水滸伝 十九 旌旗の章 (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読み始めてから1年3か月過ぎていた。
    衝撃。

    えっちらおっちら休憩したりちょっと戻ったりしたけれど、なんだかんだ、ちゃんと面白い。
    あとまあなんせ19巻も読んでるので、読んでいるこちらの登場人物への思い入れも、ついに終わるのだというさみしさ感動もひとしお。

    漫画にならないかなあ笑

  • 2013年9月から読み始め、5年以上かかって全巻読了しました。

    吉川英治の「新・水滸伝」は講談調。吉川版の方が原典に近く、北方版は、原典の論理的、時制的矛盾を排除してリアリティを追求しているようです。キャラクターもだいぶ変わっていて、吉川版に親しんだ自分としては、若干戸惑いますが、これで作品の面白さが減ずるわけではなく、新しい魅力が出ています。

    原典には登場しなかった人物もいます。滄州の牢獄に捉えられている医師の安道全、盗人の白勝。また、原典では妖術を使う公孫勝は、妖術とは関係ないテロ部隊の設立者という位置づけで描かれたり、梁山泊首謀の宋江は女好きの性格が付与されています。愛読していた原典がデフォルメされると不快な違和感を感じることがありますが、北方版水滸伝は物語の整合性を持ち、読みやすくなりました。単なる時代小説ではなく、冒険小説(例えば、魯智深と楊志による二竜山の侵入と征服)、スパイ小説(闇塩の道を巡る青蓮寺と致死軍の死闘)の要素も含めた密度の高い娯楽作品と思います。
    また、敵である青蓮寺や宋の人物も魅力的に描かれていて、物語の厚みを増しています。
    私の一番好きな登場人物は李逵。こちらは原典のイメージに近く、時に純真な青年、時に殺人鬼となり、最後まで愛すべき人物として描かれています。

    なお、水滸伝からスピンオフした物語に金瓶梅があります。主人公の潘金蓮は原典では、とんでもない悪女ですが、北方版では全く違う性格の女性として描かれていて、面白いと思いました。

    個人的には、10巻あたりまでが★★★★★、以降は★★★★、ときどき★★★、最後の19巻は★★★★と言ったところでしょうか?宋との戦いが本格化する前の方が冒険スパイ小説的要素が強いです。

    写真は別巻の「北方水滸伝読本」。19巻完読後に斜め読みしています。

  • 怒涛の最終巻なので、いきなりですがネタバレします。



    童貫の首を取って休戦に持ちこむと予想しましたが、童貫強し。
    梁山泊、ぼろ負けです。

    負けることを見越して、逃がせるものはさっさと逃がし、次世代のための拠点を作っていた呉用。
    私、呉用は「新しい時代に持って行けないもの」を切り捨てる、この戦いをそう考えているのかと思っていました。(マンガ「BASARA」の影響大ですが)
    でも、彼はもっとシンプルでしたね。
    正しいまつりごとが行われるような国を作るために、正しいシステムが正しく機能するように、人に嫌われてもやるべきことをやる男、呉用。
    あなたの人生に幸せや喜びはありましたか?と聞いてみたい。

    で、李逵(りき)。
    早く大人にならざるをえなかった楊令にとって、いつまでも子どものように純粋な李逵がそばにいることは絶対に必要なことだと思っていたので、まさかここで死んじゃうなんて!
    楊令、幸せにならないフラグが立った気がする。

    扈三娘。
    何人の男が彼女のために死んでいったか…。
    そして、結局そんなに強いのか?という気が…。
    まあ、王英が幸せならそれでいいんだけどね。

    タイムリーすぎて今はあまり使いたくないフレーズだけど、まさに『All for All』の奴らでした。

    なのに何?
    解説の浮かれたような文章は?
    ファンブックみたいのに載せるのならまだしも、最終巻の余韻をぶった切るような浮かれた文章にがっくり。

    思ったより生き残りが多くて安心したけど、それでも多くの人たちが死んでいった最終巻。
    読んでいるこちらもへとへとになりました。

    だけど
    『替天行道』
    この旗を楊令が受け継いだので、続きも絶対読まなければ。

  • 一つの大きな物語の終わり、そして新たな始まり。
    帯の『風は蕭として、湖水寒し。されど替天の旗、心に永遠なり。』心惹かれる。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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