有限と微小のパン THE PERFECT OUTSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 1998年作品

    20年経っても、この作品を読むと技術は進化していない。
    世界の人間の知能がボトムアップしていないのであろう、富と貧困の格差で相殺されているのかもしれない。

    人間の脳が一番エネルギーを使わない創造のコンピュータであるが、なかなか活かしきれない。私も含め。
    スパコンは凄いエネルギーを使うので、自然冷却(北国)とメガPV(太陽光発電)が主流らしい。日本はどこがいいか?

    真賀田四季と犀川先生が親で萌絵が子供ように感じる。
    真賀田四季から狂気がなくなり、更生が感じられ、このシリーズを読んでみたいと思った。
    犯人は枕営業的な役だったので、未来も男女の関係はかわらないのか???

    また、真賀田四季は犀川先生に会いに来る。天才でも人間は矛盾だらけで生きているといこことかね。

  • これはミステリーとして読むより哲学書として読むべき本かもしれない。先生と萌絵の関係や、萌絵個人が、シリーズを通して変化しているのを感じる。「音楽を聴いていると、音楽を聴いているのを忘れる。生きていると、生きているのを忘れる」という一文が心に刺さった。
    あと、「貴女が死んだら、誰かが貴女になって泣く」というところ。意味がわかるようでわからなくて、生まれてきたのが私じゃなくても、私はいるんだろうなという感じ…
    各章に引用されている文章が、これまでの作品からなのが良い。作品たちを思い出しながら読んだ。

  • 「大きな声を出せる人は、小さな声も出せます。速く走れる人は、ゆっくりと走ることもできる。では、理解できる人は、理解しないことも、できるのではありませんか?」

  • S&Mシリーズ完結編。楽しめました!印象に残ってるのは、『すべてがFになる』と『夏のレプリカ』。二人の関係性が良いですね。萌絵のようなストレートに生きてみたい。最後にシリーズ通して気になるのが、女性みんなタバコ吸い過ぎ。。。時代ですね(笑)

  • 読み終えて、殺人の動機はどうでもいいって思ったのは初めてだから新鮮だった。

  • 読了!!

  • 天才とは何か
    現実と虚構の差

    著者の哲学的思考がとても楽しめた

    謎解きは凡人には無理なレベル
    確かにヒントは散りばめられていたのかもしれないけど・・・そんなのあり?
    十分に楽しめたけど

  • 現実と虚構。
    生と死。
    それを問い続けていた
    S&Mシリーズだった
    のかもしれない。

    S&Mシリーズ第10作目となる
    ファイナルミステリー。

    犀川創平と西之園萌絵の
    密室シリーズも終了する。

    日本最大のソフトメーカ・ナノクラフトが経営する
    長崎にあるテーマパークを訪れた
    西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。

    パークでは過去に「シードラゴンの事件」と呼ばれる
    死体消失事件があったという。

    萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。
    核心に存在する、偉大な知性の正体は。

    萌絵たち3人は
    教会での殺人、
    社員の部屋での殺人、
    VRルームでの殺人。
    消える死体に遭遇する。

    いくつもの密室殺人と
    死体消失の謎。

    当初からナノクラフトの
    地下社内には
    第1作で登場し、
    逃亡している
    真間賀田四季が
    いるとされていた。

    東京から新横浜の妹の家に寄った犀川は、
    萌絵の身を心配して、
    密かに長崎の萌絵のもとへ向かう。

    VRと現実に作られた架空の街が
    舞台として錯綜する。

    そこで語られるのは、
    現実と虚構の差。

    そんな僅かなものに我々は怯え、
    そんな微小なものに我々は生と死を分ける。

    有限の生と、微小の死を。

    かじられたパンがラストメッセージ。

    事件の謎解きは
    あっと驚くトリック。

    そして、さらに。

    新横浜の妹の家に
    ラストのトリックがあった。

    知的でセンシティブで
    ダイナミックで、
    最終作では
    人という存在自体について
    問いかけていた。

    いや、それは
    第1作から
    そうだったのかもしれない。

    S&Mの記憶は
    永遠に。

  • 2023.09.12. audible聴了

    S&Mシリーズ終わってしまった。
    この終わり方を納得するか、納得しないか。

    amzonの本の紹介
    日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴンの事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する、偉大な知性の正体は……。S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。

