十三夜 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想 : 10
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感想・レビュー・書評

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  • 須賀敦子さんの解説によると、十三夜は冬の訪れを告げるもので、その雰囲気は哀愁を伴う。日本の読者はこの作品を、長く穏やかな夜をもつ美しい秋の季節への別れともとらえる、ということらしい。(そうだったんだ…)

    その背景知識を持って本作を味わうと、美しい秋の夜の情景が登場人物の背後に浮かび上がって、しっとり心に沁みる。味わい深い作品でした。

    日本近代文学初心者の私には長い長い語りの一文を理解するのに苦労したけど、登場人物を把握して、一文の中に話し手が複数いることを理解した状態で二回目を読むと問題なく理解できました。

    筋は読んでいただきたいけど、もう切ない。女性が自立できる時代が到来したことを私は手を叩いて祝します。

  • ビブリア古書堂事件手帖に「十三夜」がよかったと出ていたので読んでみた。樋口一葉の短編の一つ。見初められて嫁いでみたものの子供を成すと夫からはまともに話もしてくれず酷いことを言われていままで我慢してきたが、とうとう我慢できずに実家に帰ったお関だが、実家の父親にこんこんと諭され、嫁ぎ先に戻る道、乗った車引きが元の思い人だった

  • 月のない夜であれば何も見えなかったものを、十三夜の月が男の顔を照らし出す。夫の仕打ちに耐えられず家を出てきたのに、子は置いてくるしかない理不尽な時代。懐かしい男の突然の邂逅は、しょせん月が見せた夢。

  • 和文調だったので心して読み始めたが、会話文がほとんどであったからか意外と読みやすく、面白くて一気に読めた。旦那・原田に関して、お関の母の話から、出会いは原田の方がお関を見初めて執拗に結婚を頼んだということがわかったが、それなのに今のお関への態度は何なんだとこちらも腹が立って仕方なかった。お関の苦労は充分にわかると心を痛めつつも耐えるのが女の務めと諭す父の言葉から、娘を思う気持ちとともに、やはり女は男に従い耐えるしかなかったのだなと当時の男女観が伺われた。《下》では幼馴染であった高坂と偶然再会し、おっとこれは初恋の人と駆け落ちか?!?!と期待したがお互い未練はあるものの口に出すことはせずそれぞれの道へ向かうというラストは切なかった…。この後お関がどうなったのか。少しでもお関に幸あれと願った。

  • 高級官吏にもらわれたお関が、旦那からの虐待に耐えきれず、離婚を決意して実家に逃げ帰るが、父に諭されて思い直す。
    明治の話だから、男尊女卑も激しいし、女性への風当たりの強さも現代の比ではないと思う。しかし、本作ではただジェンダー的な悲哀にとどまらず、落ちぶれて俥引きになった幼なじみとの邂逅を通して、お関だけの悲哀で終わらず広がりを持たせていてよかった。

  • 良いとこの旦那さんと結婚したけど、報われない結婚生活。幼い子供達を置いて家に戻ろうとするも、昔好き合った中である男と出会い、原田の妻である自分を自覚する。ここで子供を置いていってしまう母親の話って少ない気がした。

  • ゼミで扱った作品。文体がとても難しいが、慣れるとテンポ良く読める。内容も明治期らしい身分差からの女性の苦悩を描いているが、主人公の気持ちに共感できるかは微妙なところ。お金の余裕は心の余裕、ということでまとまった。樋口一葉が女性作家として大変優れているのは分かるが、それはそれとしてやっぱり読むのが難しい。

  • 熊澤南水
    http://kokugomondaikyo.sakura.ne.jp/shiryo/ichiyo.html

    いつの時代も生きるのは楽ではない。失意の種はどこにでも転がっていて、バランスを崩すのも簡単だ。誰も幸せや命を保証してはくれない。だから自分で戦うんだ。

  • 当時の女性の扱われ方っていうのかな。
    それが分かったような気がした作品です。
    ただ、若干ジェンダーチックであまり好きではない。

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著者プロフィール

1872年、東京に生まれる。本名なつ。92年、20歳で小説『闇桜』を発表。以降、96年に24歳で
亡くなるまで、『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの名作を書いた。

「2016年 『漫画版【文語】たけくらべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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