おちくぼ姫 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 家で冷遇されるおちくぼの君は心も姿もたいそう美しい娘だった。
    そんなおちくぼの君に都で評判の右近の少将が恋に落ち一途に求婚する。

    平安のシンデレラストーリー。
    姫の継母の性格が最悪でぶん殴りたくなった。

  • 最高におもしろかった。
    高校時代、古文が苦手で源氏物語やら枕草子やらを敬遠しまくってた自分が、まさかこんなにおちくぼ姫を面白いと思うなんて思わなかった。

    そして何より最高だったのが、最後の田辺さんのあとがきで、『あなたはこれで、千年むかしの友人たちを、たくさん持ちましたね』と書いてあった一文だった。

    そうか、本を読む面白さって、そういうところだったよな、と、自分が本に感じている多幸感を「ズバリ」と言語化してくれたのが、何とも清々しい気持ちだった。

    もっと田辺さんの色々な作品を読んでみたいなぁ…。

    私の今後の読書人生に新たな出会いをもたらしてくれた、大切な一冊になりました。

  • 多分だいぶ前に読んだ気がしますが、先に出た「舞え舞え蝸牛」の方か記憶があいまい。氷室版落窪物語も読んでいます。本屋大賞で話題になったので、電子で読み直してみました。あとがきで先のより簡単にと書かれているので読みやすかったですが、前のもまた読んでみたい。
    後で出たおちくぼ物語はこの本より長そう。もしかしたら先の本の改訂版?同じ作者でも読み比べてみるのも良いかもしれない。
    前半いじめが辛いが後半は少し継母に仕返しはあったりして、良い終わりで読後感は良い。原典の方はさらに続きがあるらしく気になりますが、さすがに原典の方は手が出ない…読むのが大変そうです。

  • 平安時代のシンデレラストーリー。

    平安時代の常識。

    ・男女交際のスタートは、男が手紙を書いて様々なコネやツテで相手に渡すところからスタート。女の人は顔を隠すので、噂を頼りにアプローチする。

    ・そして縁談が成立すると、男が女の元へ通う。夜遅くに来て、朝早くに帰る。そして3日経つと結婚式を挙げ、妻と夫になる。が、若いうちはずっと男が女の元へ通う。妻は親の邸に居て子供が生まれてもそこで育てる。子供の養育費も、夫の世話(食べること、身の回りのこと)も、妻の親が負担する。そのうち年齢が上がり経済力もつくと、初めて夫は自分の邸に妻と子を向かい入れる。
    そうして夫婦同居して子供たちを育てて、娘が年頃になると、適当な縁談を見つけて、相手の青年を通わせる。そして我が家の花婿として大事に育てて、孫を養育する。息子はどこかの娘さんに通って、そこで大事にされる。

    ・一夫多妻で、どれが本妻で第二婦人などは無い。波長が合う合わないや、子供ができやすい出来にくいで、いつも通う妻と全く通わない妻ができる。やがて家に迎え入れる時は、本流の妻が選ばれる。


    ・主人公はイケメン少将の付き人。ヒロインは中納言の五女だが継母に虐められており、一生縫い物をしている。ヒロインの付き人が主人公の妻で、なんとかヒロインを幸せにしたい。

    ・なんとか少将とおちくぼ姫とを合わせたりして恋仲にする。母親の北の方が怒って姫を閉じ込めたりジジイと結婚させようとしたりするが回避して、少将が力づくで姫を奪って駆け落ち。

    ・終盤、中納言の家はボロボロになり、少将に嫌がらせされる。心機一転で建てた金ピカハウスもおちくぼ姫名義の土地に建てたので少将に奪われ、そこのパーティでネタバラシして復讐になった。

  • 平安時代のシンデレラストーリー。

    歴史苦手なので役職名なのか名前なのか同じ人物なのかなど混乱。

    後半になるとなんとか頭の中で整理出来てきた。
    漫画のようにコミカルに楽しめた。

    中高校生から大人まで楽しめそう。
    私は阿漕が好き。最初から最後まで大活躍。

  • 古典の「落窪姫」を現代語に翻訳し、おそらく田辺氏による脚色された作品。平安時代の貴族とその付き人が登場する舞台であるが、物語はまさにシンデレラ。シンデレラのリメイク版と言ってもいいだろう。ストーリーも単純なものであるが、それが1000年以上前に生み出された作品であると考えれば、当時の読者はものすごく楽しく読めたのではないかと思う。本作品は2023年本屋大賞で「超発掘本!」に選ばれたもの。雅な世界の男女の物語であり、そこに時代を感じつつも文体が現代なだけに生き生きとやんごとなき人々の振る舞いを感じられる。

  • 田辺聖子の見識と、古典への愛情に舌を巻く。平安の世の物語を生き生きと蘇らせ、一気に読ませる楽しい話に仕立て上げてる。それを読めて幸せです。

  • 読みやすい。少し仕返しが過ぎるところが気になった。

    少将の猛烈なラブコールと、それに照れながらも応える姫君が可愛い。読んでいるこちらがニヤけてしまう。

  • とても読みやすく、おちくぼ姫の概要を理解することができた。古典なりの面白さが溢れ出ているそんな作品だなと感じた。複雑な人間関係から繰り出される壮絶な恋愛物語が物語の中に入り込ませる。

  • 古典だけど読みやすく、田辺さんも書いてる通り日本のシンデレラストーリー。少将が個人でおちくぼ姫に近づくわけでなく、姫に仕える阿漕と少将に仕える帯刀が、良い夫婦で姫と少将のために活躍するところがいい。その時代の風習も邪魔にならずに解説が入るのもいい。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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