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感想・レビュー・書評
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実在した史上最強の力士、雷電為右衛門の生涯を描いた作品。生涯戦績254勝10敗という凄まじい強さ。身長197cm、体重172kgという体格は、現代の関取でもそうザラにはいない大きさだ。ましてや江戸末期の日本人としてはまさしく『巨人』そのものだっただろう。
物語は天明年間の飢饉やそれに伴う一揆から始まり、繰り返し江戸の町を襲う大火と、もう一人の主人公鍵屋助五郎に焦点が当てられる。むしろ、助五郎の視点から描かれる事で、大記録のみで語られる事が多かった雷電という不世出の力士の全貌が目の当たりになっていく。
現代では日本の伝統文化であり国技である相撲が形作られた時代。一見華やかに見えるが、やはり封建社会ならではの理不尽な事態は厳然として起こる。そこからは相撲界の頂点を極めた雷電ですら逃れられない。江戸末期という庶民文化が成熟した社会でありながら、武士を頂点とした階級社会のありようは全く進化していないことがまざまざと浮き彫りになる。
"よい歴史物を読んだ"という思いが強く残る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史の勉強ではさらっと流される出来事でも、自分たちと同じ人たちが生きていたんだと実感させられる。大変な時期を乗り越えて現代まで紡がれてきたんだと。当時、庶民の希望だった力士 雷電とその周囲の人の物語。助五郎が獄中死するのは悲しかったが、当時は終身刑が普通だったんだろうか。出所するものと思ったが、全ての罪を被って死ぬのはかわいそうだった
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