仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考 [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • ◆感想
    ・アプローチとして積み上げ型でなく、トップダウンで落とすための方法論を知るために読了

    ◆要点
    ・十分な分析や証拠がなくても、想定される分析結果と真因、対応する打ち手の候補まで見繕ってしまう。そうすると、自分が作ったストーリーを検証するための情報収集のみでよくなるので、無駄がなくなる。仮説などが間違っていれば、情報収集の段階で仮説を肯定する情報がなかなか集まらないので、仕組み的に否定される
    ・このアプローチにより、全ての論点が同じレベルになったり、そもそも分析が浅いということには陥らなくなる
    ・仮説を一人で抱えず展開することで、間違いも減るし進化もする
    ・分析が得意でも仮説が立てられなければ大きな仕事はできない。分析は意思決定を速めるために利用するが、新しい情報を次々に拾うと溺れてしまう
    ・幹の話が描けると仕事がスムーズに進む
    ・与えられた期間の半分で大まかな全体の結論を出してしまう
    ・最初は問題の発見から行う。問題の設定によって答えが変わる
    ・仮説を立てるために、反対側から見る、両極端に降って考える、分析から、インタビューから、ディスカッションから
    ・よい仮説とは、深堀がされているもの。より具体的なもの。原因まで掘り下げられているもの。仮説を立てるときにもSo Whatを考える。アクションがすぐに立てられるもの

  • 2006年の再読。

  • ◾︎感想、個人的解釈
    解決しなければならない課題と向き合う時は、情報量が少なくても最初にゴールを定義する事でそこに向かうアプローチを策定するべきである。(これを仮説を立てると呼ぶ。)
    導き出した仮説を元に作業を設計し、途中でアプローチ変更が必要となればそこで影響を加味した上で舵を切れば良い。
    
    大概の仕事は時間的制約があるので網羅的思考よりも仮説思考でスピーディに打ち手を検討してPDCAを回す方が効率が良いのである。
    

  • 最近はかなり一般的になった「仮説」という言葉・概念につき、そもそも仮説とは何なのか、どんな効用があるのか、どうすれば鍛えることができるのか、といったことを解説した一冊。自分自身は比較的仮説思考に慣れた方であると思うが、全体的に納得感を持って読み進めることができた。
    なお、この手の本はある意味「仮説思考は万能である」というスタンスで書いてあるようにも見えるものが多く、この本もご多分に漏れないのだが、個人的には仮説思考の弱点があるのであれば聞いてみたいと思っている。「実は98点の解がある時に、仮説思考だとさっさと80点に到着してしまってそれを結論としてしまうので、その存在に気付けない」みたいなことはあるのではないかと想像しているが、いかがだろうか。

  • 仮説・検証・軌道修正のセンスと運動量。

  • 読み切り 2019/01/11 12:26
    ・コンサルティング:仮説と分析では
    ・大量のインプット(経験,知識,情報)あるから,最適であろう仮説を初期に出せる結果,MECE,So What,Why soの深堀可能


    多くのビジネスパーソンは、情報は多ければ多いほど、よい意思決定、間違いのない意思決定ができると信じている。そうであるがゆえに、できるだけ多くの情報を集めてから物事の本質を見極め、さらに、そこで明らかになった問題に答えを出すために、また必要な情報を集める、という作業を繰り返す。

    実は仕事ができる人は、人より答えを出すのが早い

    何も実行しないことが大きなリスクになる今日、

    仕事の進め方で大事なことは答えから発想することだ。課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、それを分析して証明するのである。

    コンサルティングの経験を積んでいくと、こうした問題も、経営者に一度話を聞いて、現場を一度見れば、かなりの確率で何が問題かがはっきりする。実際にコンサルティングを始める前に答えがわかるのである。

    ビジネスパーソンにとって大切な能力は、先見性、決断力、実行力の三つで

    羽生は将棋で大事なのは決断力だという。すなわち意思決定だ。決断にはリスクを伴うが、それでも「あとはなるようになれ」という気持ちで指すのだという。そのときの意思決定を支えているのが仮説思考

    羽生は「直感の七割は正しい」ともいっている。

    意思決定をするときには、いますでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立つのだ。

    迅速な意思決定のためには、いまある選択肢をいかに絞り込むかという視点で情報収集すべきなのだ。

    頭のよい人が多い企業、たとえば伝統的大企業ほど網羅思考の傾向が強い。結果として理屈先行で、意思決定に時間がかかったり、人の提案にはまず批判やあら探しから入る傾向がある。もちろん本人は悪気があるわけではなく、完璧を期しているつもりなので、余計たちが悪い。

