出家とその弟子 [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月27日発売
4.67
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 28
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (223ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これは戯曲であり、親鸞上人をモチーフにした創作である。全然教えも違っていて「それどこのキリスト教?」と感じるところもあるくらい。
    しかしながら、自分はこれを読んで電車で泣いてしまった。
    この物語の中で、いろいろヒューマニズム的に心揺さぶられるところが多々あるのだが、それは正直どうでもよい。
    自分がどうしようもなく泣いてしまったのは、善鸞の存在である。この戯曲における善鸞は、父(親鸞)を愛していていること、自分に正直であること、それがままならない身であることをないまぜにした存在なのだ。この存在の根源的な苦しさを目の前につきつけられ、それを自分にも即投影してしまい、表現できないものが自分の中に押し寄せてきた。
    この本を読むなら、善鸞だ。

  • ★4.5だが、拾い物の意味も込めて。
    これは世界で通用する内容かと、日本土着を超えた普遍性がある。惜しむらくはあまりに綺麗すぎて、堕ちていく感覚が不足していること。善鸞の描き方など、もっと書き込める部分があるなぁと思い満点とはいかず。
    でも青空文庫で何気なくチョイスしたものでしたが、これは良かったですわ。

  • 再読。
    改めて自分の罪の意識を心に留め、隣人への愛情を見直し、無宗教ながら、祈る気持ちを新たにした。

  • 親鸞と弟子唯円を中心とし、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」を信じた僧を描いた脚本 でも、一番魅力的なのは、その教えを信じ切れずに苦悩する、親鸞の息子の善鸞。親鸞の臨終に際しても、「教えを信じているか?」と問われると、苦悶の表情で「「信じきれません」と告白する、その正直さと、苦悩の深さ。
    人間の業と救いという永遠のテーマを描いて、古びていない。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1891年広島県生まれ。旧制第一高等学校を病気のため中退。大正期の人道主義的文学を代表する。1943年没。著書に『出家とその弟子』『愛と認識との出発』『絶対的生活』など多数。

「2018年 『新版  法然と親鸞の信仰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉田百三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×