- Amazon.co.jp ・電子書籍 (274ページ)
感想・レビュー・書評
-
出会い喫茶の創業者のインタビューが興味深い内容。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出会い喫茶や出会いサイトを中心にして、組織に属さずに個人売春する女性に多数インタビューしてその背景を切り取った力作。愚直とも言える「非効率的な」方法論を取り、2年以上かけてやっと書けた作品。これだけでも立派なエスノグラフィー社会学です。
現代の個人売春に関して、これだけのものはもう出ないだろうなと思わせるのは、その眼差しによるところが大きいと思う。ウエメセでも、同情でもない、純粋な好奇心(というかプロ根性)で迫った筆者に拍手。
特に秀逸なのは本書の中核である「出会い喫茶」の創業者である関西のおっさんへのインタビュー。また、このおっさんがけったいな人で、風俗関連で無茶苦茶に悪いことをしてたかと思うと、結構真面目に風俗に来るような女性の居場所を作ろうとしたあとが伺える。
こんな二律背反もあれば、インタビューを受ける女性の二律背反も甚だしい。やっぱり人間ってそう単純なもんじゃないんだよな、という当たり前のことを再発見したり。
ただ、著者も書いてるけど、やはりこういう場は必要「悪」なんだよね。こういう仕事が必要とされるホントの原因は、貧困だったり、家族による虐待だったり、非正規労働の不安定さだったり、もっと大きくくくれば、日本という社会の住みにくさ(特に女性にとっての)なんだろうね。
そういう意味では、一見社会や経済や政治の中核とは無関係に見えて実はびっちりと繋がってるっていうオチを外してないところもさすがですね。
この本が売れたのもよくわかります。お薦め。