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感想・レビュー・書評
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直木賞受賞作
別れた男と久しぶりに会って、ちゃんとお別れできた32歳女性。
付き合ってた頃は金がなくとも体の相性で好きだと思っていた男だった。
京都まで
東京のキャリアウーマンの30代女編集者が京都のおぼっちゃま風の男と恋に落ちる。
女が京都に移住しようとした頃から、男が重荷に感じるようになり、破局
女は東京へと帰っていく詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1986年に、表題の「最終便に間に合えば」と「京都まで」が直木賞を受賞。林真理子はそれまでに連続3回直木賞候補にあがってきた。(「星影のステラ」「葡萄が目にしみる」「胡桃の家」)
満を持しての4回目で受賞はご褒美だったんだろうか。私的には「葡萄‥」の方がよっぽど、と思うぐらい受賞作は普通のいわゆる林真理子的恋愛小説だった。その後の力強い作品を知ってるので尚更「これが?」と思うのでしょうね。
「最終便に間に合えば」
男に貢ぎ、尽くした女が、別れた後社会的に成功し、男と再開した時のむつみ合い。自分の方が優位に立っていることに満足するが、最後にこう思う。自分も長原も、なんと意地汚い存在なのだろうか。‥これは「葡萄が目にしみる」で最後に「あなたも私もよかったね。」と呟くのと対照的だ。
「エンジェルのペン」
作家浩子に檄を飛ばすへんしゅうかの緑川は、幻冬舎の見城徹がモデルか?
「てるてる坊主」
これっていいの?大丈夫?植毛業界を大暴露‼︎植毛士たちは、たいてい新聞広告などを見て集まった人たちで、どうしても食えなくなった中年カメラマンや停年退職した初老の男たち。人工毛は半永久的というのは嘘で、植毛が終わった後、先生が櫛でとかすと、植え終わったばかりの人工毛がごっそり抜けるのだ。これは患者の目には絶対触れさせてはいけない。だって一本200円するのだから。
「京都まで」
自分を慕う年下の京男をペットのように可愛いがるフリー編集者の久仁子。遊びのつもりがのめり込み、京都に移り住むことを彼氏に提案。ところがまさかの拒否られ目が覚める。‥現実感のないままに、はかなく終わらなければいけなかった恋に、久仁子がたくましく生活を持ち込もうとした。それはあきらかにルール違反だった。恋をしたかったのだ。それも最適な場所で、最適な男と恋をしたかったのだ。京都は久仁子の好みに合い、高志はは久仁子の好みに合った。なにもかもできすぎの舞台装置だったと、今さらながらため息がもれる。
それにしても京都から出たことがないという高志が、なぜに「だぜ」を連発するのか。東京男でも使わないぜ。 -
直木賞受賞作として受賞した2作だけ読む。 林真理子は、直木賞選考委員のコメントなど読んでみて好きになれないので今まで読まなかったのだが一応読んでみた。 陳腐な設定、露骨な性描写、ありふれた痴情、やはりたいしたこと無いなと思いながら読みだしたがだんだん面白くはなってきた。ただ短編2編でもう十分。今後林は読まないと思う。
直木賞作品が傑作でないのは珍しくないが、まったく受賞のレベルではないと思う。女性作家が赤裸々に女性の性欲や性行為を描写する事の先駆けで当時は珍しかったのだろうか?