、読んでゐて若書きの難儀さとしかいひやうがない。やっぱり石原美知子と結婚してからが大宰の黄金期で…… あと馬場の生家は大宰の生家がモデルだらう。

  • 太宰治がでてきておもしろかった
    上野公園でてきた
    よくわからんはなし
    自我がないものは何かの代わりをほっしていきるしかない
    さのばば、だざいさたけの対立構造
    金魚のふんはだめ、自分を持とう

  • そういえば江戸川乱歩の「孤島の鬼」も君を手放したく無い故の嘘…的な題材だった。この作品はスピード感がありすぎる。もう少しページ数があれば、ド好みだったなぁ。

  • どこをどう説明すればよいのやら。
    とりあえずインテリは金があって暇もあって、そうするとろくでもないことを考えるものだ、という良い例。そしてオウム真理教に大量の東大生がいたみたいな、受験勉強ばかりやっていた学生の社会への耐性のなさ。
    みたいなありきたりな感想。しかしこの倦怠感は嫌いではないのだ。

  • 最初の一行目から心を掴まれる。太宰さんずるいですよ、この出だしは…。佐野次郎の死ぬシーンの描き方が秀逸。

  • 2017.7.31
    一般的、通俗的なもの、という意味と、だからダメだ、という意味の掛詞である、ダスゲマイネ。んーなんとも、なんというか。
    面白い、とは思う。ただなんというか、何が書かれているのか、その背後にある意思は掴めない、といった感覚かなぁ。太宰の作品に太宰自身が登場人物として出てきたのはビビった。
    何がフレキシビリティ、これは私である。ほんと、何がフレキシビリティだよ、ただ空っぽなだけ、何かを主張するための基盤と責任と強さがないだけではないか。だから思う、私は誰だろう、と。
    太宰の書く人間はやっぱり、醜く、愛おしくはなる人たちだな、とも思った。文学とはそういうものを書くのだろう。醜さ、ダサさ、故にかっこいい、美しい人を書くのだろう。それを実際の状況として、理念や理論ではなく、ある種の現実として、描くのだろう。

  • 稀に見る人身事故小説だった。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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