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感想・レビュー・書評
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完結作品17巻分一気読み。
実在の登山家をモデルとした新田次郎の小説が原案。
とあるミニマリストの方のブログで紹介されていたので興味を持って読んだのですが、中盤ぐらいまでは精神的にキツかったです(笑)
序盤はよくある山岳部の学生生活ストーリーっぽいんですが(絵柄も割ととっつきやすい感じ)なのですが、序盤の終わり際で、登場人物のほとんどがまさかの転落人生(比喩的にも、死に際も転落…という…(^_^;))。
そして主人公の文太郎は華麗なるぼっち人生。
中盤過ぎぐらいまで、ほとんど救いがないというか、登場人物みんな悪すぎて、目眩がしそうでした(笑)
8巻での新見の死に際と宮沢賢治の「よだかの星」はうまくシンクロしていてちょっと泣きそうになりました。
本当に自分の好きな事をするためには、孤独でなければいけない、というのは究極のエゴなのかなー、でもそれもまたひとつの生き様なのかもしれません。
ワタシ個人としては、常々「絶対冬山登山だけはしたくない」と日頃のニュースなどを見て思っていたので、これを読んでますます自分の生き方とは乖離しているのを感じましたが、ひたすら山を目指すのは、ある意味自分の人生の余計なものをそぎ落として、死を思い生を感じるメメント・モリなのかもしれませんね。(だって、普段の生活でチョコレート1かけ40キロカロリー、これで一日活動できる、とか思いませんもの…(^_^;))
中盤移行からは絵柄も少し変化があり(まさに最新作のイノサンに続く感じの描写が細かくて美麗な絵柄)、山の厳しさ、極限の人間の様子が、これでもかと丹念に描かれています。
結構悲惨な描写も多いので、読了したばかりですがまたすぐに読み返すのはキツイです。
でも、ある程度期間を置いて、また自分の中でメメント・モリを感じたいときに手に取るような、そんな印象の作品でした。
ラストは賛否両論ありますが、自分はコレでいい、と思います。
人生って楽しいことももちろんあるけれど、最後まで「生きる」ということにあがき続ける作業なのかな、と感じました。