流星ワゴン (講談社文庫) [Kindle]

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  • 前の職場で誕生日が1日違いのスタッフと本を贈りあって、プレゼントしてもらったのがこちら。あのときに戻りたいって思いは誰しもあるもの…人生はやり直せるのか?父親と息子の家族愛に涙しました。

  • 木枯らし吹く西東京の外れのベッドタウン、終電を降りた永田一雄(38歳)は、一人息子(広樹)のひきこもり、夫婦の不仲、会社のリストラ宣言の悩みを抱え「もう死んだっていいいや」と呟きます。バス停前のベンチで夜空を見上げていると、一台のワゴン車〝オデッセイ〟が音もなく近づいてきて「遅かったね、早く乗って。ずっと待ってたんだから」と声が掛ります。五年前に交通事故で死亡した橋本義明(33歳)と健太(8歳)の父子が現れ、時空を超えた〝現実世界のやり直し〟の可能性を乗せて、夢と涙のファンタジ-が疾走しはじめます。

  • 末期ガンで余命が近づく父とのこれまでの関係。

    気づけば妻とも息子とも気持ちがズレていた38歳の父親としての葛藤、気づき、そして覚悟。

    運転ミスで交通事故死してしまった父子が乗るワゴンを通じて過去にタイムスリップして、「いま思えば」人生の節目となった場面で改めて考え、行動する主人公。

    ストーリー自体は極めてローカル、派手なアクションや事件がある訳ではないのに、各人物どうしの言葉のやり取りの「温もり」や「息遣い」、「心模様」がとにかく琴線に触れる。著者ならではの長編ヒューマン小説。

    もし自分の子どもが「何かに挑戦して失敗し、挫折してしまう」結果を知っていて、過去にタイムスリップできたとしたら、何と声を掛けるだろうか。

    「そんなに頑張らなくても良いんじゃないか?」と言うことが正義ではない。かといって、他の事に挑戦させればもっと「明るい未来」が待っているかもしれない。

    そう、人生に正解は無い。「不可逆」で「未知の世界」だからこそ、味がある。

    でも、過去は変えられなくとも、未来は自分で創っていくことができる。

    家族関係や親子関係に行き詰っているタイミングで読むと、どこかで心に響くポイントが必ずあると思う一冊でした。

  • あちこちの講評でよく言及されていた「父と息子の心温まるストーリー。世の父親が涙なしには読めない逸品」とはよく言ったものだ。確かに、さまざまな問題を抱えた息子に対する父親の葛藤を描いている点で本作は秀逸だ。しかし、女性から見た視点、母親的視点が全く欠落しているところが玉に瑕。例えば、主人公の妻がなぜ不倫に走ってしまったのかの事情が、薄っぺらな週刊誌的解説以上のものすらなくて、残念極まりない。確かに、バブル絶頂期かその直後の時代背景もあって、生活には何の不満もないんだけれども、なんとなくさみしくて男に走る人妻、なんて話題がかつて耳目をさらったこともあった。今からすればなんて贅沢すぎて逆に貧相な薄っぺらい下世話な動機であったことだろうか。
    とはいっても、父親心理は見事に描けている。父と息子の物語とはよく言ったものだ。そこに母親視点、母性心理まで加えろというのは、欲張りすぎなのかもしれない。

  • ファンタジーではあるけど、家族の物語でもある。そして「(不幸であると自分が認識している)現在を再解釈できるか」まで試されている気になる。

  • ドラマ化したようですね。全然見てませんが、本自体はほのぼの?とした感じで面白かった。

  • 以前にドラマを見たことがある。記憶が薄れていたので読んでみた。
    過去に戻っても変えられない。もどかしいし苦しい。事実を知る事で自分を納得させて、過去を振り返る。過去は変えられないけれど未来は変えられる。
    自分次第、自分の未来を変えるのは自分だけ。なんだか気持ちが明るくなった。

  • 読みやすい。

  • “後から悔やむ”と書いて、後悔。ちなみに、黒ひげ危機一髪では、わりと黒ひげを生殺しさせちゃう傾向にある私です。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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