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感想・レビュー・書評
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南朝に興味を持ったのは明治期の「南北朝正閏問題」がきっかけだ。
歴史の授業では南北朝時代は室町幕府三代将軍足利義満の時代に、南北朝合体により京都の北朝が残る形で継続したと習っている。
しかし、明治期になると「南朝が正統である」と政府がいいだすのだ。これはおかしい!?なにゆえ??というところから、南朝モノを読み漁ることとなった。
本書は歴史的な文献をもとに鎌倉後期の大覚寺統の始まりから後醍醐天皇による建武の新政、その後の南朝から後南朝までのおよそ300年の通史が描かれている。
ここで明らかにされるのは、北朝の系譜となる持明院統と南朝に引き継がれる大覚寺統の統治政策の違いである。
大覚寺統はその始まりから軍事権も含まれた王権至上主義だったという。
なるほど、そういうことかと。
明治期に南朝を正統とする理由は天皇すり替えの陰謀論でもなく、歴史的な理由があったわけだ。
天皇を中心とした統治体制の強化、さらには天皇の統帥権を含めて、明治政府が理論的な強化やその裏付けを図るには大覚寺統を源流とする王権至上主義の思想が必要だったと言うことか。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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