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感想・レビュー・書評
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この本は、赤道上の同期衛星から超繊維でできたケーブルを地上におろし、地球と宇宙空間を結ぶエレベーターを建造しようとする科学者の奮闘を描いたSF小説です。ネビュラ賞とヒューゴー賞を受賞した名作であり、宇宙エレベーターの概念を広く知らしめた作品でもあります。
この本の魅力は2つあります。1つ目は、科学的なリアリティにあふれた描写です。クラークは、実際に人工衛星による通信システムを提案した科学者でもあり、宇宙エレベーターの建設に必要な技術や物理法則、さらには政治的・経済的・宗教的な問題まで、細かく考察しています。また、宇宙エレベーターの建設に反対するテロリストや、古代の遺跡を守ろうとする僧侶たちとの対立も、単純な善悪の対立ではなく、それぞれの立場や価値観を理解できるように描かれています。クラークは、科学と人間の関係を深く掘り下げて、読者に考えさせる作家です。
魅力の2つ目は、壮大なスケールと美しい情景描写にあります。この本の舞台は、スリランカをモデルにした架空の島国タプロバニーです。クラークは、スリランカに移住していた作家でもあり、その自然や文化に深い愛着を持っていました。そのため、タプロバニーの風景や人々の暮らしは、瑞々しく鮮やかに描かれています。特に、宇宙エレベーターの建設予定地である霊山スリカンダの山頂にある寺院は、神秘的で美しい場所として印象的です。
この本を読んで、私は、科学の可能性と人類の夢に感動しました。宇宙エレベーターは、まだ現実にはなっていませんが、クラークの描いた未来は、私たちにとって遠いものではありません。私たちは、科学の発展とともに、宇宙に近づいているのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「赤道上の同期衛星から超繊維でできたケーブルを地上におろし、地球と宇宙空間を結ぶエレベーターを作れないだろうか? 全長四万キロの〈宇宙エレベーター〉の建設を実現しようと、地球建設公社の技術部長モーガンは、赤道上の美しい島国タプロバニーへとやってきた。だが、建設予定地の霊山スリカンダの山頂には三千年もの歴史をもつ寺院が建っていたのだ……みずからの夢の実現をめざす科学者の奮闘を描く巨匠の代表作」
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地球と宇宙を結ぶエレベーターを作る。モデルになっているのがセイロンのアダムズ・ピーク、ヤッカガラ。クラークがセイロンに居を移したから発想された物語だと思う。そしてこの場所は送られてくる団体旅行パンフレットにもツアーが組まれていて写真を見たことがあった。特にヤッカガラは突き出た岩の上に遺跡があり、富士山をもっと尖った形にしたアダムズ・ピークはグーグルで見てみると、確かに頂上に寺院がある。物語では僧侶が黄金の蝶の伝説をもとに下山するのに納得して頂上を平たくして宇宙エレベーターの基礎になった。
そんな現実の情報があったりで、えー あの寺院を無くしたのかというのと、エレベーターがちょっと想像がつかず、物語世界に入れなかった。
「100分de名著」にはこの宇宙エレベーターの模式図があって、初めてイメージが湧いた。
1979発表
2006.1.31発行 2019.4.15第4刷 -
楽園の泉 Kindle版 昔読んだのであれば、再読をお勧めする。古さはあまり感じないが、物語の捉え方は年齢と共に変わる。