    企業も同じで、同時にあれこれ手をつけるよりも、ここだけは直さなくてはという一点に集中して、そこを手直ししていったほうがうまくいくものである。

    仮説思考で最初から自分なりにある程度まで踏み込んだストーリーを組み立て、それが正しいかどうか調べ、間違いに気がついたらただちに軌道修正し、あらためて他のストーリーを考える。この方法が最も効率的だ。

    もっと小さな仮説の間違いはしょっちゅうある。それでは、結局、網羅的に見たほうが早いのではないかと思うかもしれないが、そうではない。  たとえば全体で一〇〇の課題があるときに、たとえ二つ、三つの仮説が間違っていたとしても、四つめに正解にたどり着けば、最初から一〇〇を網羅的に見るよりははるかに速い。これは、将棋の羽生善治がいっている、八〇手の可能性のうちくわしく検討するのは二、三手であるという話と同じである。

    中には、「君は何を証拠にそんなことをいうのか。証拠をもってこい」という人もいるかもしれないが、そうした人とのやりとりは時間の無駄

    たとえばプロジェクトのスケジュールを組むときも、きちんと積み上げていって終了間際にゴールに到達するようなスケジュールはよいとはいえない。むしろ与えられた期間の半分くらいのところで、大まかに全体を結論づけてしまうことだ。それでその後に、部分を改善していく。このような考え方を取り入れていくことで、仕事の質と効率の両面を著しく高めていくことができよう。

    実際に問題を解決する場合、問題そのものを発見する「問題発見の仮説」と、明らかになった問題を実際に解決する「問題解決の仮説」の二段階の仮説を使う。

    仮説を使うということは、問題を考えついたり、答えを探しだしたりするプロセスというよりむしろ、効率的に不要な問題や役に立たない解決策を消去するプロセス

    最初に考えた仮説を実行し、それで課題解決にいたれば、これほどすばらしいことはないのだが、実際にはなかなか難しいだろう。  なにより仮説は正解ではない。確からしい答えなのである。極論すれば間違っていても一向にかまわない

    でき上がった提言や結論を組織で実際に実行に移してもらうためには、プレゼンテーションが重要な役割を果たす。というのも、人間は自分で納得しないとなかなか前に進まないからである。

    お互いの間に「共感」を生みだすことが必要

    分析結果から仮説を立てるということは、このような仮説をグラフからどのくらい読みとれるかということになる。

    インタビューで大切なことは相手の本音を引きだすこと

    もちろん一歩間違うと相手を怒らせることになる。相手のプライドを傷つけないように注意を払うべきだ。たとえば、「あなたは間違っているから私が教えてあげよう」というふうに話を進めると、相手は確実に怒る。相手に自分から気づいてもらう、あるいは勘違いしていたかもしれないと思ってもらうような質問の仕方をする。

    頭の使い方を変えるとは、一言でいえば普段より幅広く使うことに尽きる。幅広く考える方法として、ここでは 反対側から見る、 両極端に振って考える、 ゼロベースで考える、

    反対側から見るには、 顧客・消費者の視点をもつ、 現場の視点で考える、 競争相手の視点で考える、

    両極端」を探求することによって、無数の事象や関係の中から、何が最も重要で決定的なことかを識別するスキルを磨くことができる。

    ゼロベース思考」で考えようとする姿勢が、仮説を立てるときには特に重要だ。

    こういう仮説がよい仮説だ。「なぜ、そうなのか」というところまで、もう一段掘り下げて考えてみなくてはならない。

    よい仮説の条件とは、「一段深く掘り下げたものである」ことと、「具体的な解決策あるいは戦略に結びつく」ことの二つ

    どの商品が受けるかわからないというときは、消費者に聞いてみるのが一番

    テストマーケティングとは、商品を発売する際に、当初限定された市場、チャネルなどで、全国発売時と同じ条件(同様のマーケティング活動、チャネル設定など)でテスト的に発売することだ。

    若いうちは失敗をおそれずに、大いに間違えることだ。実際、自分ひとりで悶々と考えていると時間の無駄なので、早めに他人に考えをぶつけたほうがよい。

    社内の恥はかき捨て」と思えば、思いつきレベルの仮説を提示することもできる。恥をかきたくないと思うと、できるだけ仮説を完璧なものに近づけてから周囲の人とディスカッションをし、答えを出そうと

