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感想・レビュー・書評
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武蔵野の自然の描写が美しい。一緒に麦藁帽子で散歩しているような気分で情景が浮かぶ。武蔵野で散歩して道に迷っても苦にしてはならないという。どこを歩いても見るべき聞くべき感じるべきものがあるとのこと。春夏秋冬、朝昼夕夜、月雪風霧霜、雨など様々な自然と生活の美しさを連ねている。大根の時節に農夫が大根の土を洗っている細流のほとりの様子なども時代を感じる。
身近な自然を記録に残しておくことを心掛けていこうと思う。
以下抜粋
「月明らかに林影黒し。」「月を蹈んで散歩す、青煙地を這い月光林に砕く」「田面に水あふれ、林影倒に映れり」「梅咲きぬ。月ようやく美なり」「星斗欄干たる時、星をも吹き落としそうな野分がすさまじく林をわたる音」「風の音は人の思いを遠くに誘う」
よもすから木葉かたよる音きけはしのひに風のかよふなりけり(熊谷直好の和歌)
山は暮れ野は黄昏の薄かな
「月はゆるやかに流るる水面に澄んで映っている。羽虫が水を搏つごとに細紋起きてしばらく月の面に小皺がよるばかり。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
描写が花びらですら散る瞬間の1秒1秒をも見逃さないくらい緻密で綺麗でした。
内容が日常で始まり日常で終わる様がとてつもなく良いなと思いました。 -
武蔵野の自然の中での暮らしを描いた作品。
子供のころから書名は聞いていたが、これまで読んだことがなかった。自然が多く残っていたこの時代ならではの作品で、今、同様の気分を味わうのは難しい。
作者のみずみずしい自然への感性を感じた。 -
読了日 2020/06/03
武蔵野について独歩がつらつら述べる随筆。
牧水はこの『武蔵野』をとても気に入っていて、古本を買っては人にあげていたらしい。
当時の地図を用いて、どんな範囲でどんな町並みだったのかを解釈したい。 -
当時の武蔵野は、そんな風景だったのかなと思いを馳せながら読んではみましたが、私にはピンときませんでした。
何でもない風景が、それほど素晴らしく感じるのは、今ほど楽しみがないからなのか、あるいは、現代人とは感覚が全く異なるのか、いずれにしても、この文章を高く評価している人もいるようなので、ちょっと私の感性が鈍いのかも知れません。
ただ、当時の景色や空気を、こうやって文章で残しておくというのは、大切なことだと思います。今のように、気軽に写真を撮るような時代ではありませんし、仮に写真が残っていたとしても、そこからは読み取りきれないものがきっとあるはずです。
そういう意味で、こういう文章が残っている武蔵野は、ラッキーです。 -
オーディブルで聴きました。昔の言葉で書かれているので、これは普通に読んだら難しくて挫折しそうだなと感じました。
自然描写が丁寧に描かれている作品でした。 -
描写の美しさ、そこから伝わる自然の美しさが印象的でした。
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読んでいて最後にストンと落ちた感じがして安心した。それまでは想像力を働かせて文章を楽しんでいた感じ。新聞で紹介されていて読んだ。