ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  この本をすべての若い人、労働者に読んでもらいたい。この本はただの告発本ではない。ブラック企業がなぜブラックなのか、ということと、どうやって対処したらよいのか、この二点についてきちんと書かれている。

     「たとえ会社がブラックでも、我慢するのが社会人としてアタリマエ」「ユニクロやワタミのおかげで安いのが手に入るじゃない」といった言説がいかにウソかよくわかった。

     ブラック企業は、ただでさえ少子化で、貴重な若く有用な人材を使い潰し、鬱や適応障害など就労不能な状態にしてから、社会に放り出す。そして、彼らのために社会は医療費や生活保護などの社会保障費を負担する。ブラック企業はそういった救済を自前でやらず、社会のセーフティネットをタダ乗りしているだけ。

     精神論に頼らず、すべての人が戦略的思考を身につけることが大事である。

  • ざっくりとした知識で読み始めたがオモシロい。何故、日本にブラック企業は生まれたのか?そこには「高処遇、安定雇用」と引き換えに、「サービス残業、強い人事権(例:遠隔地への単身赴任)」を行使するという日本型雇用が関係していた。リーマンショック以降、崩壊したこの日本型雇用(特に後者の部分)をブラック企業は利用したのだ。また、ブラック企業を退職する人に「鬱病」の罹患者が多いのにも理由がある。労働者をパワハラやセクハラ、長時間労働で精神的に追い込むことで、自主的に自己都合による「退職」を促す(それは高度にマニュアル化されている)。そうすることで、訴訟のリスクを軽減させ、労災保険の支払いを逃れるのだ(企業側が「解雇」するのと違い「退職」は訴訟や労災保険認定で、企業が有利になる場合が多い)。現在、全国の大学が行っている「就活セミナー」では労働の辛さや大変さを教えるだけで、基本的に労働者の権利や法律の勉強はほぼ行われていないに等しい。ブラック企業から逃れるために、就活生にはこの本を一刻も早く読んでもらいたい。

  • 2013/09/28朝生でブラック企業の特集されたので興味を持ち、電子版でダウンロードして読んでみました。ことこのような案件になると、感情論に流されがちですが、なぜ社会問題なのか、戦後の日本の雇用形態の特質まで踏み込んで、指摘している点に付いては好感が持てました。

    一概にブラック企業を定義しにくい点がつらい所ですが、この世の中、検索エンジン使えば、具体的企業名含め、いくらでもホンネの情報が閲覧できる社会。いずれ指摘された企業は改善・退散を余儀なくされるとは思いますが、そんな企業で消費している自分も、不買行動で対処したいなという気分。でも特に日本人の生活必需品となった衣料品企業等の大手小売業については、生活に不便を感じてしまうかもしれない・それほど浸透してしまうと社会インフラになってしまっているので、大手スーパーや居酒屋など、他の競合もあきらめずに頑張ってほしいですね。

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著者プロフィール

POSSE代表

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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