- Amazon.co.jp ・電子書籍 (303ページ)
感想・レビュー・書評
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弘前出身の2人、陽一と七海のハートフルなラブストーリー。
陽一は、伝統の津軽蕎麦を食べさせる老舗、大森食堂を継ぐため東京に修行に出たが挫折、今はピエロに扮したバルーンアートのアルバイトで食いつなぐ日々。七海はりんご農家の一人娘で写真家を目指し修行中だが、師匠があまりに厳しく涙目の日々。
都会生活の厳しさ/慌ただしさに疲れた二人は、出会ったとたんいい感じに付き合い始めたが、やがて将来を考え出すとギクシャクしてきて…。
著者らしい、やさしさ溢れる作品。物語は明治時代の大森食堂開店時のエピソードともリンクしていて、時代を超えて引き継がれる想いがいい出汁になってる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年の最初の一冊目として初めて読んだ森沢作品「エミリの小さな包丁」で俄かファンになり、森沢作品二冊目を手にしたのが「青森三部作」の1作目となる「津軽百年食堂」でした。
期待を上回るとても素敵なお話でした。
お話の舞台となった弘前は私の住む街のすぐ近くなので、「この辺かな?」と「あの駅だな」とか身近に感じながら読むことができた作品でもありました。
まだ2冊しか読んでいませんが、森沢作品の凄いなぁと思うところは、普段意識することのない「人の行動や所作」がさりげなく描写されていて、私自身に思い当たることばかりで、読んで初めて気付かされるところです。
何故、青森の地を題材にした小説を書くことになったのか、その辺のいきさつについて是非聞いてみたいですね。
森沢明夫さんの強いスピッツ愛も感じられる至極の1冊でした。 -
実家は青森の津軽蕎麦屋の、気弱な大森陽一と、同じく青森出身の筒井七海の2人が忙しない街東京で出会い、夢と実家とやりたいことの間で迷いながらも前に進んでいくお話。
陽一の曽祖父、初代の時代と、陽一、七海の目線が変わりながら物語が進んでいくので、昔と同じシチュエーションになるのが面白かった。
迷って答えがはっきり出せない、少し逃げ道を用意して話してしまう陽一の気持ちもわかるし、青森と東京の遠さも想像すると切ないような、応援したい気持ちになった。
螺鈿の引き出しのくだりはほろりとした〜。
あったかい気持ちになれる森沢明夫の本が好きになってきた。 -
流石と思います、森沢さんが同世代なので使われる言葉◦表現がとても染みります。
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青春じゃのぉ♪
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おいなり
よかった〜(^^)もっと早く読めばよかった!タイトルと表紙で勝手に決めつけていたイメージと全く違った。ほんとなら読むことのない本、読メよありがとう(笑)弘前に百年続く食堂の、四代にわたる店主とその妻の想い。代々受け継がれているものは形あるものばかりではないんですね(^^) -
『この店を継ぐために、自らの手で握り潰した夢の数々も、今では後悔としてではなく、懐かしい思い出として記憶の隅に留めることができるようになっていた』
フッと「60過ぎれば、みんな笑い話しよ」
亡くなったお袋が言っていたのを思い出した
小さなことでもクヨクヨ思い悩む僕に、、
読書友達にその話しをしたら「それってー、今が幸せじゃないと、そうは思えないよね?」
あぁ、そうだ!確かにそうだ!!
もう一度読み返してみたら『俺は、食堂の親父になって、よかったーー。素直にそう思える自分に出会えたことが、嬉しい』と結ばれてあって、、
じゃあ、お袋は、きっと、、幸せだったのだろう?
もう、確かめる術は夢の中でしかないけれど、、
僕も60になったなら「みんな笑い話さ!」って
笑って言えるようになりたいな、、 -
弘前で3代100年続く食堂の長男、陽一は東京で修業先の中華料理屋をクビになり、バルーンアートで生計を立てている。ある日、営業先のおもちゃ屋でカメラマン志望の七海と出会う。彼女が同じ弘前の同じ高校の後輩ということで親しくなるのだが、彼女はリンゴ農家の一人娘。そんなとき、父親が弘前で事故に遭い、ケガをしたと連絡が入る・・。
弘前で100年続く食堂を軸に、4代目の息子の恋愛と跡継ぎ問題が絡む・・というストーリーは、ありがちかも。
ただ、登場人物が気持ちが良いので、あまりハラハラすることも無く、すいすいと読み進めました。
基本的には4代目の息子の恋愛ストーリー的なのですが、すこしだけ食堂の創業に絡む物語が織り込まれています。
個人的にはそっちのほうの物語をもっと読みたかったです。。
物語に出てくる津軽そばって、知らなかったので食べてみたいですね~。
作者が取材された津軽の100年食堂が巻末に紹介されています。
近くに行ったときには是非寄ってみようと思います^^。