『遺体』それからの物語―新潮45eBooklet [Kindle]

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  • 東日本大震災後、被災地に入り取材を続けて出版した『遺体』。それから2年近くが経ち、あの時取材した人たちはどうしているだろうか?と再び取材を開始した。

    死体安置所へ家族を探しにくる家族対応を行う民生委員。
    自らの寺を避難所に開放し、死体安置所へ読経に赴き、身元不明の遺骨を引き取った寺の住職。
    生まれたばかりの子供を津波で失った両親。

    心に残ったのは

    大半のご遺族の悲しみが薄れるには長い時間を要します。一方、同じ町でも大切な人を失っていない人たちは、復興ということでどんどん先に進んでいってしまう。

    同じ被災者でも、その心の中はどんどん距離が開いていく。
    目に見える復興も進まない中、大切な人を失った人たちの本当の意味での復興には、まだまだ時間がかかるのだろう。

  • 「新潮45」で掲載された作品の電子書籍化。刊行誌では足早に消化されてしまう作品が、こうして100円という価格で読めることこそ電子書籍の役割かもしれない。

    『遺体』で叙述された人々の「それから」の物語。「それから」は「これから」の物語でもある。尊厳を以って遺体と向き合った千葉さんはいまも被災者と向き合い支援する。いまなお夜ごとうなされる千恵さん。父親の強い希望により5版から実名表記となった雄飛くん。

    乗り越えられない悲しみもある。刻み込まれた記憶とどう向き合っていくか。支えあいながら生きていく人間の強さと、脆さを自覚する者の強さを感じさせられる。

  • ちょうど1年ほど前に読んだ「遺体」の後日譚。前作を読んでから読んだほうが理解が深まるし、このタイミングで出るということは、読者のアンタたちも忘れるなよ、というメッセージでもあるのでしょう。同じ町でも、大切な人を失っていない人はどんどん先に進んでいってしまう、というリアルな話。

著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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