    その際は、あらかじめ代理店を通した場合と直販した場合の経済性比較の分析をしておく。  そうすると、たとえば「経済性の優位はわかるが、代理店には与信機能がある」といった意見が出されることが予想される。顧客が何らかの理由で航空券の代金を払えなくなったときに旅行代理店が責任をもって支払ってくれるという意味だ。そこで、「現状で、最終顧客である企業の倒産リスクと代理店の倒産リスクはどちらが高いですか」と再度、質問する。そして、仮に一般企業より旅行代理店のほうが倒産率が高いことがわかれば、旅行代理店を通すほうがよほど与信のリスクが高くなることがわかる。このようにディスカッションをしていくことで仮説を確かめていくのである。
    メモMECEとWhy so?で固めて2,3手先まで

    上手なディスカッションを実施するコツ
    コツ1 必ず仮説を立てていく
    コツ2 仮説を否定せずに進化を目指す
    コツ3 議論は負けるが勝ち
    ディスカッションの目的は勝つか負けるかではなく、仮説の検証と進化である。
    コツ4 メンバーはバラエティ豊かに

    仮説の検証のための分析のコツは、まず最小限の要素だけを急いで簡単にやるよう心がけることだ。

    この分析の目的は、主に自分が納得するためだ。自分が立てた仮説が合っているかどうかを急いで検証するのである。

    成功確率は八割か、あるいは四割かがわかれば結論を出すには十分で、詳細な数字は必要ない

    分析の目的は、 問題を発見する、 相手を説得する、 自分を納得させる、

    トレーニング1 So What ? を常に考える
    トレーニング2 なぜを繰り返す
    トヨタ生産方式の生みの親といわれる大野耐一は、「なぜと五回問え。そうすれば原因ではなく真因が見えてくる」
    創造的であればあるほど失敗はつきもの

    自分が何かの分野で成長するために、それまでと違ったことに挑戦したり、さらに上の段階を目指して努力するときには失敗がつきもの」

    仮説の効用──仕事が速くなる、質が上がる

    また仮説思考の特徴として、部分の積み上げで物事を証明していくスタイルではなく、まず全体像から入って、必要な部分のみ細部にこだわる、あるいは証明を行なうという取り組み方がある。こういう取り組み方を続けていけば、物事の全体をつかむ力が確実に向上する。  これらを併せもつことで、リーダーに欠かせない先を読む力、すなわち先見性と、少ない情報で意思決定する判断力、すなわち決断力が身につく。    

    企業に意思決定のスピードが強く求められているなら、仮説思考型は時代の要請でもある。

    気持ち悪くても結論から考える

    仕事が終わってからやり直しを命じられるのはきつい。それなら、批判覚悟、あるいは建設的なコメントをもらえることを期待して、最初から答えを出す仮説思考でいこう。分析なんてものは仮説を証明するためにする、くらいの割り切りをもってほしい。

    ビジネスパーソンとしての成功のカギ :優れた仮説の構築とその検証能力」

  • 仮説立てるのは結構だけど、思いついた端からペラペラ口に出すやつはバカにしか見えないので、仮説を立てて、検証し、フィードバックして洗練させ、そして仮説を元に現場で行動して収益を上げるところまでやり切りましょう、という本。読んだの昔なので覚えてないけど。
    解釈したってあんまり意味はないので結果に繋げましょう。

  • 連立方程式がよぎった。

  • 脳みそをどのように使えば、業務の処理能力が向上するか?の観点で読んでみた。
    研究開発の職業柄、問題を解決してなんぼ。本書で紹介されている事例や考え方の観点で、新しい発見はありませんでした。というか結局、仮説を行い結果と照らし合わせて修正する。その経験を積んで、仮説の精度を高める。で、まとめられていたので、結局のところ、なんでも解決できるマスターキーはないってことですね。
    ロジカルシンキングの考え方を学ぶには、良い1冊かもしれません。

  • 探索と深化のバランス
    直感は7割正しい
    間違っていても修正すれば良い

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著者プロフィール

早稲田大学名誉教授。東京大学工学部卒業後、日本航空入社。在職中に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。同社のパートナー、シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。
この間ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心にマーケティング戦略、新規事業戦略、グローバル戦略の策定、実行支援を数多く経験。2006年度には「世界の有力コンサルタント、トップ25人」に選出。
2006年、早稲田大学教授に就任。早稲田大学ビジネススクールでは競争戦略やリーダーシップを教えるかたわら、エグゼクティブプログラムに力を入れる。早稲田会議創設。早稲田大学ビジネススクールと日本経済新聞のコラボレーション企画『MBAエッセンシャルズ』創設。
著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』『ゲームチェンジャーの競争戦略』『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『意思決定入門』(日経BP)など多数。

「2023年 『アウトプット思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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