  • S&Mシリーズ、疲れたり飽きたりすることは全くなかった。常に楽しみながら、時に惜しみながら、読み進めることができた。
    今回の最終作で最高潮に盛り上げつつ、これまでの伏線を回収するまさにパーフェクトな読後感。
    ご褒美をもらったかのような、それでいておあずけを食らっているかのような、森博嗣ファンにはたまらない作品。

    1998年刊行、というのが信じられない。時代は進んで、技術も作中を追い越しているのに、作者の思考がその先をいっている。

  • シリーズラスト。話がまるでRPGのよう。こんなトリック分かるわけないが西之園萌絵をぎゃふんと言わせたいその気持ちはここまでシリーズを読んだ方ならだれでも思うのではないだろうか。

  • 全く予想不可能な結末.いや,できるんだろうか.
    まがた博士がすごいのか,犀川先生がすごいのか,ちょっとついていけない.

  • '人間だけが本能を乗り越える。本能を封じ込める。本能に逆らえる。それを犀川は「人間性」あるいは「人間的」と呼んでいる。人を愛したり、子供を慈しんだり、群れを成し社会を作ることは人間性ではない。むしろ、我が子を殺す意思こそが人間性だ。あらゆる芸術は、この反逆に端を発しているのである'

    '誰が作った常識かしら?恋人がいとおしい。子供が可愛い。命は大切。昔は懐かしい。
    いったい、誰が決めたの?
    小さな器に押し込むために、そんな約束が必要だっただけのこと。料理に味つけをするように、道徳と装飾を仮想構築しているだけ。何故、本質を見ようとしないのかしら?'

    '欠けているのは僕らの方ですよ。欠けているからこそ、人間性なんてものを意識して、子供に教えて、やっきになって守ろうとする。愛情とか道徳とか博愛みたいなルールを作って、補おうとしている。欠けているのが人間だ、なんて言う人がいますけれどね、それも違う。多いもの、大多数のものが正しいと言うエゴに過ぎません'


    戻っていく。存在することがこの息苦しさとイコールみたいにそもそもが矛盾を抱え込んでる。

    なれやしない。整合されて、安定した状態を目指して生きずらさに溺れないように喘いでいる。

    不完全で、全然足らない。
    欠けていて、辻褄が合ってない。

    それでも、それを受け入れられたら、とても綺麗なのかもしれない。


    'みんな、一つの自分しか持っていない。
    みんな、自分を一つにしようとしている。
    それが当たり前だと思っている。
    けれど…、
    自分は、そうではなかった。
    統合されていない。
    彼は統合されていない'

    'いったい、統合しようとしているのは、誰だろう?
    誰が、人間を作ったのか、と同じ疑問。
    今も、一人の犀川はそれを考えている。
    別の犀川は、気にしていない。
    つまり、選択しない'

  • 再読要。

  • S&Mシリーズ Vシリーズ 四季シリーズ Gシリーズ 百年女王シリーズ Wシリーズの3冊まで読んでから 真賀田四季が気になりすぎで 電子書籍にてS&Mシリーズを再読してました!
    真賀田四季の人間性を 改めて実感した一冊
    そして Wシリーズの続きに戻る予定が…Gシリーズ 再読に踏み切ろうかと…(笑)

  • S&MシリーズNO.10
    最後の作品です。
    登場人物に真賀田四季とあり、ワクワク感が止まりませんでした。
    シリーズを読んできた方はとても楽しめる作品になったと思われます。
    あの方が少し変わったのは双子の影響があるのでしょうか?
    うーん、さらに続きが気になりますなぁ。

  • 10年以上ぶりの再読。面白い。
    今にしてみるとIT技術系の時代設定がわかりにくい。携帯はあるけどメールできないとか。

  • 瀬戸千衣!!そうだったのか...
    これでS&Mシリーズも見納め.
    真賀田四季が絡むと,どうしても表現や会話が哲学的というか抽象的というか概念的というか,具体性を廃したやりとりが展開される.
    それはそれで面白いし,他作品との繋がりも出てきたりして,個人的には大変楽しく読めた.

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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